2015年1月21日(水)
第3回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告
志位和夫委員長が20日、第3回中央委員会総会でおこなった幹部会報告は次のとおりです。
みなさん、おはようございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつを送ります。
第3回中央委員会総会の任務は、総選挙の教訓を明らかにし、当面する日本共産党の政治任務を提起するとともに、目前にせまったいっせい地方選挙での躍進をめざして全党の意思統一をはかることにあります。
私は、幹部会を代表して、中央委員会総会への報告をおこないます。
1、総選挙の結果と教訓、次期国政選挙の目標について
報告の第一の主題は、総選挙の結果と教訓、次期国政選挙の目標についてであります。
総選挙の結果とその政治的意義について
大会で決めた目標を基本的に達成、「成長・発展目標」に向け重要な前進
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昨年12月14日におこなわれた総選挙で、日本共産党は、比例代表で606万票、11・37%を獲得し、小選挙区でも沖縄1区で勝利し、改選8議席から21議席に躍進、議案提案権を獲得することができました。総選挙での躍進は、一昨年の都議選・参院選につぐ躍進ですが、得票数・得票率ともに参院選よりも前進させ、“第3の躍進”の流れを大きく発展させる結果となりました。
私たちは、昨年1月の第26回党大会で決定した目標――「650万票、得票率10%以上」「すべての比例ブロックで議席獲得・議席増をかちとり、小選挙区でも議席を獲得する」を掲げてたたかいましたが、今回の総選挙でこの目標を基本的に達成することができました。総選挙の到達をふまえ、次の峰への挑戦が課題になります。
2010年1月の第25回党大会で決定した綱領実現をめざす「成長・発展目標」にてらしてどうでしょうか。私たちは、「成長・発展目標」で、「国政選挙で、どの都道府県、どの自治体・行政区でも、『10%以上の得票率』を獲得できる党をめざす」ことを基本にすえました。今回の総選挙で、「10%以上の得票率」を獲得したのは、22都道府県、自治体・行政区の45・2%にまで広がりました。「成長・発展目標」では、「早期に5%以下の県をなくす」ことも目標としましたが、今回の総選挙で得票率5%以下の県はゼロになりました。こうして、わが党は、今回の総選挙で、2010年代を「成長・発展目標」を達成し、党躍進の歴史的時期にするという目標に向けて、重要な前進を記録しました。
総選挙でわが党にお寄せいただいたご支持とご支援に対して、中央委員会総会として、心からの感謝を申し上げるものです。
これまでの反共戦略の全体を打ち破ってかちとった躍進
総選挙での躍進の政治的意義をどうとらえるか。私は、二つの点を強調したいと思います。
第一は、この躍進が、支配勢力のこれまでの反共戦略の全体を打ち破って、かちとったものだということであります。
私は、ここで、この半世紀近くの日本の政治史の流れのなかで、今回の躍進の意義を考えてみたいと思います。
1960年代の終わりから70年代にかけて、日本共産党が国政の舞台で“第1の躍進”をとげて以来、支配勢力は一貫して日本共産党を封じ込める反共戦略を政治戦略の中心にすえてきました。
最初の反共戦略は、1980年の「社公合意」を契機として、日本共産党以外の野党を自民党政治の側に取り込んで「オール与党」化をはかることで「日本共産党をのぞく」政治体制をつくるという戦略でした。しかしこの戦略は、リクルート事件に端を発し、ゼネコン汚職にいたる自民党の底深い金権腐敗体質が噴き出すなかで、自民党政治そのものが危機に陥るという形で破たんし、失敗に終わりました。
そこで支配勢力は、1990年代の初めに新しい反共戦略を始めます。それは、日本の政党戦線を「保守二大政党」の枠に無理やりはめ込むことで、金権腐敗政治の破たんによる自民党政治の危機を回避すると同時に、日本共産党を「二大政党の選択」の枠外のものとして政治の主舞台から締め出そうとするものでした。その制度的基盤として設計されたものが、巨大メディアも総動員して強行されたいわゆる「政治改革」――小選挙区制と政党助成金制度でした。
この反共戦略に立った最初の攻勢が、1993年の総選挙における「自民か、非自民か」の大キャンペーンでした。しかし、「二大政党づくり」のこの最初の企ては、その一方の担い手・「非自民」連合がにわか仕立ての寄せ集めで弱体だったこともあり、失敗に終わりました。
こうしたもとで、筋を貫いてきた日本共産党への期待が広がり、1990年代後半に“第2の躍進”の波が起こりました。“第2の躍進”は“第1の躍進”の峰をはるかに超えるものとなりました。
支配勢力は、これに対して、実現したニセ「政治改革」の制度を活用して、日本共産党締め出しの目標を達成するために、2002年から03年にかけて本格的な「二大政党づくり」の企てに乗り出しました。今度は、寄せ集めではなく、財界が仲介までして(新)「民主党」という政党をつくりあげ、「自民か、民主か」という枠内に国民の選択を押し込める空前の大キャンペーンが展開されました。私たちにとって、この反共戦略による逆風は、それまでのどの反共戦略をも上回る、最強・最悪の逆風となり、10年余にわたって国政選挙での後退・停滞を余儀なくされました。
今回の総選挙での躍進は、この10年余にわたって吹き荒れた最強・最悪の反共戦略を破たんさせ、打ち破ってのものだという点で、とりわけ大きな政治的意義をもつものであります。支配勢力がわが党への「備え」を持っていなかったもとでの“第1の躍進”と比べても、「二大政党づくり」の一方の担い手が寄せ集めの弱体だったもとでの“第2の躍進”と比べても、今回の“第3の躍進”がもつ政治的意義は大きなものがあります。
総選挙での躍進は、21世紀の早い時期に民主連合政府を樹立するという綱領的目標に向けての重要な第一歩を踏み出すものとなりました。
日本の政治の新しい段階――本格的な「自共対決」の時代を開く
第二は、今回の総選挙が、日本の政治の新しい段階――本格的な「自共対決」の時代の到来を告げるものとなったということであります。
どういう意味で「本格的」といえるのか。それは、この選挙で唯一躍進したのが日本共産党だけだったという事実だけによるものではありません。いま、内政においても、外交においても、自民党政治に代わる新しい日本の進路を示している政党は、日本共産党以外には一つもありません。政治を変えようと思ったら日本共産党しかない。そういう政治情勢の大きな変化が、目に見える形で起こっていることを強調したいのであります。
