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2015年2月12日(木)

主張

医療保険料「滞納」

負担の軽減こそが急がれる

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 国民の約3割が加入する国民健康保険の保険料(税)や75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料を払うことができず、滞納する人たちの問題が深刻です。保険料を完納できない人にたいする正規の保険証取り上げも各地で容赦なく行われています。保険証がなくて必要な医療を受けられず、命を落とす事態も後を絶ちません。保険料負担の重さがこれほど大問題になっているのに、安倍晋三政権がやろうとしているのは、逆に保険料の引き上げです。国民の暮らしと健康を考えていないのか。

引き上げ狙う安倍政権

 厚生労働省が1月末公表した国保と「後期医療」の財政状況の資料は、両制度が抱える問題をあらためて浮き彫りにしています。

 市区町村が運営する国保では、保険料滞納数(2014年6月時点)が全国で360万世帯を超え、全加入世帯の17%以上です。国保料があまり高すぎるためです。保険料は市区町村ごとに決められますが、年間所得250万円の4人家族に年45万円もの保険料を求めるケースもあり、とても負担に耐えられる額ではありません。

 完納できない世帯には、正規の保険証に代わり、「資格証明書」や、有効期限が短い「短期保険証」が発行されます。事実上の「制裁」です。「資格証明書」が発行されたのは約26万4500世帯、「短期保険証」が発行されたのは約114万3300世帯にのぼります。

 「資格証明書」では、医療機関の窓口で10割全額支払わなくてはなりません。保険料を払えない世帯が窓口で全額負担できるはずもなく、どんなに具合が悪くても受診を我慢し、病院に運ばれたときは手遅れで死亡する痛ましい事態が各地で大問題になっています。

 「無保険者」をこれほど多く生んでいる実態を放置できないことは明らかです。平均所得が健保加入世帯の4割程度しかない国保世帯に、高すぎる保険料を強いている根本問題の打開こそ必要です。

 安倍政権が今国会に提出を狙う、国保を都道府県単位に再編するなどの法案は、問題解決に背を向けるばかりか、保険料軽減のために行われている市町村財政からの繰り入れをなくす方向の重大な改悪です。負担軽減を求める住民の声に逆らう改悪は許されません。

 改定のたびに引き上がる75歳以上の「後期医療」保険料の負担も深刻です。厚労省調査では滞納者数は約23万8000人で、「短期保険証」を発行された高齢者は2万3300人余と過去最多を更新しました。ほとんどは年金からの天引き対象になっていない低年金・低所得の高齢者とみられます。

 負担に苦しむ高齢者がこれほどいるなかで「後期医療」保険料の軽減措置を廃止し、さらに上げようとたくらむのが安倍政権です。実施されれば保険料が5〜10倍にはね上がる高齢者も生まれます。逆行した改悪は断念し、年齢差別と負担増の制度は廃止すべきです。

国庫負担の増額こそ

 国保では保険料引き下げへ自治体の独自努力を求めるとともに、これまで減らされ続けてきた国庫負担を元に戻させることが必要です。誰もが払える保険料に軽減することは国の責任です。

 滞納した人の生計費などをいきなり差し押さえるような人権無視の強制徴収は、絶対に行うべきではありません。


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