2015年3月25日(水)
きょうの潮流
生命の宝庫、サンゴ礁の海。色とりどりの魚が乱舞し、まるでおとぎ話の竜宮城のように美しい。およそ海の生物の4分の1が暮らしているといいます▼サンゴ礁は、生物と自然の営みが長い年月の間に積み重なったもの。なかには1センチ成長するのに半世紀かかる種類も。乱獲されたり、壊されたりすると、取り返しのつかないことに▼沖縄ではサンゴ礁に囲まれた浅い穏やかな海を「イノー」と呼び、豊かな幸を与えてくれる場所として大切にしてきました。溶け出る炭酸カルシウムを多く取り込むことで、長寿にも一役かっています▼生活に深くかかわってきたサンゴ礁。それがコンクリートの塊によって無残に砕かれています。米軍の新基地建設が推し進められている辺野古・大浦湾。翁長県知事は、沖縄防衛局が強行する海底調査を止めなければ、前知事時代の岩礁破砕許可を取り消すと表明しました▼新たな局面に入った辺野古のたたかい。しかし、安倍政権は「粛々と進める」「作業を中断する理由にはならない」として、知事の中止指示の無効を求めています。“新基地ノー”の意思を何度も示してきた沖縄の民意などどこ吹く風です▼酸素を生むことから「海の熱帯雨林」とも呼ばれるサンゴ礁。多様な命を育む「イノー」を守り、これ以上沖縄に基地をつくらせてなるものか。米国と強権政治に対する国民と良識の激しい攻防。元に戻らないものを失うわけにはいきません。かけがえのない平和を、地球と命を支えてきた宝の海を。