日本共産党だけが、自民党と正面から対決している党であり、自民党政治に代わる別の道を示している党だという事実は、わが党が勝手に言っていることではありません。それは論敵も認めつつある事実であります。今回の総選挙でも党首討論で論戦をかわした後などに、安倍首相自身が私に「自共対決ですね」などと語りました。自民党の谷垣幹事長が、選挙戦の終盤に京都でおこなった演説で、「どの政党が国民のためにしっかり自分たちのやりたいことを示せるか。一つ示せる党があります。それは共産党です」とのべたことにも、私たちは注目しました。
本格的な「自共対決」の時代というときに、いま一つ強調したいことがあります。それは、「自共対決」の一方の極にある自民党の国民的基盤が、長期にわたって衰退傾向にあることであります。今回の総選挙の結果を「自民圧勝」などという向きもありますが、総選挙で自民党が獲得した得票は、有権者比では比例代表で17%にすぎません。与党の3分の2を超える議席は、小選挙区制がつくりだした「虚構の多数」にすぎません。そして、自民党の有権者比の得票率は、長いスパンでみますと、1972年の総選挙では33%でしたが、今ではその半分の17%まで低落しています。
この根底には、党大会決定が指摘したように、「アメリカいいなり」「財界中心」という「二つの異常」を特徴とする政治が、深刻な行き詰まりに直面し、崩壊的危機におちいっているという大問題が横たわっていることを、私は、強調したいのであります。
一方で国民的基盤を衰退させ、その土台が崩壊的危機におちいっている自民党、他方で、この行き詰まった道を抜本的に転換し、新しい日本の進路を示している日本共産党――この両者が日本の進路をめぐって本格的にぶつかり合う日本の政治の新しい段階を、今回の総選挙は開いたのであります。
全党の苦闘が実った――今後に生きる大きな財産を築いた
こうして、今回の総選挙での日本共産党の躍進は、これまでの支配勢力の反共戦略の全体を打ち破ってかちとったものだという点でも、本格的な「自共対決」の時代を開いたという点でも、大きな政治的意義をもつものですが、この躍進は、もとより自然に訪れたものではありません。
それは、総選挙の結果を受けての常任幹部会の声明がのべたように、支配勢力による反共戦略に抗する全党の苦闘が実ったものにほかなりません。「党旗びらき」では、とくにこの10年余の苦闘を通じて、「今後に生きる大きな財産を築いた」ことを強調し、(1)新しい綱領を決定し、それを土台に政策活動の新たな発展を進めてきたこと、(2)「一点共闘」を発展させる活動を通じて信頼と連帯の関係が広がり、躍進の大きな力となったこと、(3)党づくりのとりくみの努力が第一歩だが実ったこと――の3点をあげました。
みなさん。全党の苦闘によって、最強・最悪の反共戦略を打ち破って躍進をかちとり、本格的な「自共対決」の時代を開いたこと、そして、そのたたかいを通じて「今後に生きる大きな財産を築いた」ことに確信をもち、さらなる日本共産党の躍進に挑戦しようではありませんか。
選挙戦のとりくみの教訓と課題について
つぎに選挙戦のとりくみの教訓と課題について報告します。
政治論戦――成果ふまえ、新たな努力と探求をおこなう
第一は、政治論戦の問題であります。
わが党は、選挙戦の全体を通して「暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」――消費税に頼らない別の道、暮らし第一の経済再生、憲法9条を生かした平和外交、原発ゼロの日本、基地のない平和な沖縄を訴えぬきました。また政党助成金の廃止を強く訴えました。安倍政権と正面から対決するとともに、国民の立場に立った対案を示し、国民との共同で政治を動かす――「対決、対案、共同」の政治姿勢を貫きました。
わが党の政治論戦の基本は、全体として的確なものであり、安倍政権の暴走に不安と批判をもち、新しい政治を求める国民の評価をいただけたものと考えます。政治論戦において、比例代表の候補者、小選挙区の候補者が果たした積極的な役割は大きなものがあり、全党の先頭に立って大奮闘された全国の候補者のみなさんに、中央委員会総会として心からの敬意を表明するものであります。
同時に、わが党に投票してくれた有権者のなかには、「安倍政権のやっていることはあまりに危ないので、今回は共産党」、「他に入れるところがないから、今回は共産党」といった方も少なくないと思います。そういう方々に、より積極的な党支持者になっていただき、さらに新しい支持を広げていくために、従来の延長線上にとどまらない新たな努力と探求にとりくみたいと思います。
何よりも「共産党に入れてよかった」「伸ばしただけのことはある」と思っていただけるよう、寄せていただいた期待にこたえる活動に全力でとりくみます。躍進した国会での力をフルに生かし、安倍政権の暴走政治を止めるために国会内外であらゆる力をつくすとともに、国民の願いにそって現実政治を一歩でも二歩でも前に動かすために知恵と力をつくします。国民各層・各団体と広く語り合い、政権を現実に担うことも視野に入れて、党の対案をさらに豊かに発展させる努力をはかります。日本共産党の路線、理念、歴史の全体像――ほんとうの姿を語り、丸ごと知ってもらう活動に、日常不断にとりくみます。
国民とともにたたかう選挙――統一戦線をつくる仕事に新たな意気込みで
第二は、国民とともにたたかう選挙という問題であります。
さまざまな分野での一致点にもとづく共同――「一点共闘」の活動を通じてつくられた信頼と連帯の関係は、日本共産党躍進の大きな力になりました。ともにたたかってきた人々のなかで、さまざまな形で、心のこもった自発的・創意的支援の輪が広がったことは、たいへんにうれしいことです。
総選挙でのわが党の躍進は、この選挙をともにたたかった国民との共同の成果であります。躍進した国会の力を縦横に活用し、国民のたたかいを励ます論戦と活動にとりくみ、「一点共闘」の発展、国民要求実現の運動の発展のために誠実に力をつくします。
沖縄では、昨年1月の名護市長選挙、11月の県知事選挙の勝利に続き、12月の総選挙では、四つの小選挙区のすべてで、新基地建設反対の「オール沖縄」勢力が当選するという画期的勝利をかちとりました。自民党政治と国民との矛盾の最も激しい集中点で、わずか1年という期間に、保守と革新の垣根を越えた歴史的な「島ぐるみ」の団結がつくられ、情勢の大激変が起きました。この大激変には、もとより沖縄固有の条件が働いていますが、その意義は沖縄だけにとどまるものではありません。沖縄で起こったことは日本の政治の未来を先取り的に示すものにほかなりません。
