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2015年1月19日(月)

主張

生活保護予算削減

「人間らしく」の基盤が崩れる

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 安倍晋三政権が生活保護費を大きく削り込む姿勢を強めています。2013年度から強行している食費などの生活扶助費削減に加え、15年度から住宅扶助費と暖房費などの冬季加算の減額をおこなうことを政府予算案に盛り込みました。生活扶助費削減には2万人以上の利用者が「消費税が増税され物価が上がっているのに、暮らしが成り立たない」と行政審査を申し立てるなど抗議が広がっています。貧困と格差が拡大するなか、生活困窮者の悲鳴を聞こうとせず、生活保護費の大削減に突き進むのは、あまりに異常です。

露骨な「削減先にありき」

 安倍政権は12年末の政権復帰直後から生活保護費の大幅な削減を続けています。最初に手をつけたのが食費や水光熱費などにあてる生活扶助費削減です。13年度から15年度にかけて総額740億円を段階的に削減する計画を立てて、現在実行中です。この削減計画は、利用世帯の9割以上が減額の対象になるなど過去最大規模で、月2万円も削られる子育て世帯がでるなど深刻な被害を広げています。

 利用者に苦難を強いている最中だというのに、新たに持ち出したのが住宅扶助費と冬季加算の削減です。住宅扶助費は15年度から18年度まで総額190億円(15年度は約30億円)削り、冬季加算は今年11月に約30億円削る計画です。

 住宅扶助費は、生活保護利用者にアパート家賃などの費用として支給されているものですが、現状でも、国が「健康で文化的な住生活」と決めた水準の住宅に入居できる利用者は多くありません。都市部などは家賃が高く、住宅扶助費の上限額であっても、劣悪な環境の住まいしか確保できない場合が少なくないからです。実態を無視して住宅扶助費削減を強行することは、生活保護世帯の住まいの安心の基盤を脅かすものです。

 冬季加算は11月から3月に限って暖房代を上乗せするものです。加算がないと最低限の暖房すら確保できず厳冬下で暮らさなければなりません。北海道や北東北など寒冷地では文字通りの命綱です。これを容赦なく削減することは、利用者の命と健康を削ることに等しいものです。

 厚生労働省が保護費削減を狙い設置した審議会の議論では、むしろ住宅扶助費の役割が強調され「削減は慎重に」という意見が大勢となり、報告書に「削減すべきだ」と明記できませんでした。

 その指摘すら受け止めず「削減先にありき」で住宅扶助費などの削減を決めた厚労省のやり方には、まったく道理はありません。

 住宅扶助費と冬季加算の削減計画は撤回し、生活扶助費削減をただちに中止すべきです。

全面攻撃の逆行許さず

 安倍政権の生活保護攻撃は、保護費削減だけでなく、保護申請の制限を狙った生活保護法改悪など全面的です。15年度政府予算案では生活保護の国庫負担を14年度当初比で188億円も減らしました。減少に転じたのは07年度の第1次安倍政権の予算以来です。

 貧困率が悪化し、生活保護利用者が増加しているなか、「最後の安全網」であるべき生活保護の機能をいったいどこまで壊すのか。

 安倍政権による社会保障破壊の逆行を許さず、憲法25条にもとづく「人間らしい生活」が保障される政治への転換が重要です。


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