2015年3月14日(土)
戦争立法、「歯止め」なし
際限ない海外派兵
与党協議 公明の言い訳 通用しない
安全保障法制に関する与党協議は20日の与党案とりまとめを目指し、大詰めを迎えつつあります。協議では、海外での自衛隊の活動範囲や内容を可能な限り広くしたい自民党と、一定の“歯止め”をかけたい公明党との駆け引きが伝えられています。しかし、実態は自民党ペースで進んでおり、“歯止め”論議には空虚さが漂いつつあります。
「例外」規定で
報道のように、13日の与党協議で示された新たな海外派兵法の概要は、地理的に無制限で戦地派兵も容認し、武器使用基準も拡大するなど、自衛隊員が「殺し殺される」危険が鮮明になっています。
公明側は、国会の「事前承認」や自衛隊員の「安全確保」などを求めています。しかし、これらは何の“歯止め”にもなりません。
例えば、現行の周辺事態法は「事前承認」を盛り込んでいますが、緊急の場合は「事後」にするという抜け穴があります。“例外”規定が設けられ、それが事実上の原則になることは明らかです。
「安全確保」については、与党協議に示された概要では、自衛隊の活動場所の近くが「戦闘現場」になった場合の活動「一時休止」するとしています。
一方、従来の派兵法で禁じていた「戦闘地域」での活動は認める方針です。つまり、いつ銃撃戦が始まるか分からない場所にいてもよい、始まれば活動を「一時休止」するが、その場から避難しない、ということです。自衛隊員が戦闘に巻き込まれる危険は飛躍的に高まります。
しかも、他国兵士を含む「捜索・救難」の場合、銃弾が飛び交う「戦闘現場」であっても、活動を継続するという「例外」まで設けられています。戦地に取り残された兵士の捜索・救難は、最も危険度が高い作戦の一つです。これを容認しておいて、どこが「安全確保」なのでしょうか。
むなしい議論
一切の軍事力保持を禁じた憲法9条の下で存在する自衛隊は違憲の存在です。しかし、歴代政府は、あくまで「日本防衛」に限定する、他国の戦争に参加する集団的自衛権の行使は容認しないから「合憲」だとしてきました。海外派兵の場合も、他国の武力行使と「一体化しない」「戦地にいかない」という制約を設けてきました。
昨年7月の「閣議決定」は、苦肉の策とも言えるこれらの“歯止め”すら取り払ってしまいました。その「閣議決定」を前提にしておいて、いくら“歯止め”を議論してもむなしいばかりです。
(竹下岳)