2015年3月8日(日)
海自「おおすみ」衝突事故
“国の報告書は疑問”
遺族らが現場海域調査
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海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」が広島県沖の瀬戸内海で昨年1月に釣り船「とびうお」に衝突、船長ら3人が死傷した事故の遺族らは7日、現場海域で現地調査しました。
衝突現場では亡くなった高森昶船長と同居していた栗栖紘枝さん(71)が日本酒と花束を投げ入れ、高森さんをしのび、真相究明への決意を新たにしました。
調査は、遺族や衝突で海に投げ出されながら助かった釣り客はじめ支援者でつくる「真相究明を求める会」がよびかけたもの。国の運輸安全委員会が2月9日に公表した報告書の問題点について検討を加える緊急報告集会(8日)にさきがけて実施しました。
調査は、釣り船の右転が衝突の原因とする運輸安全委員会の報告書に沿ってチャーターした釣り船を走らせて、釣り客の「とびうおは右転していない」「おおすみが斜め後ろからついてきた」との証言を確認しました。
運輸安全委員会が採用した、事故現場海域に近い阿多田島で浮き桟橋の修理をしていた関係者の目撃情報を現場で再現しました。
調査に参加した海難事故に詳しい田川俊一弁護士は「報告書は、実験船を何回も走らせて波の具合でとびうおが右転したことを確認したとされているが、現場の状況から疑問だ。報告書は目撃者の目の高さのデータなどが公表されず実証性に欠ける」と指摘しました。
遺族の栗栖さんは「花束と好きだったお酒を手向けたとき泣けて仕方なかった。なぜ慎重に運転する高森がこんな死に方をしなければいけなかったのか」と悔しさをにじませました。
「真相究明を求める会」はおおすみ艦長らを起訴、公開の裁判で真相を明らかにすべきだと広島地検に要請はがきの提出を検討しています。