2014年12月29日(月)
大企業の内部留保
一部使えば雇用・賃金・景気が改善
国公労連が試算
国公労連は『2015年国民春闘白書』をもとに、大企業の内部留保1%の活用による雇用増と、月額2万円の賃上げをするための内部留保の取り崩し率についての試算をまとめました。それによると、多くの大企業に大幅賃上げを実現できる条件があることがわかります。
8社で1万人超の雇用も
試算によると、内部留保の1%を雇用(年収300万円、1年間雇用)に回した場合、主要企業134社のうち90社で、それぞれ1000人を超える雇用が可能です。このうち25社では5000人以上、8社では1万人以上を雇用することができます。
個別企業ではどうでしょうか。
トヨタ自動車は、内部留保を1%取り崩すことで、5万5000人以上の雇用が可能です。リストラを実施しているパナソニックの内部留保は2兆4433億円、ソニーでは2兆4276億円。この一部を取り崩すだけで大規模なリストラを回避できます。
3%活用で月額2万円増
主要企業134社のうち93社の正規従業員全員に月額2万円の賃上げ(ボーナス4カ月分を含めて年間必要財源は32万円)を実現するためには、内部留保の3%未満を活用すれは可能です。たとえば、東レ(経団連会長企業)で月額2万円の賃上げを実現するには、内部留保の1・98%を活用するだけです。
非正規雇用でも
非正規雇用労働者数がわかる91社のうち、非正規雇用全員に月2万円の賃上げ(年間必要財源は24万円)をするには、86社が内部留保の3%未満を活用すればいいだけです。
春闘で大幅賃上げめざす
経済統計が発表されるごとに、深刻さの度合いを深めていることが浮き彫りになる日本経済。この現状から回復し、経済を活性化させるには、すべての労働者に大幅賃上げを実現することが不可欠です。
「企業収益の拡大から賃金の上昇、消費の拡大」(政労使会議の合意文書)という“トリクルダウン”論では、実質賃金をプラスに転換する賃上げも景気回復も実現し得ないことは、この数年で明らかです。
2015年春闘で、全労連・国民春闘共闘は、「実質賃金の低下に歯止めをかけ、大幅賃上げと暮らしの改善をはかる」として、月額2万円、時間額150円の賃上げ、最低賃金要求として時間額1000円以上、日額8000円以上、月額17万円以上の達成をめざすとしています。連合はベースアップ2%以上(定期昇給維持相当分2%を加えて4%以上)を掲げています。
いずれも、賃上げにより景気回復を図るとの立場です。
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