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2014年12月28日(日)

生活保護 さらに減額

厚労省方針 住宅扶助と冬季加算が対象

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 厚生労働省は26日、生活保護費のうち家賃にあたる「住宅扶助」と、暖房費にあてる「冬季加算」を2015年度から引き下げる方針を社会保障審議会の生活保護基準部会に示しました。昨年から実施されている生活扶助の引き下げに続いて、生活保護利用者にさらに窮状を強いるものです。

 住宅扶助は、地域と世帯人数ごとに決めた基準額を上限に、家賃の実費を支給しています。上限額は最も高い1級地(東京都23区など)の単身者で月5万3700円。

 部会に提示された報告書案は、「貧困ビジネスの温床になっている」との理由で、新たな基準を設けることを提示。床面積が狭い住宅は「床面積に応じた支給額とするなどにより、支給額を住宅の質に見合ったものにする必要がある」と表明し、減額する方向を示唆しました。

 生活保護世帯の住居水準は、一般低所得世帯と比べても「低い」と認めました。

 生活保護費に上乗せする冬季加算(単身者の1級地で月3080円)については、北海道などを含む大部分の地区で、一般低所得者世帯の光熱費の方が下回っているとして、冬季加算の引き下げを打ち出しました。

 委員からは「冬季加算は、まさにライフライン(命綱)。節約がこれ以上できないものだ」との指摘が相次ぎました。

 住宅扶助と冬季加算の具体的な減額幅については、財務省と厚労省で調整し、年明けの予算編成で決まります。


解説

命を危険にさらす

 厚労省が生活保護の住宅扶助と冬季加算の引き下げを打ち出したことは、すでに苦しい生活を強いられている生活保護利用者をさらに窮地に追い込むもので許されません。昨年の8月から、生活保護の本体である生活扶助の最大10%の削減が強行されています。

 しかも、厚労省による「居住実態調査」では、生活保護利用者の住環境が劣悪であることが示されています。同省が審議会に出した報告書案も国が「健康で文化的な住生活を営む基礎」とする最低居住面積水準の達成率は一般世帯と比べて「大きく下回って」いると認めざるを得ません。

 それにもかかわらず報告書案は、生活保護受給者を劣悪な住宅に住まわせて生活保護費を収奪することで社会問題になっている「貧困ビジネス」を口実にして住宅扶助引き下げへと誘導しています。

 「貧困ビジネス」の取り締まりは当然ですが、厚労省の調査でも、貧困ビジネスの「疑義あり」とされたのは全体のわずか0・6%。貧困ビジネスを口実に住宅扶助を引き下げることに道理はありません。

 冬季加算は、低所得世帯との比較で、引き下げの方向が導きだされました。しかし、生活保護を利用していない低所得世帯と比べて利用世帯の水準を引き下げるのは本末転倒です。寒冷地に住む生活保護利用者からは、現行の冬季加算では足りないという声も上がるなか、冬季加算が削られることになれば、生活保護利用者の命を危険にさらすことになりかねません。(鎌塚由美)


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