2015年1月27日(火)
躍進後初の国会論戦――国民の期待にこたえる大奮闘を
日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が26日、国会議員団総会でおこなったあいさつは次のとおりです。
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みなさん、おはようございます。通常国会の開会にあたって、ごあいさつを申し上げます。
「イスラム国」の人質事件
残虐非道な蛮行を強く非難――政府は人質解放のためあらゆる努力を
まず、過激組織「イスラム国」による人質事件についてのべます。
人質とされていた湯川遥菜さんが殺害されたとみられる写真がインターネット上に投稿されました。きわめて痛ましい事態であります。
このような残虐非道な蛮行は、絶対に許されるものではありません。強い憤りをもって非難します。
後藤健二さんをすみやかに解放し、ご家族のもとに帰すことを強く要求します。
日本政府に対して、人命最優先で、人質の解放のために、あらゆる可能性・条件を追求して、全力をあげることを求めるものです。
躍進後初の本格論戦
「共産党を伸ばしただけのことはあった」と評価していただける大奮闘を
この通常国会は、総選挙で21人への躍進をかちとってから、初めての本格論戦の舞台となります。国民のみなさんから、「共産党を伸ばしただけのことはあった」「もっと伸ばしたい」と評価していただけるような大奮闘を、衆参の32人の国会議員団が力をあわせておこなう決意を、まず固め合おうではありませんか。(拍手)
わが党は、1月20日に第3回中央委員会総会を開催し、総選挙の教訓、次期国政選挙の目標、当面する日本共産党の政治任務、いっせい地方選挙躍進のための方針を、全面的に明らかにしました。
そのなかで、第3次安倍政権をどうとらえ、どう立ち向かうかの基本姿勢についても、明らかにしました。
総選挙で私たちが訴えた「暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」がそのまま国政の大争点になってくること、戦後70年にあたって、憲法問題、歴史問題、核兵器問題の三つの大問題で、逆流を打ち破り、未来を開く新しい政治を起こすこと、いわゆる「政治改革」20年にあたって、政党助成金と小選挙区制という日本の政治を劣化・堕落させている二つの元凶をただすことなどを提起いたしました。この3中総決定の全体を生かして、この国会をたたかいぬきたいと思います。
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来年度政府予算案
社会保障切り捨て、大企業優遇、大軍拡推進の「三悪予算」――抜本的組み替えを求める
この国会のたたかいを展望しますと、安倍政権の暴走政治の全体が、一つは、来年度予算案という形で、いま一つは、法案という形で具体化されてきます。それにかみあわせて、安倍政権を追い詰め、国民の願いを実現する論戦と活動にとりくみたいと思います。
まず予算案という点ではどうでしょうか。
政府が決定した来年度予算案は、一言でいいまして安倍政治の害悪がぎっしり詰まった予算案となっています。昨日のNHK党首インタビューで、私は、三つの大問題がある、「三悪予算」だと厳しく批判しました。
社会保障費の「自然増削減」方針の中止、社会保障の拡充を求める
第一は、「社会保障のため」といって消費税大増税を強行しながら、社会保障費の「自然増削減」、すなわち制度改悪路線を復活・強化して、介護、年金、医療、生活保護など、手あたりしだいの社会保障の切り捨てを進めようとしていることであります。
たとえば、予算案には、介護報酬の2・27%引き下げ、過去最大規模の削減が盛り込まれています。介護の現場の実態は、介護職員のみなさんが頑張っておられますが、低賃金で慢性的な人手不足に苦しんでいます。特別養護老人ホームの3割は赤字経営に苦しんでいます。そういうもとで介護報酬を引き下げたら、経営が立ち行かなくなり、「介護難民」が激増するとの強い批判がおこっているではありませんか。
社会保障の「自然増削減」方針の中止、社会保障の拡充を求めて、大いにたたかいぬこうではありませんか。(拍手)
大企業に2年間で1.6兆円の大減税――そんな金があるなら福祉と暮らしに使え
第二は、その一方で、「財政再建」といいながら、空前のもうけをあげ、285兆円もの内部留保を抱えている大企業に、2年間で1・6兆円もの大減税をばらまこうとしていることであります。
いくら大企業に減税しても、減税分は賃上げや設備投資に回らず、内部留保が積み上がるだけで、何の効果もない。これはこの間の経過を見ても明らかです。そんな金があるならば、福祉と暮らしに使えと強く要求したいと思います。(拍手)
史上最大・5兆円の軍事費――「海外で戦争する自衛隊」への変質を許すな
第三は、3年連続で軍事費を増額し、史上最大の約5兆円を計上していることであります。その内容も、オスプレイや水陸両用車を買い入れるなど、自衛隊を、「海外で戦争する自衛隊」に変質させる重大なものです。
沖縄県民の県知事選挙、総選挙で示された民意を踏みつけにして、辺野古新基地建設に突き進もうとしている。そのための予算を80倍以上に増やしていることも絶対に許すわけにいきません。
