2014年12月21日(日)
カジノ合法化「早く」 露骨な介入の意見書
在日米国商工会議所が発表
刑法が禁じる賭博場・カジノ合法化の動きがあるなか、米国企業を中心にする在日米国商工会議所が、カジノ合法化法案の早急な成立を求める意見書を発表したことが20日までに分かりました。
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日本でのカジノ合法化を見越して、すでに米・ラスベガスのサンズ、MGMなど外国の巨大カジノ企業が日本進出に意欲をみせ、誘致自治体にたいして巨額の投資話を持ちかけるなどしています。「2015年9月まで有効」とされた意見書は、海外のカジノ企業が日本で最大の利益をあげるのに都合のいい制度の設計を、事細かく求めるものとなっています。
高い「利便性」
意見書は、「IR(カジノを中核とする統合型リゾート)でのカジノ合法化に向けた取組みを歓迎するとともに…早急な法案の成立を求める」としたうえ、日本と競合するシンガポールやマカオなどアジア各地のカジノ施設との比較で「より利便性の高い法規制の枠組みを構築することも大変重要である」と指摘。他のカジノ設置国以上に、進出するカジノ企業に「利便性」の高い制度をつくることを露骨に求めています。
具体的な提言(表参照)として、「カジノの規模に関して恣意(しい)的な制約を法規制に盛り込まないこと」を求めたのをはじめ、カジノに関する規制緩和を最大限すすめようとしており、24時間、年中無休の営業、東京、大阪など人口密度の高い地域では複数のカジノ施設の併設を求めるなどしています。
カジノ総収入にかける税率は「10%」と、他国の例と比べても相当に低い税率を要求。カジノ施設内でのクレジットサービス解禁を求め、客をどこまでものめりこませる手はずをとろうとしています。
入場料に反対
カジノ合法化をすすめている超党派のカジノ議連(「国際観光産業振興議員連盟」、会長・細田博之自民党幹事長代行)の案では、日本人客の利用の規制策として高額の入場料を課すことが検討されています。提言は「日本国民は入場料のかからないパチンコ・パチスロ、競馬、競艇、競輪といった多数の選択肢を有している」としてカジノへの入場料に反対しています。
カジノ合法化の最大の問題点であるギャンブル依存症について、意見書は「法的試みは、ギャンブル依存を撲滅するという政策目標を達成することが出来ず…全体的な目標の達成を妨げている」と指摘。「無責任なギャンブルに興じる少数者を守るために」「全訪問者のギャンブルを制限することは、逆効果となりかねない」としています。
借金させてでも日本国民収奪
増田尚(たかし)弁護士の話 在日米国商工会議所は、自分たちのビジネスチャンスの拡大のために、日本への介入、政治家への働きかけを繰り返しています。サラ金の高金利規制、労働法制改悪などでのその主張はあまりにも露骨なものでした。
今回のカジノ意見書も、カジノ施設内でのクレジットサービスのように、借金をさせてでもカジノで日本国民を収奪しようとする強欲ぶりがあらわにされています。
このようなむき出しの「政策提言」にこたえるのがカジノ合法化なのです。政治家はだれのために動くのかが問われます。
在日米国商工会議所(ACCJ) 日本に進出している米国企業を中心に約1000社の代表で構成される日本最大の外資系経済団体。対日要求を突きつける「政策提言」、国会議員や政府関係者との「意見交換」を重ねており、環太平洋連携協定(TPP)の早期妥結、労働法制改悪、法人税率引き下げ、サラ金規制反対などを求めてきました。
規模規制するな■24時間営業を■クレジット可能に
在日米国商工会議所のカジノ提言の主要点
●カジノの規模について制約を盛り込まない
●初期段階で東京圏、大阪圏、地方数カ所のカジノ認可を
●カジノ総収入に対する税率は10%をこえないものに
●カジノ・ギャンブルは消費税の対象から外す
●入場料は課さない
●カジノ参加は20歳以上。24時間年中無休の営業を認める
●カジノでのクレジットサービス利用を可能に
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