2014年12月23日(火)
自衛隊の「違反」急増 解禁日前に訪問し勧誘
高卒内定実態調査 全教・全国私教連
内定率の地域格差依然として大きく
全日本教職員組合(全教)と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は22日、来春卒業予定の高校生・障害児学校生の就職内定実態調査結果を発表しました。自衛隊による就職ルール違反が大幅に増え、内定率の地域格差が依然大きいことなどがわかりました。調査は10月末現在、対象は就職希望者2万4748人(31道府県443校)です。
自衛隊による就職ルール違反は13校、前年同期比で3倍に増えています。就職解禁日の9月16日より前に、家庭訪問で生徒個人を勧誘する違反事例が相次いでいます。
勧誘自体も執拗(しつよう)です。ある学校では、「自衛隊を受けさせてほしい」という自衛隊からの勧誘に対し、学校側が「消防希望者に併願として希望があるか確認する」と回答。その次の日、名前も知らせていないのに生徒の家に担当者が説明に行った、という事例がありました。
また、「学校での勧誘で高校別の受験合否の一覧表を提示され、ぜひ受験させてほしいと言われた」「校内で説明会と自衛隊への志願願書記入を自衛官の指導のもとでおこなった」例もありました。
就職活動の長期化や、採用の厳選化も深刻です。即戦力を求める企業の意向も反映して、「5次面接まであった企業があり、生徒が途中で断念した」ケースも。
内定率は75・3%と前年同期比で3・3ポイントの増。地域格差は大きく、最も高い富山県は93・5%、最も低い北海道は62%でした。
全教と全国私教連は厚生労働省をはじめ関係省庁に対し、自衛隊の就職ルール違反についての是正指導や、新卒者の就職ルールの法整備、高校生の求人の多くを担う中小企業支援策の強化などを求めています。