こうして政府予算案は、社会保障切り捨て、大企業優遇、大軍拡推進の「三悪予算」になっています。わが党は、その問題点を徹底的に追及するとともに、国民の立場に立った抜本的組み替えを提起してたたかう決意を表明するものです。(拍手)
「改革断行国会」というが
「岩盤規制」打破と称して、雇用、農業、医療を壊す暴挙を許さない
法案という点ではどうでしょうか。
重大な対決法案がこの国会でたたかわれます。
その一つは、安倍首相が、「改革断行国会」と称して、持ち出そうとしている一連の法案であります。首相は、「岩盤規制」を打破する、自分が「岩盤」を破壊する「ドリル」になると言って、雇用問題、農協問題、医療問題などで、一連の法案を提起しようとしています。しかし、「岩盤規制」の打破なるものによって破壊されるのは、国民の暮らしだということを、私は、強調したいのであります。
雇用――「残業代ゼロ」、派遣法改悪を許さず、「人間らしく働けるルール」を
安倍政権が「雇用改革」と称して提出しようとしているのは、「過労死」を促進する「残業代ゼロ」法案、“生涯ハケン”“正社員ゼロ”に道を開く労働者派遣法の大改悪法案です。派遣法改悪法案は、2度の国会で廃案になったものですが、これを、またぞろ持ち出そうとしています。
首相は、口では「賃上げが必要」と言っている。ところが政府主導で「賃下げ」促進の法改悪をおこなう。こんなことは断じて許すわけにいきません。雇用破壊の二つの悪法を必ず葬り、「人間らしく働ける雇用のルール」をつくるたたかいに、全力をあげてとりくもうではありませんか。(拍手)
「農協改革」――最大の狙いは、TPP反対運動の要をつぶすことにある
安倍政権が「農協改革」と称して提出しようとしている法案も重大であります。
その最大の狙いは、JA全中のみなさんが、TPP反対運動の要として頑張ってきた、これが邪魔で仕方がない、だったらつぶしてしまえというところにあります。
わが党は、こうした日本農業破壊の企てには、断固反対をつらぬくということを表明しておきたいと思います。
国民の命と暮らしを守る「岩盤」破壊を許すな――共同のたたかいの発展を
さらに「医療改革」と称して、“老いも若きも大負担増”の改悪がたくらまれています。国民健康保険の都道府県単位化をはかり、歯止めのない保険料引き上げをすすめる、また、保険外医療の野放図な拡大につながる改悪をすすめようとしています。
こうして安倍首相が「岩盤」として破壊しようとしているのは、雇用でも、農業でも、医療でも、どれも国民の命と暮らしを守る「岩盤」であって、それを破壊するなどということは断じて許されるものではありません。
ナショナルセンターの違いを超えた労働組合のみなさん、全国の農協・農業関係者のみなさん、医療団体のみなさんと共同して、どの分野でも国民の立場に立ったホンモノの改革の対案を示して、安倍政権の暴挙を許さないたたかいに全力をあげようではありませんか。(拍手)
集団的自衛権具体化の法改悪
「『閣議決定』撤回、具体化の法制許すな」の一点で、国民的大闘争を呼びかける
いま一つ、今国会の最大の対決法案となるのが、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する法案とのたたかいであります。
「海外で戦争する国」づくりの危険性がいよいよあらわに
集団的自衛権行使の現実的な危険がどこにあるか。わが党は、昨年の国会論戦、総選挙の党首討論などで、安倍首相と論戦してきました。すっかり正体は明らかになりました。アフガン戦争、イラク戦争のような戦争を、アメリカがひき起こしたさいに、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事活動をおこなう。米軍と自衛隊が肩を並べて戦争する――「海外で戦争する国」づくりが正体だということは、すでにはっきりしています。
昨日のNHK党首インタビューで、安倍首相は、「イスラム国」に対する米国主導の「有志連合」による軍事行動への支援について、「政策判断として当面はやらない。しかし憲法上は可能だというのがわれわれの考えだ」と明言しました。「イスラム国」に対する米軍の空爆などへの支援も憲法上は可能だという、きわめて重大な発言であります。ここでも「海外で戦争する国」づくりの危険性があらわになってきました。
この暴挙を止めるために、党の総力をあげてたたかいぬく
安倍政権は、「閣議決定」を具体化する法案を、5月の連休明けに提出し、国会を延長してでも押し通す構えです。日本共産党は、衆参の国会議員団を先頭に、この暴挙を止めるために、党の総力をあげてたたかいぬく決意であります。
私は心から呼びかけたい。憲法違反の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回、「閣議決定」を具体化する法整備は許さない――この一点で、国会内で最大限の共同のたたかいをおこなうとともに、国民的大闘争をおこそうではありませんか。院内外が共同しての歴史的大闘争で、憲法破壊の暴挙を必ず葬ろうではありませんか。(拍手)
衆参両院の議案提案権
国民の願いを法案として提起し、現実政治を動かす仕事に新たな意気込みで
法案をめぐるたたかいは、安倍政権による悪法を阻止するたたかいだけではありません。総選挙での躍進によって、衆参両院で獲得した議案提案権を活用し、国民の願いを法案の形で提起し、現実政治を動かす仕事に、新たな意気込みでとりくみたいと思います。
