2015年2月17日(火)
14年の実質GDP成長率0.0%
「アベノミクス」が日本経済成長止めた
消費税増税、金融緩和…庶民生活圧迫
内閣府が16日発表した2014年の国内総生産(GDP、速報値)で、14年の年間を通した実質GDP成長率は0・0%となり、経済成長が止まりました。安倍晋三政権の経済政策である「アベノミクス」が、日本の経済成長を阻害していることが改めて示されました。
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安倍政権は14年4月、国民の多数の反対を押し切って、消費税率の8%への引き上げを強行しました。この消費税増税が庶民の所得を奪い続けています。日銀による金融緩和は、物価上昇をもたらし、原材料高騰を価格に転嫁できない中小企業の営業を直撃し、庶民の生活を圧迫しています。
トルコで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は共同声明で、日本を名指しし、「回復は続いているものの、緩慢だ」と警告を発していました。
14年の実質GDP成長率の内訳を見ると、金融緩和を引き金とした円安で輸出(8・2%増)は拡大したものの、個人消費はマイナス1・2%となり、全体を押し下げました。消費の落ち込みの背景には、賃金の上昇が物価の上昇に追いついていない実態があります。毎月勤労統計調査(速報)によると、14年の実質賃金指数は前年比2・5%減で、3年連続の減少。減少幅はこの3年間で最大を記録しました。同年12月単月では前年同月比1・4%減となり、18カ月連続マイナスでした。
この結果、14年の実質雇用者報酬は、前年比で1%減、金額にして約2兆6000億円減少したことになります。
内閣府の「日本経済2014〜15」(ミニ経済白書)によると、消費税増税は、14年内において個人消費を1兆円弱押し下げたと推計しています。ニッセイ基礎研究所の経済研究部経済調査室長の斎藤太郎氏は、同社のホームページで、10〜12月の実質GDPが前年同期比で0・5%のマイナスだったことを受け、「駆け込み需要とその反動の影響を除いて考えてもこの1年間の日本経済はマイナス成長だったということになる」と指摘。「消費税率引き上げによる悪影響は家計部門を中心に残っている」と強調しています。
今年に入ってからも、暮らし向きは悪化しています。1月の消費動向調査によると、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)のうち「暮らし向き」と「収入の増え方」は、それぞれ0・2ポイント低下しています。
時事通信が実施した2月の世論調査によると、「アベノミクス」の下で経済格差の拡大を「感じる」と回答した人は63%に達しています。
庶民を犠牲にして一部の富裕層や大企業に恩恵を与える「アベノミクス」を転換し、国民の所得を増やす経済改革がいよいよ求められています。(金子豊弘)