安倍政権の強権的な暴走、極右化した政治のもとで、全国各地で、保守を含む広大な人々との共同の新しい萌芽(ほうが)、新しい可能性が生まれています。こうした変化もくみつくして、日本を変える統一戦線をつくる仕事に、新たな意気込みでとりくもうではありませんか。
宣伝・組織活動――積極的大奮闘とともに、今後の課題も
第三は、宣伝・組織活動の問題であります。
総選挙での宣伝活動は、政治論戦の基本を踏まえ、全体として効果的なものでした。20万回を超える大中小の街頭宣伝が大きな力を発揮しました。政見放送への積極的反響が多数寄せられました。全国292の小選挙区に立候補したことにより、たくさんの放送回数が確保できたことは、全党の努力のたまものであります。
組織活動では、党員と党組織のもつあらゆる結びつき、つながりを生かして選挙勝利に結実させる「選挙革命」――「マイ名簿」にもとづく活動、「折り入って作戦」などが力を発揮しました。
インターネット・SNSの活用も大きな力となりました。短文投稿サイト「ツイッター」で、投稿=「ツイート」した数、拡散=「リツイート」された数ともに、日本共産党は各党のなかでトップとなりました。原発問題、憲法問題など、「一点共闘」で結びついた人たちが、積極的に協力してくれ、発信力を高めてくれたことは重要であります。
同時に、「やるべきことをやりぬく」点でどうだったか。ポスターの張り出しは6〜7割台、2回の「しんぶん赤旗」号外の配布は8割台でした。対話と支持拡大は、公示から投票日前日までのとりくみの規模は、前回総選挙比で1・1〜1・2倍と広がりました。その内容も全体としてかみ合った温かい対話となりました。ただ、支持拡大目標比での到達点は57・3%でした。全党と後援会のみなさんの大奮闘がありましたが、「やるべきこと」を残したことも事実であります。
2中総決定を討議・具体化した支部は59・2%です。今回の総選挙の結果は、わが党の力を余さずくみつくしての結果ではありません。とくに、すべての支部と党員に援助の手が届く党機関の指導態勢をどう強めていくかは大きな課題となっています。
党の自力の問題――この弱点の打開こそ、本格的な躍進の保障
第四は、党の自力の問題であります。
「党旗びらき」で「この努力なくして躍進はなかった」と強調したように、若手幹部の系統的な養成の努力、職場支部の活動の継承・強化をめざすとりくみ、「綱領・古典の連続教室」、党員拡大を根幹にすえた党勢拡大のとりくみなど、この間の党建設のための系統的な努力の積み重ねが、躍進の大きな力となりました。突発的な解散にさいして、短期間にすべての選挙区で候補者を擁立し、たたかう態勢を築くことができた根本には、この間の党づくりの努力がありました。
同時に、党の自力の問題は、引き続き私たちの活動の最大の弱点であります。私たちは、今回の総選挙を、2012年総選挙時比で、党費納入党員数は97・3%、「しんぶん赤旗」日刊紙読者は92・7%、日曜版読者は92・5%でたたかいました。
今回の総選挙での躍進は、こうした自力の弱点はありつつも、正確な政治論戦、宣伝活動、結びつきを生かした組織活動を展開し、党員と後援会員のみなさんが大奮闘したことによってかちとったものであります。
くわえて、「二大政党づくり」の破たん、「第三極」の衰退のもとで、「自共対決」の構図がより鮮明になるもとでの総選挙となったという客観的条件も、わが党に有利に作用したことを忘れてはなりません。
一昨年の参院選を総括した第25回党大会8中総では、「今回の躍進は、私たちの実力以上の結果であるということを、リアルに直視する必要がある」とのべましたが、昨年の総選挙の躍進も、党の自力という点では「実力以上」のものだったことを率直にのべなければなりません。
この弱点を打開することこそ、党の本格的な躍進の保障となります。党が躍進すれば支配勢力は新たな反共戦略でこたえる。これが政治闘争の弁証法であります。今後も、わが党の前途は、坦々(たんたん)としたものではないでしょう。そこには新たな困難もあれば、試練もあるでしょう。そのときに、わが党が困難や試練をのりこえてさらに前進・躍進するためには、国民としっかり結びついた強大な党をつくることが、どうしても必要であります。
2010年代を、「成長・発展目標」を達成し、党躍進の歴史的時期とするためには、大会で決定した党勢倍加、世代的継承という二大目標の達成に正面から挑戦し、それを掛け値なしにやりぬくことが絶対不可欠であります。
みなさん。このことを総選挙からひきだすべき最大の教訓として銘記し、民主連合政府への道を開く強大な党づくりに、ロマンと大志をもってとりくもうではありませんか。
次期国政選挙の目標について
総選挙での躍進は、綱領実現という目標にてらせば第一歩にすぎず、ここに安住することはできません。
総選挙の結果と教訓をふまえ、次期国政選挙の目標を、比例代表選挙で「850万票、得票率15%以上」とし、これに正面から挑むことを提案します。
この目標は、国政選挙における過去最高の峰――1998年の参議院選挙での819万票、14・6%を上回り、新たな峰をめざそうというものです。
また、この目標は、綱領実現をめざす「成長・発展目標」の達成を現実的視野にとらえる目標となります。
いっせい地方選挙を、この新たな目標の達成にむかう第一歩の選挙と位置づけて、躍進のために全力をあげます。
来年7月の参議院選挙の比例代表と選挙区の予定候補者を早期に決定し、予定候補者がいっせい地方選挙を一体になってたたかうようにします。
みなさん。来るべき参議院選挙・衆議院選挙において、「850万票、得票率15%以上」という新しい目標の実現に正面から挑戦し、日本共産党のさらなる躍進のために全力をあげようではありませんか。
2、当面する日本共産党の政治任務について
報告の第二の主題は、当面する日本共産党の政治任務についてであります。
第3次安倍政権――危険性と三つの致命的弱点
「戦後レジームからの脱却」=憲法改定の野望を阻止する国民的大闘争を
総選挙の結果を受けて、第3次安倍政権がつくられました。
私たちはまず、この政権が抱く反動的野望と危険性を直視する必要があります。
とりわけ、安倍首相の最大の野望が、9条を焦点とした憲法改定におかれていることは、第3次安倍政権発足直後に、首相自身の口から語られたことでした。首相は、憲法改定について、「自民党の結党以来の目標」「歴史的なチャレンジ(挑戦)だ」とのべ、衆参両院で改憲勢力が3分の2を確保することと、改憲発議後の国民投票での過半数の支持獲得に向けて国民の理解を深める努力を進めることを宣言しました。
