2015年1月16日(金)
風刺画再掲載 “過激主義を拡大”
イスラム世界が非難
【カイロ=小泉大介】仏の週刊紙シャルリエブドが14日にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を新たに掲載した特別号を発行したことについて、イスラム世界から相次いで非難の声が上がっています。7日に同紙を標的とした襲撃事件が起きた際には多くのイスラム機関・諸国がテロ糾弾の立場を表明しましたが、風刺画再掲載により、国際的な「反テロ包囲網」に亀裂が生じかねない事態となっています。
エジプトにあるイスラム教スンニ派の最高権威機関アズハルは14日の声明で、風刺画再掲載について「憎むべき軽薄な言動」であり、イスラム教徒の「憎悪をかき立てる」と批判。「預言者の慈悲と人間性は、道徳や文明とかけはなれた愚かな風刺画が与えるものよりはるかに偉大で気高い」と表明しました。
アズハルはシャルリエブド銃撃事件についていち早く、「犯罪的な攻撃」であり「イスラムはあらゆる暴力を糾弾する」との態度を示していました。
カタールの首都ドーハを拠点とする国際イスラム法学者連盟は、「風刺画再掲載は西欧が反イスラムの立場をとっているという考えに信ぴょう性を与えるもの」であり、「さらなる憎悪、過激主義、緊張をもたらすだろう」との声明を発表しました。
イスラム教シーア派を国教とするイランの外務省報道官は、シャルリエブド銃撃事件を「イスラムの教えと完全に相いれない」と厳しく批判する一方、風刺画再掲載について「表現の自由の悪用」と断言。「世界中のイスラム教徒の感情を傷つけ挑発するものであり、過激主義拡大の悪循環を生むものだ」と強調しました。
トルコ南部のディヤルバクル県の裁判所は14日、ムハンマド風刺画を転載したウェブサイトを閲覧禁止とするよう命じました。
さらにシャルリエブド銃撃犯の両親の出身国アルジェリアでは、主要紙アッシュルークが14日付1面で、欧州などで反テロのスローガンとなっている「私はシャルリ」に対抗し、「私たちはみなムハンマド」の見出しを立てました。