2015年3月5日(木)
米イラン核合意に反対
米議会 イスラエル首相演説
【ワシントン=洞口昇幸】米連邦議会で多数を占める野党の共和党のベイナー下院議長がオバマ大統領の頭越しにイスラエルのネタニヤフ首相を米国に招き、政治問題化するなかで3日、同首相は議会で演説し、イランと米を含む6カ国による核問題解決に向けた合意に、反対する立場を表明しました。
ネタニヤフ氏は、イランの核兵器開発につながるウラン濃縮を制限することなどを話し合う、イランと米英仏中ロ独による協議は、「イランの核兵器開発を防がない。核兵器を多数手に入れることを保障するものだ」と述べました。
同協議でオバマ政権は今月中に政治的な枠組み合意を目指していますが、ネタニヤフ氏は合意を阻止したい考えです。
ベイナー下院議長は、1月21日に突然、ネタニヤフ氏を招聘(しょうへい)したと発表。政界に波紋を引き起こし、オバマ政権側も不快感を示していました。今回の事態に対する抗議の意を示すため、民主党の議員59人がネタニヤフ氏の演説に出席しませんでした。
現実的代案なし 米大統領指摘
【ワシントン=洞口昇幸】イランの核兵器開発問題の解決に向けた同国と米含む6カ国の合意に反対する演説を、イスラエルのネタニヤフ首相が3日に行ったことについて、オバマ米大統領は同演説後、「首相は現実的な代案を何も提供しなかった」と指摘し、同協議の有効性をあらためて示しました。
カーター米国防長官との会談の前に記者団に対してオバマ氏は、イランが濃縮ウランを核兵器に使用できない形に処理するなど、これまで同協議による合意を履行していると言及。米連邦議会でネタニヤフ氏が演説で述べたイランの脅威について異論はないとしながら、強硬姿勢では「イランは再びすぐに核開発計画を進め、速める」と述べました。
オバマ氏はまた、「制裁がイランの核兵器開発を防ぐのに十分でなかった」と、野党の共和党が主張するイランへの新たな経済制裁について、反対する姿勢を改めて示しました。