「長期政権」を実現し、自らの宿願である「戦後レジームからの脱却」=憲法改定を実現し、歴史にその名を刻みたい――ここに安倍首相の最大の反動的野望があります。この危険性を直視し、反動的野望を阻止する国民的大闘争をもってこたえようではありませんか。
国民世論との矛盾――暴走の一歩一歩が政治的激動を引き起こす
同時に、私が、強調したいのは、恐れる必要はないということであります。「自民一強」などといわれますが、安倍政権は、三つの致命的弱点を抱えています。
第一は、国民世論との矛盾であります。
与党が衆議院で3分の2を占めたのは、何よりも大政党有利に民意をゆがめる小選挙区制による「虚構の多数」であり、国民が「白紙委任」を与えたわけでは断じてありません。総選挙後の各種世論調査をみても、安倍政権がこれから進めようとしている主要な問題のすべてに対して、国民の5割から6割は反対の意思表示をしています。
安倍政権の暴走の一歩一歩が大きな矛盾をつくりだし、自らの墓穴を掘り、政治的激動を引き起こすことは避けられません。
国政の重要問題への解決策なし――経済でも、沖縄でも
第二は、国民が解決を望んでいる国政の重要問題に対して、この政権が、何一つ、まともな解決策を持ち合わせていないことであります。「この道には先がない」――どの問題でも深刻な政治的行き詰まりにぶつかっていることであります。
たとえば安倍政権が最大の売り物にしている「アベノミクス」はどうか。実質賃金が17カ月連続減少し、2014年度のGDP(国内総生産)はマイナス0・5%と、リーマン・ショック後の2009年度以来5年ぶりのマイナスを記録したことに示されるように、日本経済の悪化はいよいよ深刻になっています。日本銀行が昨年12月に発表した「生活意識に関するアンケート調査」では、国民の多くが「生活にゆとりがなくなってきた」「1年後の景気は悪くなる」と答えるなど、「アベノミクス」への幻想は急速に剥がれ落ちつつあります。OECD(経済協力開発機構)が昨年12月に発表した報告書で、格差拡大の政策では経済成長はできない、「トリクルダウン」という考え方は誤りだとの分析を示したにもかかわらず、破たんした経済政策にあくまでしがみつくしかありません。「アベノミクス」は、現実の経済危機の深まりという点でも、それを打開する方策がないという点でも、大破たんのふちに立っているのであります。
沖縄の問題はどうか。安倍政権は、主要閣僚が翁長新知事への面会を拒否し、沖縄振興予算の削減を打ち出し、新基地建設にむけた工事再開を強行するなど、県知事選挙と総選挙で示された県民の意思にいっさい耳を傾けることなく、踏みにじる姿勢を示しています。この態度は、民主主義の国ではおよそ許されない、この政権の異常な反民主主義の体質を示すものですが、同時に、自民党政府なりの「打開策」が何もないことのあらわれであります。これまでの自民党政府ならやってきた「懐柔策」さえ見つけられない、むき出しの強権による強硬策しかない。これは安倍政治の深刻な行き詰まりを示すものにほかなりません。安倍政権のこの姿勢は、沖縄県民の「島ぐるみ」のたたかいのいっそうの高揚を、必ずや呼び起こさずにはおかないでしょう。
みなさん。政府をここまで追い詰めてきたことに確信をもち、沖縄と本土が一体となって、新基地建設を中止させ、基地のない平和な沖縄をめざすたたかいをさらに大きく発展させようではありませんか。
歴史を偽造する極右勢力による政治支配――政権の基盤を特別に脆弱に
第三は、安倍政権が、過去の侵略戦争と植民地支配を肯定・美化する歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられていることが、この政権の基盤を特別に脆弱(ぜいじゃく)なものとしていることであります。
安倍首相が今年発表するという「戦後70年の新談話」なるものに対して、国内外から懸念と批判が広がっています。首相は「村山談話」「河野談話」について、「全体として継承する」と言いながら、「植民地支配と侵略」「慰安所における強制」への反省など、その核心的部分を引き継ぐとは決して言わず、それを裏切る言動を重ねてきました。
こうした不誠実な態度の根源に、首相自身のゆがんだ歴史観――侵略戦争肯定・美化の立場があることは、隠しようもないことであります。安倍政権の閣僚のほとんどが、首相を先頭に、侵略戦争美化の中心組織である「日本会議国会議員懇談会」、天皇中心の「国体」の復興をいまだに理想として掲げている「神道政治連盟国会議員懇談会」に所属していることは、きわめて重大であります。
歴史を偽造する極右勢力による政治支配に対して、自民党政治を中枢で支えてきた元幹部の方々からも強い批判と危惧の声がわき起こるなど、保守の人々も含めた国民との矛盾が広がっています。韓国、中国など近隣諸国からの批判だけでなく、欧米からも「歴史修正主義」との批判が強まるなど、世界との矛盾が広がっています。
戦後の世界秩序は、ファシズムと軍国主義による侵略戦争の断罪の上に成り立っており、それを否定するものは世界でもアジアでも生きる道はありません。
日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として、いま勇気をもって理性の声をあげている人々と力をあわせ、歴史を偽造する極右勢力による政治支配を一日も早く終わらせるために、全力をあげて奮闘する決意を表明するものであります。
「暴走ストップ、五つの転換」――決着はこれからのたたかいにかかっている
どの問題でも、暴走の途上にあり、たたかいはこれからが正念場
安倍政権との今後のたたかいを展望しますと、私たちが総選挙で訴えた「暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」がそのまま国政の大争点になります。そのさい重要なことは、安倍政権が進めようとしているどの問題をとっても、暴走の途上にあり、その決着はこれからのたたかいにかかっているということであります。
――消費税増税路線がいかに道理をもたないかが、社会保障切り捨て、大企業減税、大軍拡の企てなどでいよいよ明瞭となっています。10%への増税実施が2017年4月に延期されたもとで、2年間のたたかいで中止に追い込むために全力をつくします。
――「アベノミクス」をめぐっても、その破たんが明瞭になるもとで、どういう経済政策を選択すべきかが根本から問われています。大企業応援から暮らし第一へ、経済政策の転換を求めるたたかいが、いよいよ急務であります。
――憲法をめぐっては、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する法改悪、日米軍事協力の指針(ガイドライン)再改定の企てが、今年に先送りされたもとで、日本の進路をめぐるたたかいが文字通り歴史的なヤマ場を迎えます。
