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2014年12月30日(火)

「子育て支援員」制度

専門性否定・安上がり労働力

保育が危うく

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 来年4月から実施の子ども子育て支援新制度とともに、「子育て支援員」制度が導入されます。保育士不足対策として打ち出されたものの、問題点が浮かび上がっています。


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(写真)「保育に格差を持ち込むな」とパレードする保育大集会参加者=11月、東京・銀座

 「支援員」制度が導入されるのは、保育、学童保育、社会的養護、行政の相談・案内の4分野です。共通の基本研修(8時間)とわずかな専門研修(5〜22時間)を修了すれば「支援員」になれます。

責任の重さは有資格者なみ

 保育士資格がなしでも運営できる小規模保育施設では、保育士に代わって保育従事者がすべて「支援員」になるケースも出てきます。「支援員」が導入される地域型保育の2015年度の利用見込みは約4万人。保育士の専門性で担うべき0〜2歳児の保育を、「支援員」に置き換えようとしています。

 学童保育では、有資格者(最低1人)の「補助員」としますが、「業務を全般にわたり基本的には担う」としています。「支援員」に対する専門研修は、わずか9時間としています。

 虐待を受けた子どもへの支援など社会的養護の分野では、正規職員の「補助的な支援者」とされ、専門研修は11時間です。

民間事業者に研修丸投げも

 都道府県・市町村が責任を負うべき「支援員」に対する研修が、民間事業者に丸投げできる仕組みが設けられています。

 当初は、市町村が民間事業者に研修を行わせる場合、自治体が内容に責任を持つ「委託」制が検討されていました。しかし、「質も大事だが量の確保も必要」(厚労省)などとして「指定」制も盛り込みました。「指定」制の場合、要件さえクリアすれば、あとは事業者に研修の質が丸投げされることになります。

仕事の継続が困難な処遇に

 保育を支えるためには、安定した雇用で専門性を高めていくことが不可欠です。しかし、保育の「子育て支援員」に対する国の予算上の人件費単価は、保育士の43%と半分以下です。保育士と同じ仕事内容を任せながら低い待遇条件に置けば、働き続けることも困難にします。

 国は「さらに意欲のある人には、保育士などを目指しやすくする仕組を検討する」などといっていますが、「支援員」の使い捨てで人材の確保にもつながりません。


抜本的処遇改善による人材確保こそ必要

全国福祉保育労働組合 澤村直書記長

 保育士は、子どもの命を守り、発達を保障するための専門知識を身につけ、現場での実践を積み重ねて専門性を磨くことが不可欠な仕事です。

 それを子育て経験があるからと、わずかな研修で保育士と代替させることは、保育の専門性を否定するものでしかありません。子どもの発達を保障するという視点ではなく、安上がりの労働力を確保するのがねらいです。

 保育士の賃金は全産業平均の7割にも満たず、有資格者でも非正規職員ではさらに低くなっています。さらに労働条件の低い「子育て支援員」をつくれば、雇用を劣化させ、保育サービスの低下を招くことになります。

 保育士不足を解消するためには、最低基準の人員は正規職員にすることをはじめ、安心して働き続けられるための処遇改善こそ必要です。


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