2015年3月17日(火)
きょうの潮流
戦地で死んだ仲間の認識票を引きちぎり無念の思いを持ち帰る。よく戦争映画で見かける場面です。身元がわかるようにと軍人が身につける認識票は皮肉をこめて「ドッグタグ」と呼ばれることも▼最近読んだ本に、この認識票が出てきました。この20年の自衛隊の変容を示す逸話として。幹部の自衛官に見せられ、いつも身につけるようになったと。自衛隊を取材してきた毎日新聞記者の瀧野隆浩さんが『出動せず』で書いています▼90年代以降、海外に派遣されるようになった自衛隊の任務は飛躍的に増え多様化している。そして自衛隊は「死」を組織として取り込んでいった。それを知ってほしいと、瀧野さんは著書の中で述べています▼いま安倍政権は公明党と一緒になって「戦争立法」をつくろうとたくらんでいます。これまでの政府の解釈さえひっくり返し、いつでも、どこでも、あらゆる形で自衛隊が米国の戦争に加担する。まさに死と直面する事態です▼そんな国づくりを許さない、戦後日本の平和な歩みを支えてきた憲法九条を必ず守る―。全国の熱い息吹を交わした「九条の会」の討論集会。1人で始めた会が何倍にもなった、さまざまな団体と共同して宣伝にとりくんでいる、保守や若者にも声をひろげている。草の根の運動です▼各地の成果をさらに。九条の会のアピールにあります。「結成から10年を経過した私たち九条の会にとっても真価が問われる正念場」。戦後70年の今こそ、日本と世界に九条を輝かすとき、だと。