――原発についても、国民のたたかいで「稼働原発ゼロ」が続くもとで、原発再稼働を許すかどうかがいよいよ正念場を迎えます。
――沖縄をめぐって、県民の明瞭な審判が下ったもとで、この民意に対してどういう姿勢をとるか、日本の民主主義の根本が問われています。新基地建設を許さず、基地のない平和で豊かな沖縄の実現をめざす歴史的大闘争に全力をあげてとりくみます。
こうして、どの問題も、安倍政権の暴走政治と国民のたたかいの抜き差しならない激突となります。たたかいはまさにこれからが正念場であります。そして、どの問題でも、躍進した日本共産党の真価が問われてきます。
安倍政権打倒の国民的大運動をさらに大きく発展させよう
安倍政権は、憲法9条の破壊という野望を公然と明らかにし、あらゆる分野で民意に背く暴走政治をすすめている、戦後最悪の反動政権であります。
日本共産党は、躍進した国会での力を縦横に活用し、安倍政権の致命的弱点をつき、日本の政治を転換する抜本的対案を示しながら、安倍政権を追い詰める論戦を大いに展開します。国民との共同で安倍政権の暴走政治を包囲し、その野望を打ち砕くために全力をあげてたたかいぬきます。
みなさん。安倍政権打倒の国民的大運動をさらに大きく発展させようではありませんか。
戦後70年――反動的逆流を打ち破り、新しい政治をつくる転機の年に
今年は、第2次世界大戦が終結して70年の歴史的節目の年であります。日本共産党は、この年を、歴史に背く反動的逆流を打ち破り、新しい政治をつくる転機の年にしていくために全力をあげます。たたかいの焦点と課題を、3点にわたって提起します。
憲法問題――9条破壊の策動許さず、「北東アジア平和協力構想」の実現を
第一は、憲法問題であります。
憲法9条を日本の進路をてらす羅針盤として生かしていくのか、世界に誇るこの宝を破壊するのか――日本の進路が鋭く問われています。
わが党は、国会論戦、総選挙での論戦を通じて、集団的自衛権行使の現実の危険が、アフガン・イラク戦争のような戦争で、米軍と自衛隊が肩を並べて戦争する――「海外で戦争する国」づくりにあることを明らかにしてきました。安倍政権が、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する法改悪や日米軍事協力態勢の侵略的強化に突き進むならば、この本質はいよいよごまかしようのない形であらわになるでしょう。
日本共産党は、憲法9条を破壊する歴史逆行の策動を必ず阻止するために、党の総力をあげてたたかいぬく決意を表明するものであります。
同時に、第26回党大会が提唱した「北東アジア平和協力構想」の実現にむけ、国内外での活動を強化します。わが党は、昨年、党大会決定の実践として、国会で「構想」の提起をするとともに、9月にスリランカのコロンボで開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)第8回総会への参加や10月の韓国訪問などを通じて、国際的にも働きかけを進め、「構想」への賛同を広げてきました。こうした努力をさらに強めます。
歴史問題――「和解と友好」に向け、日本の政治がとるべき基本姿勢を提唱する
第二は、歴史問題であります。
日本共産党は、歴史を偽造する極右勢力の台頭を許さず、極右勢力による政治支配を一日も早く終わらせるために全力をあげます。同時に、この節目の年が、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう年になるよう力をつくします。
そのために、日本の政治がとるべき五つの基本姿勢を提唱するものです。
第一は、「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱりと反論することです。
第二は、日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すことです。
第三に、国政の場にある政治家が靖国神社を参拝することは、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝はおこなわないことを日本の政治のルールとして確立することです。
第四は、民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつことです。
第五は、「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくすことです。
以上、五つの基本姿勢をとることが「和解と友好」に向かうために必要不可欠だということを提唱したいと思います。
日本共産党は、戦後70年の年に、「あの戦争は何だったのか」について、国民一人ひとりが正面から向き合い、考えることを呼びかけます。そして、歴史の事実を偽造して、「日本は正しい戦争をやった」という議論を、日本の政治に持ち込み、日本を世界とアジアから孤立させる逆流を、大本から断ち切ることを、心から呼びかけるものであります。
核兵器問題――「核兵器禁止条約の交渉開始」を国際社会の合意に
第三は、核兵器問題であります。
今年は、広島・長崎の被爆70年の年であり、5年ぶりに核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催される年であります。日本共産党は、この年を、「核兵器のない世界」にむけた転機の年としていくために全力をあげます。
被爆者を先頭にした努力によって、国際政治で、核兵器の非人道性、残虐性を追及し、その廃絶を求める流れが大きく発展していることは注目されます。国連総会で、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が圧倒的多数で採択されていることは重要であります。
日本原水協がよびかけた「核兵器全面禁止のアピール」署名は495万人分に達しています。アジア政党国際会議(ICAPP)第8回総会で、日本共産党の提案が実り、「核兵器禁止条約についての速やかな交渉開始を呼びかけた」と明記した「コロンボ宣言」を、アジアの諸政党が一致して採択したことも特筆すべき前進でありました。日本共産党は、各国政府や政党、国連、内外の反核平和運動と共同して、「核兵器禁止条約の国際交渉開始」が国際社会の合意となるように、あらゆる努力をつくすものです。
「核兵器のない世界」を築くうえで、核抑止力論を克服することは要をなす問題であります。とりわけ被爆国日本の政府が、核抑止力論、「核の傘」依存の立場から、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連総会決議に棄権を続けるという恥ずべき態度をとっていることをただすことは、焦眉の課題となっていることを強調しておきたいと思います。
