2015年4月3日(金)
徹底批判!「戦争立法」 (6)
武器等防護 現場判断で武力行使開始
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平時から有事(戦時)まで「切れ目ない」米軍防護に道を開くのが、「武器等防護」規定の変質的拡大です。
現行の自衛隊法95条の「武器等防護」規定は、自衛隊艦船や航空機などの装備品を破壊や奪取から守るための「受動的・限定的な」武器使用(応戦)を認めています。
政府・与党は、本来自国の装備品を守るための規定を米軍部隊に適用することに加え、米軍以外の他国軍にまで拡大する大転換を狙っています。
「日本の防衛に資する活動」(与党合意)に従事している他国軍の部隊が防護の要件となっていますが、地理的制約はなんらありません。日本から離れた場所で共同行動している他国軍部隊であろうと、日本の防衛に「資する」とみなして防護対象となります。
平時でも反撃
95条の「武器等防護」では、現場自衛官の判断だけで応戦が可能です。2月20日の与党協議で示された資料によると、政府はこの仕組みをほぼそのまま他国軍部隊の防護の場合にも適用することを検討しています。
しかし、現場部隊の判断だけで他国軍と反撃すれば、国会承認などの手続きもないまま事実上の集団的自衛権行使に踏み込むことになります。
狙いは何か。
中国への「シームレスな(切れ目ない)対応」を検討した防衛省の内部文書(2013年3月)があります。
文書は、平時(警察権)と有事(自衛権)の隙間に「自衛権に至らない武力行使」があるとして、武器使用権限の拡大で埋める必要性を示しています。
自衛隊に平時からの武力行使が認められていないのは、戦争自体を放棄した憲法9条の制約下にあっては当然のことです。
しかし、平時から有事まで「切れ目」なく他国部隊を防衛するようになれば、現場で始まった戦闘をスムーズに本格的戦争へ切り替える体制が敷かれることになります。
監視活動拡大
平時から他国軍防護の権限が与えられれば、自衛隊は米軍とさらに一体化した作戦行動が可能になります。
そもそも米軍以外まで防護の必要があると政府が主張するのは、米空母艦隊に豪海軍の艦船が参加した例があるからです(前述2月20日の政府資料)。
裏を返せばこの権限で自衛隊も、空母艦隊などの一部として海洋監視活動を広げることになります。実際、米海軍のグリナート作戦部長は昨年、「自衛隊を空母打撃群やミサイル防衛パトロールへ統合し、一つの部隊として共同作戦ができる」と述べています。
(つづく)