2015年3月1日(日)
「一方的」言う政府に道理なし
辺野古新基地 沖縄県の潜水調査
沖縄県は2月26日、国が新基地建設に向けて辺野古沿岸部(名護市)に投入した巨大コンクリートブロックなどによって、貴重なサンゴなどが破壊されている現状を確認するため潜水調査に着手しました。安倍政権は県の調査を「一方的」だと非難していますが、何の道理もありません。(竹下岳)
|
沖縄防衛局はこれまで、辺野古の埋め立て工事に伴う臨時制限水域を示す海面のブイ(浮標)などを固定するためのアンカー(いかり)として、最大45トンのブロックなど75個を海底に投入。これに伴うサンゴの破壊が、市民団体の調査などで明らかになっています。
「粛々と進める」
菅義偉官房長官は26日の記者会見で、「アンカーの設置は県と調整して行っている。調査は一方的で遺憾だ」と非難し、新基地建設を「粛々と進める」と述べました。
しかし、昨年11月の県知事選で「辺野古に新基地を造らせない」と公約した翁長雄志氏が圧勝するなど、一連の選挙で示された民意を政府側が完全に無視し、「粛々」と工事を進める方が、だれが考えても「一方的」です。
また、「県と調整して行った」と言いますが、ここでいう「県」は新基地推進の立場を表明してきた仲井真前県政のことです。民意に沿って県の政策が変わった以上、これを尊重するのが民主主義国家として当然の対応です。
加えて重大なのは、政府が行ったブロック投入は、前県政時の許認可をも逸脱している可能性があるということです。
翁長県政は、アンカー投入について沖縄防衛局と複数回のやりとりを行ってきました(表)。県の「漁業調整規則」に基づき、前県政が防衛局に与えた岩礁破砕許可の区域外にブロックが投入され、海底が破壊されている可能性があったからです。
県の規則によれば、「無許可行為」が確認された場合、許可の取り消しや原状回復を命じることができます(漁業調整規則にもとづく『岩礁破砕等の許可に関する取扱方針』)。一連の規則は漁業法や水産資源保護法などの法令に基づいています。
防衛局は、許可区域外へのブロック投入を認めたものの、「ブイの一部であり、県との手続きの対象外」であると強弁を繰り返しました。
行政として当然
県側は、巨大ブロックの投入は「(ブイを固定するための)アンカーというには(大きすぎて)厳しい」(翁長知事)として、ブロックの位置や海底の状況を確認するため、潜水調査を開始しました。規則違反の疑いがある場合、必要な調査を行うことは行政として当然の責務であると言えます。
一方、政府はこの調査に一切協力せず、県が指示した資料も期日中に提出していません。それにもかかわらず、県の対応を「一方的」と非難する資格などありません。
|