2015年3月29日(日)
論戦ハイライト
高浜原発再稼働 住民の不安つのる避難計画
参院予算委 倉林議員の追及
新たな「安全神話」をもとに原発再稼働に突き進む安倍政権。27日の参院予算委員会で日本共産党の倉林明子議員は、関西電力高浜原発の周辺住民の声を政府に突きつけ、「再稼働はきっぱりと中止すべきだ」と迫りました。
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3、4号機が新規制基準をクリアし、関電が早期の再稼働をめざしている高浜原発(福井県)。立地県でない京都府には原発30キロ圏内に13万人が生活しています。倉林氏は、5キロ圏内の住民には直ちに避難が開始されるものの、5キロ〜10キロ圏内住民はそれからさらに20時間屋内待機し、10キロ圏内以上はさらにそれ以上待機を余儀なくされる京都府によるシミュレーションを示しました。
倉林 5キロ圏内以上の住民は、目の前を避難する人を見ながら20時間は待てという計画だ。原発事故を経験し恐怖におびえ、果たして住民は待てるのか。
望月義夫環境相 5キロから30キロの圏内は原則、屋内退避という措置で、それをふまえた防災計画や訓練を行う。一気に逃げるとパニックになる。これが一番安全な避難ということの理解に努めたい。
住民の不安を一顧だにしない姿勢に、倉林氏は、「過酷事故が起きれば福井県からの避難者も殺到する。積雪や地震による道路損傷も全く前提とされてなく、これでは被ばくが避けられない計画ではないか」と批判。
倉林氏は、市内全域が避難対象となる宮津市の議会が昨年12月、再稼働の地元同意の範囲を最低30キロ圏まで広げることを求めた全会一致の意見書をあげ、関西広域連合が、立地自治体なみの安全協定締結を要求していることを提示。「30キロ圏内の自治体が再稼働の拒否権限を持つのは当然のことではないか」と質問しました。
宮沢洋一経済産業相は、「協定は電力会社と自治体が締結しているので、(双方で)よく相談していただく」とまるで人ごと。倉林氏はたたみかけました。
倉林 30キロ圏内の自治体に避難計画策定を義務付けたのは政府。再稼働にものが言える制度をつくるのは国の責任ではないか。
安倍晋三首相 再稼働にあたっては地元理解は重要だが、範囲や方法については各地の事情がさまざま。国が一律に決めるのではなく各地とよく相談する。
倉林氏は、舞鶴市の市職員労働組合が行った住民アンケートで、85%が「再稼働には市の同意が必要」と回答した結果を示し、「義務とリスクだけ押し付け、自治体意見も住民の声も聞かない。再稼働など絶対に許されない」と批判しました。
倉林氏は、滋賀、兵庫両県がそれぞれ独自に行った放射性物質拡散シミュレーションでは、30キロ圏を超える広範囲に影響がおよび、50キロ圏中には、関西1450万人に飲料水を提供している琵琶湖があると指摘。「不測の事態が起きれば対処できない」と迫りました。
経産相 世界最高水準の新規制基準に適合すれば再稼働するのは一貫した方針。高浜原発3、4号機の再稼働は進める。
倉林 高浜原発に隣接する大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟判決は「250キロ圏内の住民は直接的に人格権が侵害される具体的な危険性がある」として差し止めを認めた。この判決は重い。再稼働方針は撤回し即時原発ゼロの決断を強く求める。
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