2014年12月26日(金)
首相の「改憲」「社会保障改悪」発言
世論無視の強権姿勢示す
安倍晋三首相は24日夜の記者会見で、「7月に閣議決定した方針に基づき、来年の通常国会に向け切れ目のない安全保障法制の準備を進め」、通常国会での成立を図るとのべました。また、「社会保障改悪」やデフレ脱却などを進める姿勢を明確にしました。
安倍首相はこれらの課題について、「戦後以来の大改革」「すべからく新たな挑戦だ」と自らを持ち上げ、「当然、賛否は大きく分かれ、激しい抵抗もある」と述べる一方で、「今回の総選挙で、引き続きこの道を真っすぐに進んでいけと国民から力強く背中を押していただいた。信任という大きな力を得た」などと述べました。明文改憲についても「歴史的チャレンジだ」と推進姿勢を示しました。
まるで「社会保障改悪」や憲法9条破壊の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」具体化などについて「白紙委任」を受けたかのような言いぶりです。
しかし、そもそも安倍首相自身が今回の解散を「アベノミクス解散」と名づけ、争点を限定しました。実際、選挙中はもっぱら政権の経済政策「アベノミクス」の自賛演説を繰り返し、自ら積極的に安保政策を議論することはありませんでした。
選挙後の世論調査(共同通信、「東京」17日付など)でも、集団的自衛権の行使を含む安倍政権の安全保障政策について「支持しない」が55・1%で、「憲法改正」についても反対50・6%です。「アベノミクス」そのものについても、それによって「今後景気が良くなると思うか」について「思わない」が62・8%。2017年4月の消費税再増税に「反対」が57・5%です。到底「信任」を受けたとは言えません。
総選挙の結果も「自民圧勝」とはいえません。政党間の力関係をもっとも端的に示す比例代表では自民党の得票率は33%。それでも議席の上で多数を得たのは、相対的に優位な政党が圧倒的に有利となる小選挙区制が民意をゆがめた結果です。
安倍政権に最も厳しく対決した日本共産党が改選8議席を2・6倍化して21議席を獲得したことは、安倍暴走政治に対する厳しい民意のあらわれです。
他方、安倍首相は、名護市辺野古での米軍新基地建設阻止を掲げたオール沖縄の代表4氏が完勝した沖縄の民意には一言もふれることはできませんでした。それでも新基地建設推進が「信任」されたと強弁するのでしょうか。
世論を無視した強権姿勢は、早晩行き詰まりを深めざるを得ません。
(酒井慎太郎)