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2015年2月18日(水)

民意ぶつけ暴走を批判 経済政策の転換を提起

志位委員長の代表質問 衆院本会議

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 17日の衆院本会議での代表質問で、安倍政権の政治姿勢を正した日本共産党の志位和夫委員長。暮らしと経済の問題では三つの転換を提起し、安保・外交の分野では、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回・法整備中止、沖縄新基地建設断念を迫りました。


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(写真)志位和夫委員長の代表質問が行われた衆院本会議=17日

消費税増税路線

景気悪化しないとどうしていえる

首相「再増税、確実に実施する」

 経済と暮らしの問題について志位氏は、大企業の内部留保(グラフ・上)が285兆円に達する一方、年収200万円以下の貧困層は史上最多(グラフ・下)、実質賃金が18カ月連続マイナスになっている事実を提示。「大企業がもうかれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回る(トリクルダウン)という安倍政権の経済政策は根本が誤りであり、もたらしたものは格差拡大だけだったことは事実が証明している」と告発し、三つの抜本的転換を提起しました。

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 一つは消費税増税路線からの転換です。

 志位氏は、昨年4月の消費税増税で個人消費が昨年1年間で、過去20年で最大の落ち込みとなるなど、日本経済が深刻な危機に陥っていることを指摘。「今日の景気悪化の原因が消費税増税にあるとの認識はあるか」とただし、過去2度の消費税増税で「失敗しているのに3度目で景気が悪くならないとどうしていえるのか」と迫りました。

 首相は志位氏が示した数値には答えず「目指しているのはトリクルダウンではない」「(4月の消費税増税が)個人消費に影響を及ぼしたことは事実であり、10%への引き上げを延期した」などと釈明。一方で消費税再増税については、「わが国に対する信認を確保するために確実に実施する」と答弁しました。

社会保障費の自然増削減路線

報酬減は介護難民を激増させる

首相、引き下げながら「処遇改善」と強弁

 第2は、社会保障費の自然増削減路線からの転換です。志位氏は、過去最大規模となる2・27%の介護報酬引き下げについて、介護の現場では、東京都内の約半数の特別養護老人ホームで職員が定数に満たないなど深刻な人手不足にあえいでいることを東京都高齢者福祉施設協議会の調査結果をもとに紹介。「介護報酬引き下げが現場の危機に拍車をかけることは明瞭だ」と主張し、「『介護難民』を激増させる介護報酬削減は中止すべきだ」と強く求めました。

 志位氏は、空前のもうけをあげている大企業には1・6兆円もの大減税をばらまこうとしているとして、「社会保障費の自然増削減路線は中止し、大企業にばらまくカネがあるなら社会保障にこそ使うべきです」と求めました。

 首相は、介護報酬全体を引き下げながら、個別に加算を設けたことなどをあげ「介護職員の処遇改善は確実に実施されると考える」と強弁しました。

 また、「持続可能性」「効率化」を口実に社会保障費削減を正当化しました。

人間らしく働くルール

雇用のルール破壊は許されない

首相、「岩盤改革」と労働法改悪表明

 第3の転換は、雇用のルール破壊を許さず、人間らしく働けるルールをつくることです。安倍内閣が「岩盤規制」打破の名で、雇用をめぐる二つの重要法案を提出しようとしていると指摘。約4割に及ぶ非正規雇用、長時間労働、「サービス残業」、「ブラック企業」が横行しており、「岩盤」どころか「軟弱地盤」が現状だと告発しました。

 同じ仕事で無期限に派遣労働者を使い続けられるようにして、正社員から派遣へ大量の置き換えがすすむ派遣法改悪案と、現状でも財界・大企業が「過労死ライン」を超える長時間労働を強制しているもと、過労死をまん延させる「残業代ゼロ」法案の国会提出の断念を迫りました。

 その上で、志位氏は、人間らしく働けるルールを提示(別項)しました。

 安倍首相は、「岩盤のように固い規制に対して、強い決意をもって改革を断行する」と弱い雇用ルールさえ破壊する姿勢を改めて示しながら、まともな根拠も示さず「過労死がまん延するなど考えられない」と言い訳。最低賃金の地域格差是正についても「全国一律の最低賃金制は困難」などと背を向けました。

人間らしく働ける雇用のルールの提案

 ○派遣を臨時的・一時的業務に厳しく限定する派遣法抜本改正、均等待遇ルールをつくり、非正規雇用から正社員化の流れをつくる

 ○「サービス残業」「ブラック企業」をなくし、「残業は月45時間まで」と定めた大臣告示を法律化して、異常な長時間労働をただす

 ○中小企業支援の抜本的強化と一体に最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、全国一律最低賃金制を確立する

