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2015年2月23日(月)

イエメン大統領 辞表撤回

軟禁脱出 “クーデター無効”

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地図:イエメン

 【カイロ=小泉大介】イエメンのハディ大統領は21日、反体制派武装組織により軟禁状態に置かれていた首都サヌアの公邸から脱出するとともに、声明を発表し、武装組織の圧力のもと1月22日に議会に提出した辞表を撤回する意向を表明しました。武力による政権転覆の試みが大きな国際的批判を浴びている反体制派にとってはさらなる打撃となる可能性があります。

 ハディ大統領は公邸脱出後、南部の都市アデンに避難。「イエメン大統領」名で出した声明で、イスラム教シーア派系のザイド派武装組織がサヌアに進出した昨年9月以降に実施した政治的措置について、「無効かつ非合法なクーデターだ」として拒否しました。大統領側近は「ハディ氏はいまも正当な大統領だ」と強調しました。

 ザイド派武装組織は1月に大統領府を武力制圧したのに続き、2月6日には議会を解散した上で、5人のメンバーで構成する暫定統治機構「大統領評議会」の設立を宣言していました。

 これに対し多数派であるイスラム教スンニ派の政治勢力や国民が強く反発し、各地でデモを挙行。国連やアラブ連盟、湾岸協力会議(GCC)など国際社会も相次いで武装組織を非難し、ハディ大統領の復職を求める立場を示しました。また政治的混乱と治安悪化から、米英仏や日本など各国がサヌアの大使館を一時閉鎖する事態に至りました。

 イエメンでは2011年のいわゆる「アラブの春」の民衆蜂起で、33年間にわたり大統領の座にあったサレハ氏が退陣に追い込まれ、副大統領だったハディ氏が翌年の選挙を経て新大統領に就任しました。しかし、北部に拠点を置くザイド派武装組織が、新政府の緊縮政策に不満を持つ国民などの支持も得ながら台頭し、現在は「内戦」の危機が指摘される状況に陥っています。

 今回の大統領声明を受け、国連仲介による各派の話し合いが進展するのか、それとも衝突と混乱がいっそう深まるのか、イエメン情勢は正念場を迎えています。


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