政党助成法廃止法案を提出――論戦と運動で廃止のために全力をつくす
さきほど、日本共産党は、この国会での初仕事として、政党助成法廃止法案を衆議院に提出いたしました(拍手)。各党にもお届けいたしましたが、各党が真剣に検討していただくことを求めたいと思います。
日本共産党は、政党助成金という制度の、国民の思想・信条の自由を侵害する憲法違反の制度という本質、日本の政治をいかに劣化・堕落させているかなどの害悪について、国会論戦でも広く明らかにし、署名運動をはじめ国民的運動も広くおこして、政党助成金廃止のために全力をつくす決意を申し上げたいと思います。
ブラック企業規制法案――政府の前向きの動きを踏まえ充実・発展させて提起する
議案提案権を生かした活動という点では、参議院にブラック企業規制法案を提出したことが、大きな力を発揮し、国会論戦ともあいまって、厚生労働省に実態調査と違法行為の是正をさせるという第一歩の成果に結びつきました。
さらに、その後、厚生労働省は、若者の「使い捨て」が疑われる「ブラック企業」の求人をハローワークで受理しないという方向を決め、通常国会に関連法案を提出する動きとなっています。これも重要な前進と言っていいと思います。わが党は、政府のこうした前向きの動きともかみあわせた形で、ブラック企業規制法案をさらに充実・発展させて、適切な時期に提起するようにしたいと考えています。
衆参での議案提案権というのは、主権者である国民から私たちに与えられた重要な権利であります。これを効果的に、また縦横に活用して、現実政治を一歩でも二歩でも前に動かすために、知恵と力をそそいで頑張り抜こうではありませんか。(拍手)
「戦後70年」
歴史逆行の「安倍談話」は百害あって一利なし――「和解と友好」へ五つの基本姿勢こそ
今年は、「戦後70年」の節目の年であり、日本の進路をめぐる論戦も、この国会の重要な課題となります。
昨日のNHK党首インタビューで、安倍首相は、8月に「戦後70年談話」を発表するとの方針とのかかわりで、「村山談話」の核心的部分――「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのお詫(わ)び」という「キーワード」を引き継ぐのかどうかと、司会者から問われて、最後まで引き継ぐと言わず、司会者から「キーワードを同じように使うことではないのか」と問われて、「そういうことではない」と明言しました。
私は、その直後のインタビューでも批判しましたが、これは「村山談話」の一番の核心的な部分をあいまいにしていく、後退させていく、事実上否定していく、という姿勢がはっきり出た発言であり、きわめて重大であります。このような立場に立って「安倍談話」なるものを出すことは、百害あって一利なし(「そうだ」の声)ということを、きびしく指摘したいと思います。(拍手)
歴史問題では、3中総決定が提唱した、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向けた五つの基本姿勢が、たいへん大切であります。ヨーロッパでは、連合軍によるノルマンディー上陸作戦70周年の昨年、ドイツも含めてヨーロッパの国々が一堂に会して記念式典がおこなわれました。アジアでこうしたことがやれないというのは、異常な事態といわなければなりません。3中総決定が提唱した「和解と友好」に向けた五つの基本姿勢の立場に立って、国会でも大いに論戦をしていきたいと思います。
五つの基本姿勢
(1)「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱり反論する
(2)日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す
(3)靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚の参拝はおこなわないことを日本政治のルールとして確立する
(4)民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ
(5)「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす
14人の新人議員
国民の声、国民の願いを、国会に届ける「代弁者」として頑張りぬこう
みなさん。この国会では、総選挙で初当選した14人の新人議員のみなさんが、初陣を飾る国会となります。すでに立派に初陣を飾った方もおられます。14人もの新人議員のみなさんが初陣を飾るというのは、わが党の歴史にとっても、おそらく1970年代以来の久方ぶりのことだと思います。
ベテランの議員、新人の議員、みんなが力をあわせて、国民の声、国民の願いを、国会に届ける「代弁者」として頑張りたいと思います。この「代弁者」の仕事を、何のしがらみなく、まっすぐにできるのは、私たち日本共産党だけであります。わが党の強さはここにあると思います。この立場にしっかり立って国会論戦をおこなうならば、その論戦は大きな力を発揮することは間違いありません。そのことに自信と誇りをもって、のびのびと力を発揮して、頑張りぬこうではありませんか。(拍手)
以上をもって、開会にあたってのごあいさつといたします。この国会で、国民の期待にこたえる大きな成果をあげるように、みんなの力を合わせて頑張りましょう。(拍手)