2014年12月28日(日)
対「イスラム国」
米政権 民間軍事会社活用も
暴力に懸念の声
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米政権は、イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」を掃討するとしてイラクやシリアで進めている軍事作戦で、米民間軍事会社の活用を強めようとしています。2003年のイラク侵攻とその後の占領で民間軍事会社が相次いで暴力事件を起こしていることから活用を懸念する声もあります。
オバマ政権は、8月にイラク空爆を始めて以来、軍事顧問などの任務を持つ米兵をイラクに派遣しています。11月には最大で1500人の追加派遣を発表し、駐留米兵は約3000人へ膨れ上がる予定です。
米政府関係者はロイター通信に対し、「ある程度の数の民間軍事会社を追加支援のために活用しなければならないのは確実だ」と語りました。同通信は「治安から車両修理、食料調達まですべてに責任を負う請負業者の数を増やすことは、オバマ政権がイラクへますます関与していることを示している」としています。
米軍準機関紙「星条旗」も「多数の民間請負業者がイラクとシリア、あるいはどこか中東の別の地域で『イスラム国』との戦闘に参加するよう要請されている」と伝えています。国防総省は8月にはイラクの国防省と対テロ部門に助言する民間軍事会社を募集する広告を出しました。
一方、ジョージタウン大学のショーン・マクフェイト教授は「星条旗」に対し、民間軍事会社の活用強化はイラク占領時の経験から「用心すべき選択であり、長期にわたる危険がある」と指摘しています。
米軍がイラクを占領していた08年には、国防総省が契約する民間軍事会社関係者は16万人以上いました。
07年にはイラクの首都バグダッドで米民間軍事会社ブラックウォーター(現アカデミ)の警備員が非武装のイラク人14人を射殺。こうした暴力事件が次々と明らかになり、民間軍事会社を使う米政府に批判が強まりました。
ワシントンの連邦地裁の陪審は今年10月、殺人などの罪に問われたこれらの元警備員4人に有罪の評決を出しました。