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2015年2月2日(月)

「邦人救出」口実に自衛隊派兵

安保法制 協議中止を

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 過激組織「イスラム国」による日本人人質・殺害事件にかかわって、安倍内閣は「邦人救出」のための自衛隊派兵法の整備を急ぐ姿勢を示しています。海外で危険にさらされる邦人の保護は政府の責務ですが、それに乗じた海外での軍事作戦の法整備など許されません。

 安倍晋三首相は、邦人が人質になっている場合、「自衛隊の持てる能力を生かし、その救出に対応できるようにすることは国の責任だ」(1月29日の衆院予算委員会)と答弁。現在の自衛隊法では海外で邦人の輸送はできるが「武器の使用はできない」と強調し、「たとえ日本人だけが人質になっていて、(現地の警察や軍にくらべて)こちらの装備が上回っていてもそれ(救出)はできないのはおかしい」と述べました。

官房長官「検討」

 集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(昨年7月1日)では、「領域国の同意に基づく邦人救出などの『武力の行使』を伴わない警察的な活動」に向け、法整備を進めるとしており、今回の事件をきっかけに一気に具体化する構えです。しかし、「イスラム国」は領域国の支配が及ばない地域を形成しており、そこで「邦人救出」となれば「閣議決定」の枠組みを超える軍事行動を行うことになります。

 菅義偉官房長官も、後藤健二さんの殺害情報を受けての1日の記者会見で、自衛隊による邦人救出の法整備について「検討していく」と述べました。

 そもそも「邦人救出」とは、人質をとる勢力を制圧する軍事作戦です。人質の生命・安全も保証されません。自衛隊がその制圧のために武器を使うことは、政府の憲法9条解釈のもとでも禁止された「武力の行使」にあたります。「居留民の保護」が侵略の口実とされた戦前の教訓からも、「邦人救出」を口実にした海外派兵は許されません。

 さらに安倍首相は「後方支援は武力行使ではないから、国連の決議がない場合、有志連合、多国籍軍にあっても憲法上は可能だ」(1月25日のNHK党首インタビュー)と発言しました。「イスラム国」に対し空爆を続けている米英などの「有志連合」のように、国連決議に基づかない軍事行動への後方支援も日本は可能だという立場です。

検証はこれから

 安倍首相は、「イスラム国」対策としては後方支援は行わないとも述べましたが、それは「政策的にやらない」というだけで“憲法上は可能”だというのです。集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の具体化に向けた安保法制整備は、後方支援に参加し、世界的な対テロ戦争に参加できる枠組みをつくろうとするものです。安倍首相の発言はまさに「海外で戦争する国」づくりの危険性を露骨に示しています。

 2月上旬に安保法整備の与党協議が始まるとの報道もありますが、今回の事件の検証はまさにこれからです。短期、中長期の深い多面的な検証が求められます。それもないままに、邦人救出の軍事作戦や対テロ戦争に参加する枠組みを「整備」することなど絶対に許されません。(中祖寅一)


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