2015年2月5日(木)
介護費用削減 矛盾に直面
要支援サービス 自治体移行7%だけ
来年度 厚労省調べ
介護保険の「要支援1・2」の高齢者(約170万人)向けサービスを介護保険から外して市町村による別のサービスに移行させる制度改悪で、初年度の2015年度中に移行できるのは114自治体(34都道府県)で、全体のわずか7・2%にとどまることが、厚生労働省の調べで4日までに明らかとなりました。介護費用削減を狙った改悪が深刻な矛盾に直面していることを示しています。
全1579自治体(広域組織を含む)を集計したもので、都道府県別でみると13府県で移行自治体がゼロでした。最も多い大分でも10、東京9、埼玉、神奈川両県が8と続いています。15年度移行の114自治体のうち当初の4月に移行できるのは78でした。
移行自治体は16年度でも277(17・5%)にとどまり、17年度が最多の1069(67・7%)。時期未定も119(7・5%)ありました。大多数は最終期限の17年度に先送りしており、移行するうえで困難を抱えていることを示しています。
市区町村に移されるのは、予防通所介護(デイサービス、50万人利用)と予防訪問介護(ホームヘルプ、45万人利用)。これまでヘルパーなど介護専門職が行ってきたサービスを、ボランティアなど非専門職による安上がりサービスに置き換えます。
サービス事業には予算に上限がつけられ、自治体は給付費の抑制を求められます。自治体や利用者からは「ボランティアなど受け皿がなく、移行は困難」「サービスが低下し、重度化が進む」との声が上がっています。