2015年1月21日(水)
東電3原発 作業災害相次ぐ
福島第1・第2で2人死亡
東京電力の三つの原子力発電所で重大な作業災害が相次ぎ、東電は20日、臨時の会見を開きました。福島第2原発では20日に作業員が装置に頭部を挟まれて死亡、福島第1原発で19日にタンク天井部から内部に転落した作業員も20日死亡が確認されました。柏崎刈羽原発では19日、作業員が通路から転落して大けがをする事故が発生しました。作業手順書の不備や現場の安全管理の不十分さなどの実態が改めて明らかになりました。
東電の姉川尚史原子力・立地本部長は「三つの発電所でほぼ同時に重大災害が起こったことに共通しているのは、われわれの中に事故を防げない何物かがあると認識している。改善策に足りないことがあると思い知らされた」と述べ、対策を考えるとしています。
東電によると、20日午前9時30分ごろ、第2原発1、2号機廃棄物処理建屋で濃縮器の点検作業の準備をしていた下請け企業の作業員が、鋼鉄製の点検装置に頭を挟まれて、出血し意識不明となりました。ドクターヘリで病院へ搬送されましたが、正午ごろ死亡が確認されました。
作業は本来、クレーンでつる、ボルトを緩める、といった作業を3人以上で分担する決まりで、作業班長はそれを認識していましたが徹底されず、死亡した作業員が1人でボルトを緩めたことが原因とみられます。この決まりは手順書に明記されていませんでした。
一方、第1原発で雨水受けタンクから転落した作業員は19日正午前に病院に到着しましたが、20日午前1時すぎ死亡が確認されました。作業員は、タンク天板上部のマンホールのふたを動かした際にタンク内に約10メートル転落しましたが、装備していた安全帯を使った形跡はなかったといいます。
柏崎刈羽でも作業員大けが
柏崎刈羽原発では19日午後3時ごろ、2号機タービン建屋外側の部屋で、電源箱の点検で写真撮影をしていた下請け企業の作業員が通路から下におりるハシゴがある開口部から3・5メートル下に転落。左ひじ付近の骨折などの大けがを負いました。
第1原発では、今年度に入って死亡事故を含む重大事故が相次いでおり、災害発生件数は昨年度を大幅に上回っています(グラフ)。東電は21日、同原発の構内作業を原則としてすべて中止し、安全点検を実施するとしています。
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