2015年2月13日(金)
施政方針演説
“白紙委任”ではない
「戦後以来の大改革」 国民多数は反対
「戦後以来の大改革」。これが安倍晋三首相の施政方針演説における最大のキーワードです。そこには、二つの特徴がみられます。
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一つは、「大改革」の中身は国民が求めているものではなく、大企業のもうけを最優先にした自民党政治のさらなる暴走だということです。
大企業を優遇
農業生産法人の要件緩和を含む「農業改革」や環太平洋連携協定(TPP)の早期妥結、混合診療の導入による「医療改革」、法人税減税など大企業を優遇する施策を次つぎと打ち出し、その「断行」を宣言しました。いずれも財界・大企業が政権に実行を迫っているものばかりです。
景気悪化と格差拡大を招き、その破綻がはっきりした「アベノミクス」(安倍首相の経済政策)が「確実に成果をあげている」と強弁する一方で、介護報酬の引き下げや「残業代ゼロ・過労死促進」につながる労働改悪など、国民生活を壊す施策を「社会保障の充実」と称して提示しました。
もう一つの特徴は、平和憲法のもとでの歩みを「改革」の名で否定したということです。
首相は、国民の不安と批判が高まる「安全保障法制の整備」や戦後70年談話、沖縄新基地建設に関してまともな説明をすることなく、進めていく考えを表明。演説の最後には唐突に「憲法改正」まで持ち出し、「大改革」をやり遂げようと呼びかけています。
説明抜き宣言
深刻なのは、首相が「『安定した政治の下で、この道をさらに力強く前進せよ』。これが総選挙で示された国民の意思だ」と語り、「改革」にあたって、あたかも国民から白紙委任を得たかのように振る舞っていることです。さらに、「批判だけを繰り返しても何も生まれない」とのべたことは、異論に耳を傾ける姿勢がまったくないことを示しています。
しかし、安倍首相がやろうとしている政治には、国民多数が反対しています(グラフ)。「この道しかない」と説明抜きの“暴走突破”を宣言するしかないところまで、安倍政権は追い詰められているのです。