2015年1月6日(火)
北海道旭川 自衛隊「仕事始め」“北の靖国”に集団参拝
市民 「海外で戦争する安倍政権の姿と重なる」
陸上自衛隊第2師団(旭川駐屯地)、自衛隊旭川地方協力本部が5日、「北の靖国」とよばれる旭川の北海道護国神社で、仕事始めの「安全祈願」と称する集団参拝を今年も実施しました。批判をよそに参拝を恒例化させる態度に、目撃した市民からは「憲法の政教分離原則に反するのではないか。憲法を壊して海外で戦争する安倍政権の姿と重なり不安」などの声が上がりました。(山本眞直)
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集団参拝したのは第2師団司令部の市野保己師団長(陸将)ら高級幹部、旭川地方協力本部所属の陸海空各自衛隊幹部など約60人。
同神社は1939年に旧内務省が靖国神社の地方分社と位置づけて設置。同神社はホームページで「名実共に北の靖国神社」と記述していました。
一行は各部隊での仕事始めの朝礼などを済ませた後、駐屯地と道路1本はさんだ護国神社に移動。制服姿の集団が相次いで本殿に入・退場する光景は異様です。
同神社への自衛隊「集団参拝」をめぐっては昨年、憲法の政教分離原則に触れる問題として、本紙が報じました。
昨年の参拝後、自衛隊に戻る幹部や隊員らが私語を交わす和気あいあいとした雰囲気とは違い、今年は本紙の取材を意識してか様相が一変。現場を目撃した旭川平和委員会の由井久志事務局長も、「参拝者は緊張した表情で、言葉を交わすこともなく、黙々と移動していた」と語ります。
本紙の問い合わせに、第2師団の上級部隊である北部方面総監部は、同師団の集団参拝を「第2師団の計画として承知している」と容認しています。
田辺揮司良総監(陸将)は「年頭の辞」で、集団的自衛権行使容認を前提にした防衛大綱策定から2年目の年として「真にたたかえる部隊、隊員を育成し、いかなる任務にも即応し、これを完遂する」と述べ、幹部や隊員に「覚悟」を迫りました。
参拝を終えた幹部自衛官は、「公務中の参拝は政教分離に反するとの指摘があるが」との本紙の取材に、硬い表情で無言のまま立ち去りました。
陸自第2師団司令部広報室は「師団長、副師団長、幕僚長が(休暇扱いで)参拝した」と認めました。
自衛隊は新年の集団参拝に加え、夏の「慰霊大祭」にも北部方面総監、第2師団長、旭川地方協力本部長と指揮下の部隊長らが出席。参列殿の最上席を占める“主賓”扱いとなっています。
「慰霊大祭」には、安倍政権の「歴史の偽造による戦争する国づくり」をすすめる「日本会議」の席も設けられています。
「軍隊」としての姿浮き彫りに
旭川平和委員会の由井久志事務局長の話 昨年、「しんぶん赤旗」の報道で社会的な問題になったが、(集団参拝は)絶対にやるという自衛隊の強い意思を感じた。この背景にはかつての侵略戦争遂行の精神的支柱となった靖国思想へと回帰させ自衛隊員を安心して戦場に送り出す仕組みが透けて見える。幹部や隊員の黙々と従う姿が「軍隊」としての姿を浮き彫りにした。安倍政権によって集団的自衛権行使への安保法制化がされれば、彼らは戦場に行かされるのか。海外で戦争するための一切の動きを許さない取り組みを強めたい。