2014年12月13日(土)
軍政下の人道犯罪 ブラジル真相究明委が最終報告
ルセフ大統領 “新しい世代に真実を”
殺害・失踪 加害377人実名も
ブラジル軍事政権下(1964〜85年)の人道犯罪を調査するため同国政府が2012年に設置した「真相究明委員会」は10日、拷問や殺害などに関与した軍や警察、民間企業の責任者ら377人の実名を含む、当時の人権侵害を告発する2000ページの最終報告書を発表しました。
加害者には複数の軍司令官が含まれ、組織的な拷問やレイプ、拉致・誘拐、処刑などに関与したとされます。そのうち約200人は存命です。
21年間の軍政時代に殺害されたり、行方不明となったりした人は434人に上ります。委員会はこれまで362人としてきた人数を上方修正しました。
報告書は、労働組合員の“ブラックリスト”作りで軍と協力関係にあった海外の自動車メーカーを含む民間企業についても詳述。とりわけ組合の会議内容などを積極的に軍に提供するなどしたドイツのフォルクスワーゲン(VW)や、ブラジルの国営石油企業ペトロブラスについて、労働者を抑圧した「象徴的」な企業だと指摘しています。
自身も1970年代に3年間投獄され、電気ショックなどの拷問を受けた過去を持つルセフ大統領(66)は報告書を手渡され、「ブラジルと新しい世代は真実を知るにふさわしい。とりわけ家族や友人を失い、今も苦しむ人たちにとっては」と目を潤ませました。さらに「真実が報復を引き起こすべきではないし、憎しみや恨みを晴らす動機になってもいけない」と強調しました。