2015年1月6日(火)
矛盾深め墓穴掘る暴走
5日の年頭記者会見で安倍晋三首相は「あらゆる改革を大きく前進させる」と述べ、経済政策だけでなく、安全保障や原発など、自ら掲げる政策を断行していく考えを改めて明らかにしました。これらの政策は、いずれも国民の中に多数の慎重・反対論が根強くあるものばかり。民意無視で暴走することは許されません。
首相は年頭会見で、「選挙の結果、再び政権を担うことになった。公約で約束したことは実行していかなければならない」と暴走を合理化しました。しかし、国民が安倍政権の政策を積極的に“信任”したものではないことは、総選挙結果からも明らかです。
有権者全体で自民党の得票率は、比例代表で16・99%、小選挙区でも24・49%にすぎません。総選挙後の世論調査でも、改憲や原発再稼働など安倍政権が進めようとしている政策に5割から6割が反対の意思表示をしています。首相は「公約」を口にしましたが、総選挙で国民に示した自民党の政権公約には「集団的自衛権」の文字すらありませんでした。
首相は「アベノミクスという種は、この2年間で大きな木へと成長し、いま実りの季節を迎えようとしている」と胸をはりました。しかし、実質賃金は17カ月連続マイナスなど、格差を拡大するアベノミクスが国民の暮らしと日本経済の立て直しに結びつかないことも、すでに明らかです。
戦後70年の談話について首相は、「植民地支配」と「侵略」への反省とおわび、という「村山談話」の核心部分を継承することも明言しませんでした。こうした民意無視の暴走を首相が続けるかぎり、国民との矛盾をいっそう深め、自ら墓穴を掘ることになります。
(佐藤高志)