2015年1月17日(土)
きょうの潮流
ゴゴゴーッ。地の底から響く音、突き上げる激しい揺れ―。1995年1月17日午前5時46分、夜明け前の寒さと静寂がつつむ街を襲った直下型の大地震は、人びとがつくり上げてきたすべてのものを破壊しました▼「めちゃくちゃになっとる。なんちゅうことや!」。発生直後から神戸の街を映し続けた市職員のカメラ。映像に入っていた叫びです。倒れ崩れたビルや家屋、横倒しになった高速道路や電車、陥没した道路。そして大切なものを焼き尽くす荒れ狂った炎▼〈二十年たってわたしになったかなしみ〉。これは阪神・淡路大震災20年を機に、あの日から今に伝えようと公募した川柳の一句です。生まれた子どもが成人になるまでの歳月が流れましたが、心にしみ込んだ悲しみに時効はありません▼いま被災地では、節目にあわせたさまざまな追悼式やイベントが催されています。建て直されたビル、整備された街並みからは、がれきの山や焼け野原と化した惨状は消えました▼しかし、復興は終わっていません。半数以上が65歳をこえた借り上げ住宅の入居者は追い出しを迫られる。震災を生き延びながら鉄の扉に閉じ込められ絆を断たれて続く孤独死。自力再建を強いられ、借金地獄に苦しむ被災者たち…▼あの日から私たちの国はいくつもの災害に襲われ、そのたびに生活の立て直しが問題になってきました。〈ローン抱え真の復興まだ遠き〉。いったい誰のため、何のための復興か。20年たったいまも問われている政治の役割です。