2015年3月31日(火)
依存症拡大・労働意欲低下…
カジノ法案は悲劇招く
市民団体 声明発表 “再提出許さない”
全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会(代表幹事・新里宏二弁護士)は30日、東京都内で記者会見を開き、カジノ解禁推進法案再提出に反対する声明を発表しました。
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新里氏は、「カジノ法案は早晩提出されかねない状況だ」として、「日本ではカジノの『プラスの効果』ばかりが強調されているが、ギャンブル依存症の拡大、労働意欲の低下など社会的な『マイナスの効果』がまともに検討されていない。国際的な『略奪的カジノ』への反対運動とも連帯して、運動を強めていく」とのべました。
会見には、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の代表も同席し、「多重債務問題の背景にはギャンブルが多く存在する。それへの対策もなく新しい賭博場を開設するのは許せない」(クレ・サラ被連協の秋山淳事務局長)と発言しました。
同協議会の声明は、「カジノ解禁は依存症による自殺や犯罪の増加を招きかねない」としたうえ、「人や社会の悲劇の上に経済成長を図ろうとする考え方自体、国のあり方として疑問であり、我々(われわれ)は反対する」と強調しています。
議連 成立へ気勢
刑法が禁じる賭博場・カジノの合法化を目指している超党派のカジノ議連(「国際観光産業振興議員連盟」、会長・細田博之自民党幹事長代行)が30日、国会内で総会を開きました。
細田会長は、「観光で稼ぐということは国家にとって欠くことのできない施策であるということに自信をもってIR(カジノ)法案を推進していきたい」と、カジノ法案の今国会での成立に向けて気勢をあげました。
ギャンブル依存症問題で批判が強いことから、日本人のカジノ入場に「制限」を設ける条文を追加。法案再提出の時期について岩屋毅幹事長(自民・衆院議員)は「各党で手続きを進め、環境が整い次第(法案を)出したい」とのべました。
解説
国民は「反対」 断念しかない
カジノ法案の再提出で、カジノ議連がドタバタ劇を演じました。同議連は、今月24日に開いた幹部会で、カジノ法案の年度内再提出の方針を確認しました。その3日後の27日、自民、公明両党幹部の会談で、合意できず、月内の再提出は見送りになりました。前回、一昨年12月の法案提出のさいには「特例として了承する」という態度をとった公明党が、今回は法案提出を認めないと主張したからです。
もともと同法案は、日本共産党と社民党以外のすべての政党から200人を超える国会議員が参加するカジノ議連が推進し、安倍晋三首相も「成長戦略の目玉」(2014年5月30日)と位置づけました。昨年の臨時国会で、数の力で成立するとみられていました。
しかし、安倍政権の下ですすむカジノの暴走にたいして、国民の反発は強まりました。報道各社が昨年10月に行った世論調査では「反対」が軒並み7〜8割という結果で、中央・地方のメディアがいっせいに「反対」「慎重」の主張をかかげるようになりました。そうしたなか、カジノ法案は臨時国会で、いっさい審議を行わないまま、廃案に追い込まれたのです。
カジノ議連の混迷は、国民の大多数がカジノなど望んでいないという厳然たる事実によるものです。法案再提出はやめ、カジノ合法化を断念すべきです。(竹腰将弘)