2015年3月30日(月)
イエメン情勢 平和解決望む声も
アラブ連盟首脳会議 多数は軍事作戦支持
【シャルムエルシェイク(エジプト)=小泉大介】アラブ連盟(パレスチナを含む22カ国が加盟)の首脳会議が28日、エジプトの保養地シャルムエルシェイクで開かれました。焦点のイエメン情勢をめぐり、サウジアラビアなどによる反政府勢力・イスラム教シーア派系武装組織「フーシ派」に対する空爆を多数の首脳が支持する一方、対話による解決を求める声も一部から上がりました。
連盟のアラビ事務局長は、「イエメン情勢の平和的解決の試みが失敗に終わったことを踏まえ、軍事作戦は(イエメンの)ハディ大統領の正統性を維持し、国民を守るための避けられない選択だった」と述べ、空爆作戦を支持しました。
ハディ氏は「『フーシ派』が降伏し、支配地域をすべて明け渡すまで空爆作戦が継続されることを求める」と表明。空爆を実施している10カ国「連合」を主導するサウジアラビアのサルマン国王は「軍事作戦はイエメンの安全保障と安定が回復されるまで継続する。『フーシ派』による侵攻は国際平和の脅威ともなっている」と強調しました。
これに対しイラクのマスーム大統領は、「アラブ諸国と国際社会に対し、イエメンの各勢力が平和的な対話のテーブルにつくための緊急の行動を取るよう訴える。外国の介入はイエメン国民の利益とはならず、各勢力間の亀裂をさらに深めてしまう」と警告しました。
来賓あいさつした国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、「フーシ派」に対するアラブ諸国の懸念を共有すると述べ、ハディ大統領の正統性を擁護。同時に「話し合いこそが、長く続くかもしれない紛争を防ぐ唯一のチャンスだ」「アラブ首脳会議がイエメン問題の平和的解決の明確な指針を打ち出すことを強く希望する」と訴えました。
ハディ氏は首脳会議開催中の28日にシャルムエルシェイクを離れ、サウジアラビア入りしました。当面はイエメンに戻らず、サウジで事態の推移を見守ることになるとみられます。
イエメンでは28日も、10カ国「連合」が各地で「フーシ派」への空爆作戦を継続。サウジ艦船は、ハディ氏が拠点とする南部アデンから外国人外交官ら80人以上を脱出させるなど、同地一帯で作戦を拡大させる構えです。最も空爆の激しい「フーシ派」支配下の首都サヌアからは、国連職員ら外国人約350人が空路で国外に脱出しました。