2015年3月30日(月)
徹底批判!「戦争立法」 (3)
PKO法改定 アフガン治安活動も可能に
自衛隊員が海外で“敵”に銃を向ける日が来るかもしれません。
従来の海外派兵法はいずれも「自己防護」に限り、武器の使用を認めています。ところが「戦争立法」に関する与党合意は、国連平和維持活動(PKO)協力法を改定して「実施できる業務の拡大及び業務の実施に必要な武器使用権限の見直しを行う」としています。武器使用の範囲を任務遂行まで拡大し、「治安維持」の名目で敵対勢力との交戦にまで道を開くよう、法改定を狙っているのです。
与党協議に配布された政府資料によれば、PKO参加5原則のうち、五つ目を書き換える方針です(別項)。これにより、他国部隊が攻撃された際の「駆け付け警護」も可能になります。
攻撃なくても
しかも、PKO法改定で「国連が統括しない活動」への参加も可能にし、そこでも任務遂行のための武器使用を解禁しようとしています。さらに、自衛隊が攻撃を受けていなくても、「侵害行為の抑止と防止」のため、武器を用いて「強制的な権限を使用」(政府資料)することも可能になるとしています。
そうなれば、アフガニスタンに展開していた国際治安支援部隊(ISAF)のような活動も可能になります。
米国はこれまでも日本にISAF参加を要請しており、政府も参加を検討していました。しかし、「憲法が禁止する武力行使にあたるものは当然ありうる。我が国としてこれを行うことは許されない」(福田康夫首相、08年1月10日、参院外交防衛委員会)として断念しました。
負担が増える
ISAFは治安維持を主任務にしていましたが、米軍主導の「対テロ」掃討作戦と混然一体になり、2002年から14年までの13年間で約3500人が死亡しました。日本と同様、政府が憲法解釈を変えて派兵したドイツ軍は54人が犠牲になっています。
武器使用基準を拡大することで、現場の自衛官の負担は格段に増します。自衛隊元幹部は、「誤って民間人を殺傷した場合の対応で、憲法を改正して軍事法廷の設置が必要になる」と指摘します。また、仮に正当行為と認められても、一生、罪の意識を背負うことになります。
イラク・インド洋に派兵された自衛隊員は殺傷行為に関わっていませんが、ストレスなどで40人以上が自殺しています。これが、銃撃戦にまで道を開けばどうなるのか。イラク・アフガンから帰還した米兵が1日平均で20人以上、自殺している現実があります。(つづく)
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