2015年4月2日(木)
TPP交渉のための貿易権限
米シアトル市議会 反対を決議
「国の主権守れないなら拒否を」
【ワシントン=島田峰隆】米西部ワシントン州のシアトル市議会は3月30日、環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結のためにオバマ大統領が求めている貿易促進権限(TPA)付与に反対する決議案を全会一致で採択しました。決議案は、国の主権や雇用、環境を守る公正な貿易こそが必要だとし、それがTPPに盛り込まれないなら拒否するよう連邦議会議員に求めています。
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決議は「TPPは非公開で交渉され、国民や地元の選挙で選ばれた議員も入手できない」と懸念を表明。多国籍企業が国や自治体を訴えることができる条項が含まれるとされることについて「多国籍企業に過度の権力を与える」とし、「市議会はTPPに向けて現在の形でTPAを与えることに反対する」と強調しました。
また「公正な貿易合意」に求められる要素として▽雇用や環境、主権を守る▽労働や環境に関する強制力のある基準を持つ▽国や自治体が道理あるルールや規制をつくる権限を崩すような過度の権力を企業に与えない―ことなどを指摘。そうした基準が満たされないなら「貿易合意を拒否するよう連邦議員に求める」としました。
法案を提出したマイク・オブライエン市議は「貿易には賛成だが、市の法律や価値観を壊す権力を多国籍企業に与えないことが肝要だ」と述べました。同州北部のベリンガム市議会も3月下旬、同様の決議を可決しました。