2014年12月29日(月)
大阪府教育長「パワハラ暴言」
徹底究明と厳正対処を
大阪府の教育長による「パワハラ暴言」について、日本共産党大阪府委員会の小林裕和文教委員会責任者にリポートを寄せてもらいました。
共産党大阪府委 文教委責任者
小林裕和さんのリポート
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10月29日の大阪府教育委員会会議で立川さおり教育委員が、認定こども園をめぐる答弁調整の中で、中原徹府教育長から「誰のおかげで教育委員でいられるのか」などと威圧的な発言があったことを明らかにしました。
人権侵害を追及
厳しい府民世論のもと、教育関係団体が中原教育長の辞任要求を行う中、11月7日に開催された教育委員会会議(当事者の中原、立川両委員は退席)で、中原教育長の立川委員や府教委事務局職員への発言の事実確認と、認定こども園条例一部「改正」案に関わる教育委員会としての意思決定過程についての調査を、弁護士など第三者の協力により実施することを決めました。
府教委の意思決定過程についての問題は、10月15日の府議会教育常任委員会で、日本共産党の、くち原亮府議が提起していました。
府議会ではこの問題について、教育常任委員会が11月18日、日本共産党と自民、公明、民主の各党議員が共同して招集請求し、開催されました。この中で陰山英男府教育委員長は、府教委職員から、中原教育長による「戦慄(せんりつ)すべき内容」の問題行為を受けたという告発があったことを明らかにしました。
日本共産党の宮原たけし府議団長は、12月19日の府議会一般質問のなかで、中原教育長発言などにみられる「府教育委員会の現状の異常さをどう正すか」について質問。小河勝府教育委員長職務代理者は、当事者以外の3人の教育委員からなる調査チームを設置し、大阪弁護士会から推薦された3人の弁護士による関係者への聞き取り調査を踏まえて、教育委員会としての対応を決めることを明らかにしました。
安倍政権による教育委員会制度の改悪のもと、国民・教育関係者の運動と日本共産党の国会論戦で、橋下・「維新」が主張した教育委員会廃止論が退けられ、一般行政から独立した合議体の執行機関としての教育委員会が残された中での動きとして注目されます。
中原教育長の威圧的な発言は、事実であれば明白な人権侵害であり、教育長・教育委員としての資格が厳しく問われる重大問題です。松井一郎府知事の任命責任も当然問われます。教育関係者が厳しく指摘しているように、事実関係の徹底究明と、そのうえで厳正な対処が必要です。
教育を政治支配
同時に今回の問題は、認定こども園の3歳児学級編成基準をめぐる知事提案が、教育長を通じて教育委員会に押し付けられたことに見られるように、政治権力が教育委員会を支配・統制する深刻な実態を浮き彫りにしました。
教育委員会は、憲法にもとづく教育の自由・自主性を守るために、一般行政から独立した機関としての重要な役割をもっています。教育への政治支配を許さず、住民の代表である教育委員会が本来の役割を発揮し、保護者や学校現場の意見をよく聞き、教育施策に生かすなどの教育委員会改革を行うことが求められています。
教育長「パワハラ暴言」とは
大阪府議会で10月28日に可決された、認定こども園条例改定案に対する議会答弁をめぐり、府の教育委員が中原徹教育長から威圧的な暴言をうけたと指摘した問題。
立川さおり委員が教育委員会会議で配布した文書によると同21日、認定こども園の3歳児クラスの定員を25人から35人に引き上げる条例案に対する答弁調整の場で、立川委員が「3歳児の母親として、より少人数が理想だと思っている。うそは言えない」と述べたところ中原氏が途中で遮り、「課長が用意した通りに言えばいい。共産党に利用されるだけ。一緒にされますよ」と抑え込み、「誰のおかげで教育委員でいられるのか、知事でしょ」「課長や次長の首も飛ぶ。僕も自分のキャリアに傷がつく。損害賠償請求、告訴します。罷免要求出しますよ」と脅しました。
中原氏は橋下徹大阪市長の大学時代からの友人で弁護士。橋下氏が知事時代に、民間人校長として府立高校に着任し、卒業式での「君が代」斉唱口元チェックで批判を浴びました。2013年4月、松井一郎知事が府教育長に登用しました。