戦後70年に問われる憲法問題、歴史問題、核兵器問題は、どの問題も、わが党の綱領に明記されている課題であり、世界とアジアの平和にかかわる根本問題であります。みなさん。この三つの大問題で、歴史の逆流を打ち破るとともに、希望ある未来を開く新しい政治をおこすために、全力をあげて奮闘しようではありませんか。
政党助成金、小選挙区制――政治を劣化・堕落させる二つの元凶をただす
今年は、「政治改革」の名で小選挙区制と政党助成金が導入・施行されて20年になります。この二つの制度は、日本の政治を劣化・堕落させる二つの元凶となっています。その総括と決算が、日本の政治に求められています。
政党助成金――廃止法案を提出、国民的大運動を大きく発展させよう
政党助成金は、国民の思想・信条の自由を侵害する憲法違反の制度という本質的問題にくわえて、政党と政治を劣化・堕落させる根源となっています。
1995年の導入以来、20年間の合計で6311億円の助成金がばらまかれました。この間、政党助成金目当ての政党の離合集散が繰り返されました。政党の離合集散や党名変更によって新たに誕生した政党は、60近くにもなります。これまで政党助成金を受け取った政党は43党、そのうち消滅した政党が33党に及びます。理念も政策もない。ただただ助成金がほしい。その一念だけで離合集散をくりかえす。これはあまりにも浅ましく、恥ずかしい政治ではありませんか。
日本共産党は、憲法違反の政党助成金の廃止、カネの力で政治をゆがめる企業・団体献金の禁止を強く求めてたたかいます。
わが党は、通常国会冒頭に政党助成金廃止法案を提出します。すべての政党に対して、わが党の法案を真剣に検討することを求めていきたいと思います。政党助成金廃止の国民的大運動を大きく発展させることを心から呼びかけるものであります。
小選挙区制――「こんな制度を続けていいのか」を問う国民的討論を
小選挙区制の害悪も、この制度が施行されてからの20年で、深刻な形で明らかになっています。小選挙区制は、第一に、大政党有利に民意をゆがめ、「独裁政治」に道を開く危険きわまりない制度であり、第二に、「1票の格差」を是正することが事実上不可能な制度であり、第三に、「1人区で勝つ」ことを最優先に、政策も理念も投げ捨てた野合、離合集散など、政党の劣化と堕落をもたらす制度となっています。
わが党の反対を押し切って、衆議院議長のもとに「選挙制度調査会」が設置され、選挙制度のさらなる改悪の危険が生まれています。日本共産党は、比例定数削減を許さないために力をつくすとともに、小選挙区制の撤廃、民意を反映する比例代表制への抜本改革を求めてたたかいます。小選挙区制がもたらした害悪を直視し、「こんな制度を続けていいのか」を問う、国民的討論を呼びかけるものであります。
20年の教訓を踏まえ、民主主義破壊の制度から一刻も早く抜け出そう
小選挙区制と政党助成金は、日本の政党戦線を「保守二大政党」の枠に押し込むための制度的基盤として導入されたものでしたが、「選挙制度」と「税金」によって、人工的に、無理やり、「二大政党」をつくるなどということは、もともと邪道であり、すでに破たんし、深刻な政治的害悪と政治不信をもたらしただけでした。
日本共産党は、20年の教訓を踏まえ、日本の政治が、このあしき民主主義破壊の制度から一刻も早く抜け出すことを、強く要求してたたかう決意であります。
3、いっせい地方選挙の躍進を必ずかちとろう
報告の第三の主題は、前半戦の告示まで2カ月に迫った、いっせい地方選挙の躍進をかちとるための方針であります。
選挙戦をたたかう基本姿勢、政治目標について
躍進の可能性をくみつくし、やるべきことをやりきって
いっせい地方選挙は、それぞれの地方自治体と住民生活の今後を左右するとともに、安倍政権の暴走にたいする地方からの審判の機会となります。日本共産党にとっては、この選挙で躍進してはじめて、一昨年の都議選・参院選で開始し、昨年の総選挙で発展させた“第3の躍進”を、本格的流れに発展させたということができます。
選挙戦をたたかう基本姿勢として、次の二つが重要であります。
第一は、日本共産党躍進の大きな客観的可能性が生まれており、それを余さずくみつくす攻勢的なたたかいを展開するということであります。総選挙での躍進は、党と国民との関係を大きく変えています。また、4年前のいっせい地方選挙と比較した場合、「みんなの党」の消滅、「減税日本」の凋落(ちょうらく)、民主党の衰退など、政党間の力関係の大きな変動があります。躍進の可能性を現実のものにする攻勢的な大奮闘をしようではありませんか。
第二は、同時に、わが党にとって、どんな場合も「風頼み」の勝利はありえないということであります。この点にかかわって、総選挙で獲得した得票を「既得の陣地」とみることはできないということも強調したいと思います。総選挙で大きな力を発揮した政見放送や政党討論などは、地方選挙にはありません。文字通り草の根の自力で「風」をおこし、草の根の自力で「声」を届けてこそ、勝利をつかむことができます。やるべき時までに、やるべきことをやりきってこそ躍進の可能性は現実のものとなることを、お互いに肝に銘じて奮闘しようではありませんか。
地方議会第1党奪回をめざし、得票と議席の躍進に挑戦する
いっせい地方選挙で、わが党は、つぎの政治目標の実現をめざしてたたかいます。
第26回党大会は、「地方選挙の目標としては、現有議席の確実な確保とともに、議席増を重視し、議席数で次期第27回党大会までに、地方議会第1党の奪回をめざす」ことを決定しています。
いっせい地方選挙では、「次期党大会までに地方議会第1党の奪回をめざす」という目標の実現にむかって、総選挙の結果を踏まえて政治目標を見直すことも含めて、得票と議席の思い切った躍進に挑戦します。遅れている後半戦の候補者擁立をあらゆる可能性と条件をくみつくして最後まで追求します。
道府県議、政令市、東京特別区、県庁所在地、主要な地方都市の議員選挙は、いっせい地方選挙の全体の帰趨(きすう)を決めるたたかいとなります。特別に重視して必ず躍進をかちとるために力をつくします。
七つの県議空白県――栃木、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀、福岡の空白克服とともに、新たな議席空白県を絶対につくらず、党の歴史でもこれまでやったことのない「県議空白ゼロ」を必ず達成する選挙にしようではありませんか。「県議空白ゼロ」を達成することは、次の国政選挙でのわが党のさらなる躍進のうえでも、きわめて重要であります。政令市で県議空白となっている14市の克服、前回選挙で議席を後退させたところの失地回復と前進を重視します。