安保法制

志位 米戦争への「戦地」派兵が狙い

首相、「反撃」を否定できず

 志位氏は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(昨年7月1日)を具体化する安全保障法制の整備について、安倍首相が米軍等に対する自衛隊の「後方支援」を拡大する「恒久法」に言及していることを指摘しました。昨年の国会論戦で首相は、アフガン・イラク戦争のような戦争を米国が起こした際、自衛隊が従来の「戦闘地域」で軍事支援し、相手から攻撃を受けた場合の「武器使用」(=応戦)も認めています。(別項)

 志位氏は、このような「戦地」派兵を具体化するのが「恒久法」であり、「米軍と自衛隊が肩を並べて戦争するための法整備だ」と追及。首相は「武器を使って反撃しながら支援を継続するようなことはない」と述べ、反撃の可能性自体は否定できませんでした。

 さらに志位氏は、米国等の同盟国が先制攻撃を行った場合の集団的自衛権行使も除外しないと首相が答弁していることについて、「先制攻撃は国際法違反の侵略行為だ」と批判。「米国が違法な先制攻撃を行った場合でも集団的自衛権を発動するなら、『集団的侵略』そのものだ」と見解をただしました。

 首相は「個別具体的な状況に照らして総合的・客観的に判断される」と先制攻撃での発動を否定しませんでした。

 志位氏は憲法違反の「閣議決定」の撤回と、それにもとづく一切の法改悪作業の即時中止を求めました。

集団的自衛権行使容認をめぐる安倍首相の国会答弁

 笠井亮衆院議員 (集団的自衛権行使容認の)「閣議決定」では「戦闘現場」に自衛隊が居合わせることを想定しているのではないか。

 安倍晋三首相 そこが戦闘行為の現場になる可能性はある。(2014年7月14日、衆院予算委員会)

 小池晃参院議員 (戦闘の可能性のある場所に)行って活動させると言いながら、最高指揮官として武器は絶対に使用しないというのか。

 安倍首相 当然、身を守るために、また任務を遂行するための武器の使用はあり得る。(2014年7月15日、参院予算委員会)

 大塚耕平参院議員(民主) 密接な関係にある他国が先制攻撃をした結果、第三国から日本の盟友たるその他国に攻撃があったケースでも、具体的な武力行使に該当するとして必要条件を満たすかと考えるか。

 安倍首相 純粋に閣議決定との関係において言えば、(武力行使の)新3要件を満たすか満たさないかによる。(2015年2月2日、参院予算委員会)

沖縄新基地

志位 最新鋭巨大基地が正体だ

首相、破たん答弁に固執

 志位氏は、昨年の沖縄県知事選と総選挙で名護市辺野古への米軍新基地建設反対の「オール沖縄」の意思が「疑いようのない明確さで示された」と強調。安倍首相が選挙結果を「真摯(しんし)に受け止める」といいながら、翁長雄志知事との対話拒否、沖縄振興予算の減額、抗議行動の暴力的排除によって強権的に新基地建設につきすすむ姿勢を「民主主義の国では絶対に許されない」と批判しました。

 首相は「政府の姿勢が民主主義に反するとは考えていない」と強弁しました。

 さらに志位氏は、「新基地は普天間基地の単なる『移設』などという生やさしいものではない」と述べ、6点にわたり大幅な基地機能の強化が図られることを指摘(別項)。「半永久的に使用できる最新鋭の巨大基地――これがいま進められていることの正体ではないか」と追及しました。

 首相は、「基地機能強化とか巨大基地建設との指摘は全く当たらない」などと、昨年来の破たんずみの「負担軽減」論に固執。岸壁の追加について「(故障航空機を搬出する)運搬船のため」であり、「強襲揚陸艦の運用を“前提”とするものでは全くない」と述べたものの、接岸の可能性は否定しませんでした。

 志位氏は、選挙結果を「真摯に受け止める」なら新基地建設をただちに断念し、普天間基地の無条件撤去を米国と交渉すべきだと求めました。

どこが“負担軽減か―辺野古新基地の機能

 ・滑走路―普天間基地の1本から新基地1800メートル2本へ

 ・4万トン超える強襲揚陸艦接岸可能―海兵隊の一大拠点に

 ・普天間基地にはない弾薬搭載エリアを新設

 ・キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫と合わせ普天間の5倍の面積に(図)

 ・キャンプ・ハンセン、北部訓練場などと連動し海兵隊基地機能強化

 ・耐用年数は200年。23世紀まで沖縄を基地の鎖で縛る

 

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