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2015年2月12日(木)

安倍首相 「残業代ゼロ」ごり押し

労政審議論ヤマ場 労使合意なし 断念こそ筋

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 サービス残業と過労死を増やす「残業代ゼロ」制度の導入など労働時間法制の改悪をめぐって政府の労働政策審議会の議論がヤマ場を迎えています。安倍内閣は、今週にも開く会合で報告書のとりまとめをねらっていますが、ごり押しは許されません。

 審議会では昨年9月から議論が行われてきましたが、「残業代ゼロ」制度など時間規制改悪に反対する労働者側と、同制度の導入など時間規制の骨抜きを求める使用者側との間で意見が対立し、合意は得られていません。

 労働政策は労働者と使用者、公益委員の三者で協議し、合意にもとづいて進めていくのが、国際労働機関(ILO)条約で定められた国際的ルールです。これに照らせば、労使合意のない「残業代ゼロ」制度などはきっぱり断念すべきです。

財界に従う

 ところが、厚労省は6日の審議会に報告書案を示し、受け入れを迫っています。報告書案は「残業代ゼロ」制度をはじめ財界が求める労働時間規制の改悪をすべて盛り込む一方、労働者側が求める「労働時間の上限規制」「勤務間休息時間(次の仕事までの休息時間)」など規制強化を盛り込んでいません。

 厚労省は「労使が一致したものを盛り込んだ」(労働条件政策課長)と強弁するものの、労働者側から「労使で一致しない新たな労働時間制度(残業代ゼロ制)をなぜ盛り込んだのか」と批判され、答弁できないありさまです。

 さらに同省は「時間でなく成果で評価される働き方を導入する必要がある」といいながら、「法律を改正しなくても導入できる」と認めるなど法改悪の論拠も完全に崩れています。

異常な圧力

 同省が導入に固執する背景には、安倍内閣の姿勢があります。

 安倍内閣は昨年、労働者代表がいない産業競争力会議で「残業代ゼロ」導入など労働法制改悪を打ち出し、「成長戦略」や「規制緩和計画」の閣議決定に盛り込み、審議会にその導入を迫ってきました。

 今年になってからも安倍首相が「多様で柔軟な働き方を進めるもので残業代ゼロとは違う」(1月27日、衆院本会議)とけん制。「時間でなく成果で評価する働き方の導入を進める」(2日、参院予算委員会)と異常な圧力をかけ続けています。

 安倍内閣の暴走には審議会で労働者側が「きわめて違和感を覚える」と厳しく批判。「労使合意もない改悪を押し付けるな」「残業代ゼロではなく過労死ゼロのために規制強化こそやるべきだ」との声が広がっています。

 (深山直人)


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