2015年2月7日(土)
“政府の姿勢見てから”
「慰安婦」番組制作で NHK会長
放送の自律性・自由否定
NHKの籾井(もみい)勝人会長は5日の定例記者会見で、戦後70年にあたって従軍慰安婦問題を番組で取り上げるかを問われ、「正式に政府のスタンスがよく見えないなかで、放送するのが妥当か慎重に考えなければならない」と述べました。これは政府が8月に発表するとしている「戦後70年談話」を待って、番組制作の方向を判断しようとする姿勢を示したものです。
籾井氏はさらに「政府のスタンス」について、従軍慰安婦に関する政府談話について聞かれ、「挑発するような質問はやめてください」とさえぎりました。
籾井氏は昨年1月の就任会見で「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」などと政府追随の発言を繰り返し、厳しい批判をあびました。
戦前の放送の反省から、戦後1950年に制定された放送法は「放送の不偏不党」「自律の保障」「表現の自由」をうたい、政府からの独立を理念としています。昨年の発言は放送法の精神を真っ向から踏みにじるものでした。
籾井氏はその後「発言を取り消す」と表明しましたが、国会で「考えは変わっていない」と答弁しました。今回の発言は、籾井氏の政権同調の姿勢が何ら変化はなく、NHKの放送の自律性、番組制作の自由を会長みずから否定しようとしたものといえます。