2015年3月31日(火)
徹底批判!「戦争立法」(4)
周辺事態法改定 米軍と地球規模で一体化
米軍との軍事一体化を地球規模で拡大するのが周辺事態法の改定です。
1999年に成立した同法は、日本が武力攻撃を受けていなくても、武力攻撃のおそれがある「周辺事態」であると認定すれば、日本が米軍の海外での戦争に自動参戦する仕組みを定めています。
ただ、「他国の武力行使との一体化」を防ぐためとして、(1)自衛隊の活動は「後方地域」(非戦闘地域)に限る(2)武器・弾薬の提供や戦闘発進中の米軍機に対する給油・整備を行わない―などの制約が課されています。
加えて、「周辺事態」の「周辺」について、政府は「中東やインド洋は想定されない」(小渕恵三首相、99年4月28日、参院本会議)と説明。事実上の地理的制約が存在していました。当時の政府関係者は、「周辺事態」は朝鮮半島危機であると語っています。
制約投げ捨て
与党合意は、これらの制約をほぼ全面的に取り外そうとしています。
まず、与党協議に提出された政府資料によれば、周辺事態法から「我が国周辺の地域」という文言を削除し、地理的な制約の完全撤廃を狙っています(別項)。これに伴い、「周辺事態法」という名称そのものが変わります。
さらに、「後方地域」という枠組みも廃止。自衛隊を他国領域まで派兵して後方支援を行います。海外派兵恒久法と同様、自衛隊の戦地派兵を進める考えです。
加えて、戦闘発進中の米軍支援や、弾薬提供も解禁。文字通り、米軍の戦争に地球規模で日本が自動参戦する仕組みになる危険があります。
周辺事態法は米軍への支援に限定していますが、同法の改定では、米軍以外の他国軍への後方支援も視野に入れます。
これらから、米軍との一体化を進め、さらにオーストラリア軍との共同も進めることで、米国のアジア太平洋への戦略的リバランス(再配置)を軍事的に補完する狙いが浮かび上がってきます。
アジアに戦火
政府関係者は、周辺事態法の改定で、朝鮮半島有事に加えて台湾有事、さらに南シナ海・東南アジア有事まで対象にすべきとの考えを示しています。
つまり、南シナ海での中国と東南アジア諸国との領有権争いも「我が国の平和と安全に影響を及ぼす事態」であると判断すれば、自衛隊が介入するというものです。アジアに戦火をおよぼしかねない危険な動きです。(つづく)
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