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2015年2月18日(水)

「環境保全は不十分」

辺野古 防衛省有識者委員が認識

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 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に向けた環境影響評価の補正にあたり、防衛省が「専門的観点からの助言を得る」として設置した有識者研究会の委員の1人が、辺野古の埋め立て承認の法的な要件である「環境保全措置」が不十分との認識を示していたことが分かりました。横浜国立大の松田裕之教授が自身のブログに記しています。

 政府は2012年12月、環境影響評価の最終段階である補正評価書を沖縄県に提出。13年3月、同書を「環境保全措置」の根拠として辺野古の埋め立て承認を申請しました。仲井真弘多知事(当時)は同年12月、「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置が講じられている」として埋め立てを承認しました。

 これに関して松田氏は14年1月のブログに、「知事が環境保全措置からみて認可できないとはいえないと言ったようですが、逆に言えば、拒否できないともいえません。保全措置が十全でないことは明らかです」と記しています。

 その理由について松田氏は、本紙に対し、「有識者研究会は補正書の妥当性を判断する立場にない」とした上で、「保全措置が十分だとお墨付きを与えたことはない。環境への影響があることは検討会の報告書にも記している」との見解を示しました。

 防衛省が評価書の補正について、「有識者の助言も得ながら…適正に実施」したと評価したことについては、「研究会の見解ではない」と述べました。

 有識者研究会は12年12月に提出した最終報告書で、環境影響評価書は「(環境への)『影響が小さい』『影響がほとんどない』等の抽象的な表現が多く、その根拠が明確になっていない」などとして、具体的な根拠を示すよう求めています。

解説

沖縄・辺野古埋め立て

取り消し・撤回は可能

 米軍新基地建設に伴う沖縄県名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事について、政府が「環境保全措置が取られている」と断定する根拠は環境影響評価の補正書にあります。これは、「環境保全は不可能」と断言していた仲井真弘多・前沖縄県知事の意見(12年3月)を踏まえ、「補正」したという体裁を取ったものです。

 しかし、補正書の作成にあたり専門的見地から助言した有識者から、“環境保全は不十分”であり、知事は埋め立て申請を拒否できるとの見解が示されていたことは重大です。

 これ以外にも、沖縄県環境影響評価審査会の宮城邦治会長が、「十分に環境保全対策ができるかどうか懸念を持っている」(14年2月24日、県議会百条委員会)と述べています。政府も仲井真前県政も、専門家の知見を無視して「結論ありき」で辺野古の埋め立て承認へと突き進んだ疑いが濃厚です。

 翁長雄志現知事は、仲井真氏による埋め立て承認の「法的な瑕疵(かし)」の有無を検証する第三者委員会を発足させました。その最大の焦点が、公有水面埋立法4条に定めている承認の要件のうち、環境保全措置の適否です。

 翁長氏は、法的瑕疵が確認された場合、埋め立て承認の取り消し・撤回に踏み切る考えですが、それは十分に可能です。

 (竹下岳)


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