「維新の党」は、大阪で、昨年の総選挙で得票を減らしながらも比例第1党を維持し、大阪市の解体、福祉切り下げと大型開発、自治破壊に導く「大阪都構想」を強行するために全力をあげる構えです。「都構想ストップ・維新政治ノー」の「一点共闘」をさらに強めるとともに、いっせい地方選挙での日本共産党躍進に全力をあげます。「維新の党」の野望を許さないことは、全国的にも重要な意義をもったたたかいであります。
いっせい地方選挙では、北海道、神奈川、福岡など10道県の知事選挙、5政令市、99市区長選挙、119町村長選挙がおこなわれます。これらの首長選挙を積極的に位置づけ、日本共産党と無党派の人々との共同を強め、革新・民主の自治体の流れを発展させるために、攻勢的なとりくみを進めます。安倍政治の暴走に反対する大義にたった共同の条件が生まれたところでは、保守の人々などとの大胆で柔軟な共同を追求します。
選挙戦をどうたたかうか(1)――政治論戦の基本について
国政上の争点と日本共産党の値打ちを大いに語ろう
選挙戦をどうたたかうか。まず政治論戦の基本について報告します。
いっせい地方選挙の政治論戦で、第一に強調したいのは、国政上の争点と日本共産党の値打ちを大いに語ろうということであります。
いっせい地方選挙は、安倍首相が「改革断行国会」と称して、各分野で暴走政治を進めようというさなかのたたかいとなります。国政問題が、有権者の政党選択の大きな基準となることは間違いありません。「暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」を掲げ、安倍政権への審判を訴え、日本共産党の値打ちを語ることを、いっせい地方選挙での政治論戦の大きな柱にすえて奮闘しようではありませんか。
地方政治の主要な対決点について
地方政治の主要な争点では、つぎの点に留意してたたかいます。
――安倍政権は、「地方創生」「アベノミクスの地方への波及」などを旗印に選挙をたたかおうとしています。しかし、長年の自民党政治にこそ地方の衰退をもたらしてきた責任があります。そして、消費税大増税、社会保障切り捨て、格差拡大、TPP推進、中小企業と農林水産業破壊の「アベノミクス」こそ、地方の衰退を加速する元凶にほかなりません。この「先のない道」の転換を求め、本当の地方再生の対案を示して、選挙戦をたたかいます。
――福祉と暮らしをめぐっては、国保、介護、医療、子育てなどを熱い焦点として、福祉と暮らしを破壊する政治の自治体への押し付けを許すのか、それとも「住民の福祉の増進」という自治体本来の原点にたって福祉と暮らしを守る「防波堤」としての役割を果たすのか、このことが鋭く問われます。自治体の実態にそくして、福祉と暮らしを良くする具体的提案を財源的な裏付けも示してたたかいます。
――地方経済をめぐっては、「国際競争力」を看板にした巨大開発、外からの大企業呼び込みの「特区」など、破たんした大企業応援・依存の政治を転換し、地域に根をはって頑張っている力――中小企業、農林水産業を応援し、地方自治体としても非正規から正社員への転換を応援する施策をすすめてこそ、本当の地域再生の道は開かれることを、訴えてたたかいます。
――東日本大震災から4年、阪神・淡路大震災から20年、この間の教訓にてらしても、被災者生活再建支援法の抜本拡充など、すべての被災者の生活と生業(なりわい)を再建するまで必要な公的支援をおこなうことを復興の基本原則にすえることが強く求められます。防災・減災対策を促進し、災害に強い街をつくるとともに、災害時に住民の命を守る地域の医療・福祉のネットワークの強化、自治体の体制強化を求めてたたかいます。
――自治体のあり方をめぐっては、地方切り捨ての自治体再編はやめ、地方自治の再生への転換を要求します。安倍政権の「地方創生」が掲げる「集約化」なるものは、公共施設や行政サービスを、「拠点」となる中心自治体に統廃合し、身近な住民サービスの低下と周辺部の切り捨てを進め、地方の衰退を加速するものです。その先には、新たな自治体再編や道州制が狙われています。いま求められるのは、「平成の大合併」で、自治体が広大になりすぎ、住民自治の機能が大きく後退している状況を転換し、どこに住んでいても必要な行政サービスが受けられるよう、自治機能の再生をはかることにあります。
日本共産党地方議員(団)の値打ちを生き生きと押し出す論戦を
政党対決の構図をふまえて、日本共産党地方議員(団)の値打ちを生き生きと押し出す論戦を重視してとりくみます。
地方政治の政党対決の構図は、47都道府県のうち32都府県が、わが党以外の「オール与党」自治体となっています。国政では「野党」を名乗る政党も、文字通りの「与党」となるもとで、「自共対決」がいよいよ鮮明であります。
日本共産党地方議員(団)の値打ちの押し出しという点では、以下の諸点に留意してとりくむようにします。
――第一は、住民要求で政治を動かす抜群の仕事をしているということです。たとえば4年前の「赤旗まつり」で、私は、わが党の地方議員のネットワークの力として、子どもの医療費助成、住宅リフォーム助成を紹介しました。その後の4年間でも、中学校卒業まで医療費助成を行っている自治体は約2割から5〜6割に拡大し、住宅リフォーム助成をおこなっている自治体は、約170自治体から約630自治体に大きく広がっています。
――第二は、住民の立場で行政と議会をチェックするかけがえのない監視役となっていることです。不要不急の大型開発にきっぱり反対を貫くとともに、政務調査費、政務活動費問題でも、全面公開によるチェックと是正を求め、自主的公開と改正提案を続け、ついに全都道府県での全面公開が実現しました。
――第三は、草の根から安倍暴走政治にストップをかけ、平和・民主主義・暮らしを守る役割を果たしていることです。集団的自衛権行使容認反対、秘密保護法反対、消費税10%反対などの意見書採択の先頭に立ってきました。歴史を偽造する逆流の地方政治への持ち込みを許さないという点でも、その役割は特筆すべきものがあります。
――第四は、議会に日本共産党議員がいるといないとでは天地の差だということです。党議員空白議会を克服するうえでは、この訴えがとりわけ大切になります。わが党議員がいない議会では「議会が議会でなくなる」――たとえば、首長の提案に対して何の議論もなくオール賛成の「翼賛議会」になっている、政務活動(調査)費による親族雇用など「お手盛り」が勝手放題に進められている、住民の切実な要求にもとづく請願署名を集めても紹介議員がいないなど、さまざまな問題が起こっています。空白克服は、「議会を議会らしくする」うえで決定的な力となることを、大いに訴えてたたかいます。
