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2015年1月12日(月)

戦後70年談話

「核心」を引き継がない首相

アジア諸国との関係壊れる

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 「安倍内閣としては、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」(5日、年頭記者会見)

 安倍晋三首相は戦後70年の今年、新たな談話を発表する意向を示しています。その際、繰り返し冒頭のようなフレーズをのべてきました。この「全体として」という文言には、重大なごまかしがひそんでいます。

「侵略」認めず

 首相は、「慰安婦」問題で旧日本軍の関与と強制性を認め、謝罪を表明した「河野洋平官房長官談話」(1993年8月4日)とともに、植民地支配と侵略に反省とおわびを表明した「村山富市首相談話」(95年8月15日)に対して、否定的な発言を繰り返してきました(別表)。

 確かにこのなかでは、「受け継ぐ」「見直さない」とも言いましたが、「全体として」とか「現在」といった限定条件がついています。「部分としては引き継がない」「将来は見直す」という意図を読み取ることができます。

 村山談話は「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました」としています。

 ところが、首相は植民地支配や侵略を認めた部分を省略して談話を読み上げ、安倍政権の立場だと答弁しています(14年3月3日、参院予算委)。「植民地支配と侵略」は村山談話の核心部分です。これをかたくなに口にしようとしないところに首相の本音がみえます。

 すでに、菅義偉官房長官も9日のBSフジの番組で、司会者から「新談話では『植民地支配と侵略』『反省』という言葉は残すのか」と質問されたのに対し、「同じものをやるんだったら新たに談話を出す必要はない」と答え、別の表現にすることを排除していません。

骨抜きになる

 河野談話に関しても首相は「継承する」と一方でいいながら、事実上否定する発言を繰り返しています。首相に近い、自民党の萩生田光一総裁特別補佐は昨年10月、「新たな談話を出すことによって、結果として骨抜きになる」とまで発言しています。

 過去の侵略を肯定・美化するゆがんだ歴史認識のもとで新談話を出すならば、アジア諸国との関係は決定的に壊れてしまいます。侵略戦争を断罪した戦後の国際秩序に対する重大な挑戦です。


村山、河野談話をめぐる首相語録

◆河野談話の核心は強制連行。朝鮮半島で家に乗り込んで強制的に女性を人さらいのように連れて行った、そんなことを証明する資料はなかった。子孫の代に不名誉を背負わせるわけにいかない(2012年9月14日、自民党総裁選)

◆(村山談話は)安倍内閣として、そのまま継承しているわけではない(13年4月22日、参院予算委員会)

◆(村山談話について)あいまいな点がある。特に侵略の定義は、学界的にも国際的にも定まっていない(13年4月23日、参院予算委)

◆(村山談話について)政権としては全体として受け継いでいく(13年5月15日、参院予算委)

◆(河野談話について)安倍内閣で見直すことは現在考えておらず、新たな談話を発表することも現在考えていない(14年10月1日、衆院本会議)

◆(日本軍「慰安婦」問題に関して)日本が国ぐるみで性奴隷にした、いわれなき中傷がいま世界で行われている(14年10月3日、衆院予算委)


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