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2014年12月20日(土)

STAP 検証打ち切り

理研「再現できず」

小保方さん退職へ

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 理化学研究所は19日、STAP問題をめぐる検証実験で「STAP現象は確認できなかった」として、来年3月まで予定していた実験を打ち切ると発表しました。一方、一部の実験に参加した小保方晴子研究員は今月15日に退職願を提出。理研はこれを受理し、21日付で退職します。


 検証実験の相沢慎一チームリーダー、共著者の一人である丹羽仁史副チームリーダーらが東京都内で記者会見し、検証結果を報告しました。

 小保方さんによる実験は9月中旬から11月末まで、立会人やカメラによる監視のもと、論文で記載されたやり方によるリンパ球からのSTAP現象を検証しました。丹羽さんらは、論文とは別のやり方でも試みました。いずれもSTAP現象の確認には至らなかったといいます。

 STAP現象を報告した論文データと検証結果の矛盾について、相沢さんは会見で「乖離(かいり)がいったいどういうことによるのかは、検証実験だけでは全体を判断できない」。丹羽さんは「齟齬(そご)がなぜ生じたかは、他のデータの信頼性との兼ね合いなので、今後の調査を待たないとコメントできない」と述べました。

 小保方さんは4月の会見で「STAP細胞はあります」「200回以上作製した」と説明していました。今回は会見に出席せず、「今はただ疲れ切り、このような結果に困惑している」とのコメントを発表しました。

 検証計画は1年間の予定で4月に開始。当初、小保方さんは参加しない方針でしたが、検証チームの実験とは独立に小保方さんも参加(11月末を期限)させると7月に決定。8月の中間報告で丹羽さんが、論文記載のやり方でSTAP現象は確認できなかったとしていました。今回の検証結果を、来年3月をめどに論文として発表するとしています。

 一方、STAP現象があるかどうかの科学的検証とは別に、研究不正に関する調査が進んでいます。4月に認定された研究不正2件のほかにも疑義が生じたため、外部有識者による調査委員会が9月3日に設置され、150日以内に結論を出すとしています。

解説

過度の競争的環境にメスを

 血液や皮膚などをつくる体細胞を酸などで刺激するだけでどんな細胞にも変化することができるようになるという「STAP細胞」。「生物学の常識を覆す発見」「夢の細胞」といわれました。再生医療などへ応用できる「万能細胞」を簡単につくれるようになると期待されたからです。

 しかし、科学誌『ネイチャー』に発表した論文には次々疑問が寄せられ、理化学研究所が設置した調査委員会は不正があったと認定し、論文は取り下げの事態に。小保方晴子研究員も参加して行っていた理研の検証実験でも、STAP細胞をつくりだすことはできませんでした。

 最大の疑問は、なぜ本人でさえ再現できないような研究が、世界的に著名な何人もの研究者を共著者とする論文となり、最も権威のある科学誌の一つとされる『ネイチャー』に掲載されるに至ったかです。

 理研外部の有識者による「研究不正再発防止のための改革委員会」がまとめた提言書は、STAP問題発生の原因分析の中で「科学研究活動をめぐる競争的環境は、一方で研究不正行為に手を染めてでも、競争に勝ち抜きたい、との誘惑を生む」と指摘。小保方さんが研究者としてトレーニング不足であることを理研CDBは知りながら、STAP研究で画期的な成果を獲得するために採用した可能性が高いとしています。

 科学研究における不正事例は競争的資金の重点配分や任期制など競争的環境が強まった2000年前後から急増しています。日本共産党は、不正の根絶をはかるために、科学者としての倫理規範の確立を促すとともに、不正の温床となっている業績至上主義とそれを助長する過度に競争的な政策をあらためるよう主張しています(2014年総選挙政策)。

 STAP問題を「再現できなかった」で終わらせず、背景にいっそう鋭いメスを入れ、得られた教訓をもとに、過度の競争的環境を見直すことが求められます。 (間宮利夫)


 STAP(スタップ)細胞 生後間もないマウスの細胞に刺激を与えるだけで、さまざまな細胞になる能力を持つとされた細胞。遺伝子を導入して作るiPS細胞より簡単にできる新たな万能細胞として登場しましたが、理研の小保方晴子氏らが英科学誌ネイチャーに発表した論文の実験画像に捏造(ねつぞう)や改ざんが見つかって撤回され、研究は白紙に戻りました。


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