2015年2月28日(土)
自衛隊艦船、船舶検査 地理的制約なし
安保法制で政府案 武力行使に直結
政府は27日、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(昨年7月1日)を具体化する自民、公明両党の安全保障法制に関する協議会で、現行の船舶検査活動法から地理的制約をなくし、自衛隊艦船が地球規模で強制的な船舶検査活動ができるようにする改定方針を示しました。
現行法は朝鮮半島有事などを想定した「周辺事態法」の関連法として制定されたもので、日本周辺での有事(戦時)の際の任意の船舶検査に限定されています。政府は改定で国際貢献との名目も加え、シーレーン(海上交通路)上での船舶検査に道を開くことを検討しています。
軍艦による戦時の強制的な船舶検査(臨検)は、相手が停船に応じない場合、力ずくで従わせる必要があるため、国際法上、武力行使とみなされます。政府・自民党は船長の同意が必要ない強制的な検査まで認めたい考えで、憲法が禁じる海外での武力行使に直結する危険な活動です。
さらに政府は、海外で日本人がテロなどに巻き込まれた際の軍事救出作戦を可能にする自衛隊法改定についても与党側に検討を求めました。
安倍晋三首相は過激組織ISによる日本人殺害事件を口実に法整備の必要性を主張していますが、人質救出は海外での「殺し殺される」作戦そのもの。軍事専門家からも「非現実的」などと異論が相次いでいます。
他国軍への軍事支援の分野では、政府は新たに警戒監視や海賊対処などで連携することになる現場部隊間で、物品や役務を融通できるようにする自衛隊法の改定方針も提示。米軍やオーストラリア軍を念頭に、海外での軍事協力を一層推し進めるものです。
来週の協議会では、集団的自衛権行使に直接関わる法制が議論される見通しです。