政治論戦の基本について報告してきました。国政の争点を大きく語る、それぞれの地方政治をめぐる対決の焦点を語る、日本共産党地方議員(団)の値打ちを語る――三つの角度から日本共産党のかけがえのない役割を明らかにし、魅力を大いに広げ、必ず躍進をかちとろうではありませんか。
選挙戦をどうたたかうか(2)――宣伝・組織活動について
いっせい地方選挙の宣伝・組織活動では、つぎの6点を提起したいと思います。
「支部が主役」の選挙戦――選挙勝利の最大のカギ
第一は、「支部が主役」の選挙戦にしていくことであります。
地方選挙は、選挙の単位が小さく、かつ多く、支部が候補者の当落に直接責任を負う選挙戦となるだけに、「支部が主役」の選挙戦にしていくことが、勝利の最大のカギであります。すべての支部が、得票目標と支持拡大目標をもち、「政策と計画」を具体化・補強し、後援会と協力して、逆算で勝利に必要な活動を推進しましょう。
住民要求にもとづく運動を強め、住民とともにたたかう選挙を進めましょう。毎週の支部会議を軸に支部の臨戦態勢を確立し、センターやたまり場を確保し、すべての党員が結びつき、得手と条件を生かして立ち上がりましょう。選挙のない自治体の支部も、いっせい地方選挙を自らの選挙と位置づけ、党機関と相談して、支援の活動に全力をあげましょう。党綱領の学習、党大会決定の3文献読了、新入党員教育修了のための努力を強めましょう。「支部が主役」で持てる力を総発揮し、勝利をかちとろうではありませんか。
草の根の宣伝力の総発揮で、日本共産党の風を吹かせよう
第二は、草の根の宣伝力を総発揮することであります。
日本共産党への新たな関心、注目、期待が広がるもとで、宣伝に打って出たところでは、どこでも温かい激励が寄せられています。演説会、「集い」に旺盛にとりくむとともに、ハンドマイクなどをつかった駅頭、街角、つじつじでの宣伝、地域の要求や関心にこたえた地域ビラやステッカー・ポスターなど、草の根の宣伝力の総発揮で、日本共産党の風を街に吹かせましょう。
政党選択で日本共産党を支持していただく宣伝を基本にすえながら、候補者の魅力、実績を広げる宣伝にもとりくみましょう。
結びつきを生かした対話と支持拡大の飛躍を
第三は、結びつきを生かした対話と支持拡大の飛躍をはかることであります。
地方議員選挙は、地縁・血縁も大きく作用し、それぞれの地域で激しい支持の奪い合いになります。それだけに、党組織と党員のもつあらゆる結びつきに光をあて、それを生かした対話と支持拡大がいよいよ大切となります。
「マイ名簿」、「声の全戸訪問」、「折り入って作戦」など、この間の一連の選挙戦で試されずみの組織活動を、全面的に進めましょう。「県は一つ」「全国は一つ」の立場で支持を広げに広げましょう。
党勢拡大の独自追求をはかり、上げ潮のなかで選挙をたたかおう
第四は、選挙勝利のための宣伝・組織活動と一体に、党勢拡大の独自追求をはかることであります。総選挙の躍進がつくりだした党勢拡大の広大な条件をくみつくし、党員と読者拡大の上げ潮を必ずつくりだし、上げ潮のなかで選挙をたたかいましょう。
すべての支部が、新しい党員を迎えて選挙をたたかうことをめざしましょう。読者拡大では、すべての支部が、毎月、新しい読者を増やすことに挑戦し、支部、選挙区、自治体のそれぞれで、前回のいっせい地方選挙時を回復・突破することをめざしましょう。みんなが確信をもって立ち上がれる選挙戦にしていくうえでも、全党員が「しんぶん赤旗」日刊紙を購読することを、心から呼びかけるものです。
総選挙を上回る一大募金運動にとりくむことを呼びかけます
第五に、総選挙を上回る一大募金運動にとりくむことを呼びかけたいと思います。
総選挙では、短期間に集まった供託金・選挙募金が、小選挙区での候補者擁立を支え、選挙で躍進をかちとる大きな力となりました。あらためて党内外のみなさんの募金活動へのご協力に、心からのお礼を申し上げます。
いっせい地方選挙での政治目標実現のための選挙財政を保障するためには、全党的には、総選挙を上回る募金が必要になります。「党を語って、広く訴えれば、募金は集まる」――総選挙でつかんだ教訓を確信に、募金のお願いの輪を2倍、3倍に広げるとりくみを、心から呼びかけるものであります。
同時に、過去における選挙で、収入の裏付けのない支出がされ、「躍進したが長期の赤字で苦しんだ」という苦い経験もあります。「支出をするときには、収入の裏付けを」の立場を貫き、「支出改善をはかる」ことと、「必要なお金は集める」ことを、選挙財政の両輪に位置づけてとりくむようにしたいと思います。
党機関と選対の臨戦態勢の確立――勝敗を分ける一つの大きなカギ
第六は、ただちに党機関と選対の臨戦態勢の確立をはかることであります。
非常勤役員、選挙ボランティアなど、党の持つあらゆる力を総結集して、臨戦態勢を確立しましょう。県・地区機関の集団的指導体制をしっかり維持しながら、統一選対と候補者ごとの選対体制の確立強化をはかることが大切であります。臨戦態勢確立にあたっては、直接選挙のない党組織からの思い切った「力の集中」もおこないます。党の持つあらゆる力を総結集して、支部と党員への援助の手が届く態勢をつくれるかどうか。ここに勝敗を分ける一つの大きなカギがあることを強調したいと思います。
大会決定も指摘しているように、前回の選挙では、前半戦では県議の議席を獲得したが、後半戦の市議選の独自準備をおろそかにして議席を失ったところや、県議選の独自活動が弱く「市議選に上乗せ」するなどの取り組みとなり県議で惜敗する失敗がありました。前半戦と後半戦を「同時に、独自に、相乗的に」の見地でたたかいぬきます。
学生分野のとりくみを、絶対に中断させず、発展させることが大切です。とくに今年の学生新歓は、総選挙での党の躍進により、かつてない可能性と条件が存在しています。これを生かし切り、独自の努力を強めれば、大きな前進が可能です。全党的にいっせい地方選挙をたたかうなかでも、党機関が目配りし、重視してとりくむことを心から訴えるものであります。
“第3の躍進”を地方政治でも花開かせるために、全党が心一つに大奮闘を
全党のみなさん。一昨年の都議選・参院選で開始し、昨年の総選挙で発展した、“第3の躍進”の流れを、地方政治でも花開かせるために、全党が心一つに大奮闘しようではありませんか。
参議院、衆議院、地方政治の三つの全国選挙で躍進をはたし、それを新たな土台として、2010年代に「成長・発展目標」を全面的に達成し、民主連合政府への道を切り開こうではありませんか。
いっせい地方選挙での躍進へ――全党の総決起を心から訴えて、報告を終わります。