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2015年1月29日(木)

補正予算財政演説に対する

井上議員の代表質問

参院本会議

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 日本共産党の井上哲士議員が28日、参院本会議で行った2014年度補正予算財政演説に対する代表質問は以下の通り。


許されない「イスラム国」の蛮行――人命優先で解決を

 質問に先立ち、いわゆる「イスラム国」とみられる集団による残虐非道な蛮行を厳しく非難するものです。人質とされていた湯川遥菜(はるな)さんを殺害したとしていますが、絶対に許されません。新たな投稿があった後藤健二さんの解放を強く求め、政府に対し、人命最優先で解決するためにあらゆる努力を尽くすことを求めるものです。

国民多数が反対の問題「虚構の多数」で強行か

写真

(写真)代表質問をする井上哲士議員=28日、参院本会議

 今国会は総選挙後に初めて開かれるものでありながら、総理が国政にどう臨むかを示す所信演説が行われないことは重大です。そこで私はまず、総理の基本姿勢について質問します。

 総理は昨年の解散を「アベノミクス解散」と呼びました。ところが総選挙で与党が多数を得ると、「この道しかない」としてあらゆる分野で信任されたかのように進めています。しかし、自民党の比例代表での有権者比の得票は17%にすぎず、3分の2を超える与党の議席は大政党有利に民意をゆがめる小選挙区による「虚構の多数」にほかなりません。

 総理は昨日、衆議院で「選挙に白紙委任はない」とし、消費税再増税、原発再稼働、集団的自衛権の行使容認などについても選挙中に語ったと答弁されました。しかし選挙後の世論調査は、このいずれにも国民多数が反対です。にもかかわらず数を頼んで強行するならば、白紙委任を受けたと考えているに等しいではありませんか。

民意は新基地反対――辺野古工事は中止せよ

 沖縄では、名護市辺野古への米軍新基地反対の「オール沖縄」勢力が、名護市長選、名護市議選、沖縄県知事選、衆院選挙の全ての小選挙区と4回連続して勝利し、民意が明確に示されました。ところが総理は、県民が選んだ翁長知事と会わず、逆に、抗議する住民を排除し辺野古での海上作業を再開しています。選挙の審判も、新基地反対の圧倒的県民世論も無視することは民主主義を否定する行為だと考えないのですか。

 沖縄県は、前知事による新基地建設工事のための埋め立て承認に瑕疵(かし)がなかったか検証委員会を設置しました。工事の根拠が問われ、反対の民意が明確なもと、辺野古新基地建設は中止し、断念をすべきです。

消費税増税不況は明らか――くらし応援へ転換こそ

 今回の補正予算案は、アベノミクスの下での実質賃金の低下に加え、昨年4月の消費税増税による深刻な景気悪化に伴う緊急経済対策です。1997年の5%への増税も消費不況の引き金になりました。同じ失敗を繰り返すのかという指摘に対し、総理は「5兆円の景気対策と合わせて実施するから大丈夫」だとして8%へ増税しました。その結果が、家計消費の落ち込みによるGDP(国内総生産)の2期連続マイナスという重大な増税不況となり、追加の経済対策が必要となったのです。

 消費税の増税が家計消費の打撃となり、低所得者ほど重い負担となって増税不況をつくり出すことは、これまでの2度の失敗で明らかです。

 くらしや景気がどうあれ、2年後には消費税を10%にする無謀な増税は中止すべきです。

 財政演説では、アベノミクスで「経済の好循環が生まれ始めている」としています。しかし、昨年12月の日銀のアンケート調査では、「生活にゆとりがなくなってきた」という人が3月以降連続して増えて、51・1%に達しました。一方、1年後に今より景気が「悪くなる」と答えた人は6月以降連続して増えて37・8%となり、「良くなる」と答えた人はわずか7・3%にすぎません。政府の認識と国民の実感は全くかけ離れています。

 なぜ、このような乖離(かいり)が生まれているのか。それは、アベノミクスが、企業や富裕層の利益さえ増やせば、いずれ国民全体に回り経済成長につながるという破綻した古いトリクルダウン(滴り落ちる)の考え方に立っているからです。

 OECD(経済協力開発機構)は昨年12月、「格差と成長」と題する報告書を発表し、「所得格差が拡大すると経済成長は低下する」とのべ、日本でもこの20年間で格差拡大によりGDPが5・6%押し下げられたと分析しました。そして同報告は、「格差問題に取り組めば社会を公平化し、経済を強固にすることができる」としています。総理は、格差の拡大が経済成長を阻害すること、逆に、格差是正のための経済政策こそ経済成長につながることを認めますか。

 政府が進めているのは格差のいっそうの拡大です。庶民増税の一方で、来年度から2年間で法人実効税率を3・29%引き下げ、1・6兆円もの減税を行おうとしています。史上最高の利益を上げ、285兆円もの内部留保をため込んでいる大企業に減税しても、これまで通り、賃上げには回らず、内部留保や株主配当に回るだけです。格差を拡大し、経済効果もない大企業減税はやめ、社会保障の充実など国民の暮らし応援にこそ転換すべきです。

軍事費拡大、武器の海外輸出は許されない

 補正予算案には軍事費2110億円が計上され、経済対策として、在沖縄海兵隊のグアム移転など「自衛隊の安定的な運用態勢、防衛施設の円滑な運用の確保」が盛り込まれました。なぜ、これが地方への好循環の拡大なのですか。

 国民には社会保障の切り捨てなどを押し付けながら、経済対策と称して軍事費を拡大することは許されません。

 総理は年頭会見で「平和国家としての歩みは変わらない」と述べました。ところが今、ステルス戦闘機F35、無人偵察機グローバルホーク、オスプレイ、水陸両用車両など新しい兵器調達が進められています。これによる装備体系の変更は、自衛隊を海外派兵型に作り替えるものです。さらに政府は、武器輸出三原則の撤廃により武器の海外輸出を推進し、非軍事に限られていたODA大綱を改定し他国の軍に対する支援を可能にしようとしています。「平和国家としての歩み」とは全く逆行するものではありませんか。

戦後・被爆70年――核兵器禁止条約の交渉開始に賛同を

 今年は、戦後70年の節目の年です。侵略戦争で国内外に多くの犠牲を生み出した痛苦の教訓から、二度と海外で戦争しないと誓った憲法の平和主義を守りぬくことこそ求められています。憲法に反する集団的自衛権行使容認の「閣議決定」に伴う法改悪は中止し、閣議決定の撤回を求めるものです。

 同時に今年は広島、長崎の被爆70年であり、5年ぶりに核不拡散条約再検討会議が開かれます。今、世界では核兵器の非人道性、残虐性を追及し、その廃絶を求める流れが発展しています。その大きな力が、高齢の被爆者が「命ある間に核兵器のない世界を」と自らの被爆体験を語り広げていることです。

 ところが昨年12月の第3回核兵器の人道的影響に関する会議において、日本の軍縮代表部大使は、核兵器の爆発が「対応できないほど悲惨な結果を招く」との見方は「悲観的過ぎる。少し前向きにみてほしい」と発言しました。核兵器の使用を前提した発言であり、絶対に許されません。このような発言が政府代表からなされるのは、日本が被爆国でありながら核抑止力論、「核の傘」依存の立場にあるからではありませんか。

 被爆70年の今こそこの立場から脱却すべきです。そして、圧倒的多数で採択されている核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議に対し棄権するという被爆国として恥ずべき態度をやめ、賛成すべきです。

 被爆70年にふさわしい総理の決断を求め、質問を終わります。


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