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2014年12月28日(日)

きょうの潮流

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 「身辺や年暮れんとす些(さ)事大事」(松本たかし)。年内最後の週末、大事な些事の代表格は大掃除です▼掃除をしてもいずれほこりはたまる、ほこりでは死なないと、しない理由を並べてみますが、散らかった部屋で新年を迎えるのもどうかと思い、手をつけます▼本棚は要注意です。積み重なった本が落ちてくるからではありません。「こんな面白い本を読まないのかね」と背表紙が語りかけてくるからです。以前、子どもに買った児童文学全集も誘惑に満ちています。ドイツの作家エーリヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』などは今の時代にぴったりです▼「かしこさをともなわない勇気は乱暴でしかないし、勇気をともなわないかしこさは屁(へ)のようなものなんだよ!」(池田香代子訳)。好きな言葉です。ページを開いて続きを追います。「世界の歴史には、かしこくない人びとが勇気をもち、かしこい人びとが臆病だった時代がいくらもあった。これは正しいことではなかった」▼この本が出版されたのはナチスが政権を獲得した1933年。ヒトラーの宣伝の一つが「経済回復」でした。「この道しかない」という、やたらに勇んだ安倍政権のスローガンにも知性が感じられず、別の道を考えることを排除しています▼ケストナーはその後弾圧され、著書は焚書(ふんしょ)処分になりました。“勇気と賢さを”との呼びかけは命がけの言葉だったのです。先人の思いをじっくりと味わうのが読書の醍醐味(だいごみ)です。大掃除をしない言い訳にしてはいけませんが。


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