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2015年2月20日(金)

主張

武力行使新3要件

見えた「集団的侵略」の危険

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 安倍晋三政権が法制化を狙う集団的自衛権行使の危険な本質が国会論戦を通じていよいよ明らかになっています。日本共産党の志位和夫委員長が衆院本会議の代表質問(17日)で、米国が違法な先制攻撃を行った場合でも、安倍内閣が決めた集団的自衛権行使の「新3要件」を満たしていると判断すればこれを発動するのかとただしたのに対し、首相は否定しませんでした。米国の無法な戦争に日本が参戦し、武力行使する道を開こうとする重大な姿勢です。

先制攻撃時も排除せず

 安倍内閣が昨年7月に強行した「閣議決定」は、日本が武力攻撃を受けていないのに他国への攻撃を武力で排除する集団的自衛権の行使について、憲法上許されないとしてきた歴代政府の見解を百八十度転換し、行使を可能としました。その口実として設けたのが武力行使の「新3要件」です。他国に対する武力攻撃が発生したことにより、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、これを排除するため必要最小限度の実力を行使できるというのが要点です。

 この「新3要件」にある「他国に対する武力攻撃」には「他国が行った先制攻撃の結果、相手側から受けた武力攻撃」も含まれるのかとの野党議員の質問に対し、安倍首相は「その事案はさまざまな複雑な国際関係の中で生起する」「(日本が)武力行使するのは『新3要件』を満たすか否かの中で判断する」と述べ、排除しませんでした(2日、参院予算委員会)。

 志位氏は、代表質問で、「先制攻撃は国際法違反の侵略行為」であり、米国がベトナム戦争やイラク戦争など先制攻撃を繰り返してきた事実を示し、「米国が違法な先制攻撃を行った場合でも、『新3要件』を満たしていると判断すれば集団的自衛権を発動するというのか」とただしました。

 首相は「いかなる場合に『新3要件』を満たすことになるかは個別具体的な状況に照らして総合的客観的に判断される」と答えるだけで、否定しませんでした。発動することになれば「集団的自衛でなく集団的侵略そのもの」(志位氏)になります。米軍と肩を並べて「海外で戦争する国」に突き進むことは許されません。

 安倍首相は、「新3要件」の「国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」に該当する事例として、ペルシャ湾のホルムズ海峡に機雷が敷設され、日本への石油供給が止まることを改めて挙げました(16日、衆院本会議)。「新3要件」を満たすかどうかについて政府の判断が恣意(しい)的に行われる危険は明らかです。

歯止めはまったくない

 中谷元・防衛相は「経済は国の存立の基盤であり、この基盤自体が脅かされるかどうかも(『新3要件』の)判断の対象」であり、「地理的な制約」もないとして、日本の自動車や機械をヨーロッパに輸出する航路である紅海のバブ・エル・マンデブ海峡での機雷掃海もあり得るとの考えを示しました(19日、衆院予算委)。歯止めなど全くないことを示す答弁です。

 憲法違反の「閣議決定」を撤回させ、これを具体化する一切の法案づくりを中止させる運動と世論を強めることが必要です。


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