2015年3月23日(月)
主張
「子育て新制度」
国は混乱と後退を放置するな
これまでの保育所、幼稚園のそれぞれの制度のあり方を大きく転換する「子ども・子育て支援新制度」が4月から実施されます。実施を目前に、各地で不安と混乱が広がっています。事態を放置してはならないと日本共産党国会議員団が16日、深刻な実態を示し緊急の改善を政府に申し入れました。
保護者の願いに逆行
新制度は従来の仕組みを大きく改変するものなのに、泥縄式に制度の枠組みをつくり、保育者や保護者への十分な説明も理解もないまま強行されようとしています。3月に説明会を行った自治体で、現場の疑問に答えることができない状況も生まれています。
新制度は、「待機児童解消」を掲げていますが、保育が必要との認定を受けながらも選考で不承諾となる事態が起きています。「4月から入所できないと仕事を辞めることになる」「育休をのばしても見通しがない」―乳幼児を抱える保護者の切実な叫びを一刻も放置することはできません。
第一に必要なことは、待機児童解消に緊急の措置をとることです。保護者の希望に基づき“保育を必要”とする入所希望者数を正確につかみ、市町村の保育実施義務を果たせるよう、自治体任せにせず、国が責任をもって取り組むべきです。認可保育所増設を基本にすえた事業計画を安定的に実施できるよう国は保障すべきです。
第二に必要なのは、保育所整備のうえで、大きな障害になっている保育士の確保です。保育士の抜本的な処遇改善と正規化への仕組みをつくることです。不十分な加算の措置にとどめず、賃金水準と職員の配置基準の引き上げを行うことが求められています。
また、新制度は「子育て支援」といいながら、保育料の引き上げ、年少扶養控除廃止前の旧税制による算定の見直しに伴う保育料アップなど、保護者に新たな負担をおしつけようとしています。国が定める高すぎる保育料徴収基準を改め、多子世帯への保育料無料・軽減措置こそ必要です。
新制度のもとでは、保育所、幼稚園、認定こども園などに対して、子ども1人分の保育にかかる費用額を、運営費などの基本分と加算分を単価(公定価格)として国が示します。示された公定価格が現行制度と比較しても保育所運営を困難にする事態を招いています。とりわけ保育時間を標準時間(11時間)と設定した場合の公定価格が保育を保障できるものになっていないことがあります。施設により、サービスの単価に格差があり、全体に不十分な単価であることも大きな問題です。
どの子にも等しくゆきとどいた保育環境を保障するため、必要な財源を確保し、国と自治体の責任を果たせるよう、公定価格そのものの見直しが求められています。
国会と地方議会で連携し
新制度の4月スタート後、さらにさまざまな問題が噴出することを関係者も懸念しています。
衆参両院で32人に増えた日本共産党国会議員団は、地方議員と連携し、現場の実態を政府に突きつけ、改善・改革の先頭に立っています。日本共産党は、いっせい地方選挙での躍進をかちとり、新制度による国・自治体の公的保育後退を押し返し、国民との共同の力で、より良い保育を実現するため引き続き全力を挙げる決意です。