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2015年3月3日(火)

主張

安保法制与党協議

米先制攻撃への参戦許されず

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 自民、公明両党が先月から続けている「安全保障法制整備に関する与党協議会」は今週から集団的自衛権の行使をめぐる議論に入ります。この間の国会論戦では、米国が先制攻撃の戦争を行った場合でも日本が集団的自衛権を行使する危険性が明らかになっています。安倍晋三内閣と自公両党が行使を可能にしようとしている「集団的自衛」権とは、先制攻撃という国際法違反の侵略戦争に日米が共同して乗り出す「集団的侵略」権に他ならないことを示すものです。

政府の恣意的な解釈可能

 安倍・自公政権が昨年7月に強行した「閣議決定」に基づき今国会での成立を狙う安保法制では(1)米国が世界のどこでも、いつでも戦争を始めれば、自衛隊が従来は活動が禁止されていた「戦闘地域」、戦地まで行って軍事支援する(2)米国が先制攻撃の戦争を行った場合、「閣議決定」が定めた武力行使の「新3要件」に合致すると判断すれば、日本は集団的自衛権を発動し、参戦する―という二つの重大問題が浮かび上がっています。

 与党協議はこれまで(1)にかかわる自衛隊の米軍支援などをテーマにし、今週から(2)にかかわる集団的自衛権の問題に移る予定です。

 武力行使の「新3要件」とは▽日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、権利が根底から覆される明白な危険がある▽これを排除し、日本の存立を全うし、国民を守るため他に適当な手段がない▽必要最小限度の実力行使―というものです。安倍首相は、米国のような日本と密接な関係にある国が先制攻撃をした結果、その相手国から武力攻撃を受けた場合であっても、日本が武力行使をするかどうかは「新3要件」で判断するとし、集団的自衛権の発動を否定していません。

 重大なのは、「新3要件」を満たすかどうかは時の政権の一存で決まり、海外での武力行使が際限なく広がる危険があることです。

 安倍首相は、「新3要件」の「日本の存立が脅かされ、国民の生命、権利が根底から覆される明白な危険」の事例として、石油危機を口実にペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷敷設を挙げています。中谷元・防衛相は、日本から輸出する自動車などの輸送航路である紅海バブ・エル・マンデブ海峡での機雷敷設も検討対象になるとの考えを示しています。中谷氏は、日本の経済が脅かされるかどうかも判断基準になると述べており、恣(し)意(い)的解釈に道を開いています。

 「新3要件」がいう「必要最小限度の実力行使」も歯止めになりません。ホルムズ海峡の例では、海峡の幅が広いため機雷封鎖は非現実的であり、海峡を航行するタンカーへのミサイル攻撃の危険の方が現実的だという見方があります。この場合、ミサイル部隊をたたくことも「必要最小限度」として許されることになりかねません。

米が「必要最小限」決める

 安全保障担当の元政府高官は、攻撃を受けた米軍を自衛隊が守る場合、「『必要最小限度』の内容を決めるのはアメリカであり、必然的に、日本はアメリカの軍事的必要性に引っ張られざるを得なくなります」と指摘しています。(柳沢協二氏『亡国の集団的自衛権』)

 米軍と肩を並べて「海外で戦争する国」になる策動を決して許してはなりません。


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