2014年12月11日(木)
経済でも外交でも確かな対案をもつ党
BS日テレ 志位委員長が語る
日本共産党の志位和夫委員長は9日夜放送のBS日テレ「深層NEWS」に出演し、経済、社会保障、外交、議員定数削減の問題などについてキャスターの玉井忠幸(「読売」編集局次長)、小西美穂両氏のインタビューに答えました。
内部留保の活用
政治の責任で暮らしを守るルールをつくる
冒頭、選挙戦の反応を問われ、「共産党に対する新しい期待、注目が広がっているのを感じます」と述べた志位氏。民意に背く安倍暴走政治のどの問題でも、日本共産党が正面から対決し、抜本的対案を示している姿を語りました。
経済問題で小西氏は「共産党は大企業の内部留保の一部を活用するといっていますが、(大企業に)どう吐き出させて活用するのでしょうか」と質問。志位氏は次のように答えました。
志位 大企業の内部留保は285兆円まで膨れ上がりました。もちろん政府が命令して吐き出せというわけにはいきませんから、ルールをつくって、(国民の暮らしに)まわるようにしていく。
たとえば、雇用のルールです。非正規から正社員への流れをつくる労働者派遣法の抜本改正を行う。均等待遇のルールをつくる。中小企業支援と一体に最低賃金を時給1000円以上に引き上げる。ブラック企業はなくしていく。こういうルールをつくることによって、国民の所得を増やし、内部留保が暮らしの方に流れていくようにする。
それから、中小企業との関係も、大企業による中小企業いじめはひどいものがあります。これをやめさせて、公正な下請け単価を保障するように独禁法の改正などを行う。そういうことによって、中小企業の方へも内部留保がまわっていくようにする。
こうして政治の責任で暮らしを守るルールをつくることで、285兆円までたまった「ダム」のお金を還流させていく。そうすると所得が増えるでしょ。内需が活発になる。そのことによって企業活動も活発になる。こういうことが本当の(日本経済の)好循環だと思うんですね。
玉井氏は「成長のための投資に向けさせ、経済全体のパイを広げていく形の経済政策を共産党は考えないのですか」と問いかけました。志位氏は次のように答えました。
志位 投資を活発にしていこうと思ったら、やはり国内の内需が増えないと国内投資が活発になりません。いま、日本の大企業は国内に投資しないで、外国にいってしまう。最大の理由は内需が冷え込んでいるからです。内需を活発にすることが投資を活発にすることにもなる。
大企業は「敵」?
社会的役割にふさわしい責任を果たさせる
消費税10%反対を表明した志位氏は、「消費税にたよらない別の道」の財源提案として、富裕層や大企業への優遇を改め、「能力に応じた負担」の原則をつらぬくなどの税財政改革で20兆円の財源が生み出せると説明しました。この提案に玉井氏が「“大企業や富裕層は社会の敵”というように聞こえ、共産党の政策をやるとみんな海外に逃げ出してしまって、本当に税収は上がるのか」と質問しました。志位氏は次のように述べました。
志位 大企業がもっている社会的役割にふさわしい責任を果たしてほしいというのが私たちの考えです。
たとえば、大企業の法人税がどうなっているかを調べますと、中小企業は法人税の実質負担率が25%であるのに対して、大企業は14%なんです。トヨタが5年間法人税ゼロだったというのは有名な話ですが、いろいろな減免制度があるために、大企業の方が中小企業より法人税の負担が軽くなっています。こういう特権的なものをただして、力にふさわしい負担をしてもらおうというものです。
そういう責任を果たして日本経済をまともにしていくことは、企業にとってもプラスになると考えていますから、(日本共産党の提案は)けっして大企業をつぶして、中小企業に切り刻んでしまおうというものではないんです。
年金どうする?
最低保障年金めざす財源は応能負担の税制改革
日本共産党が選挙公約で掲げる「低年金の底上げ」の財源は―この問いに志位氏は、20兆円を捻出する税制改革を行い、将来的には最低保障年金に進んでいく道筋を示しました。
志位 この最低保障年金に進むときは、国民全体で、負担をお願いするという提案を具体的にしています。ただその場合も、所得税、住民税、相続税などで累進を強くすることで財源をつくっていくと(いうことです)。6兆円くらいの財源を考えていますが、そこでも消費税という逆累進の税金に頼らず、能力に応じた負担の原則にもとづいた税制改革で財源をまかないます。
玉井氏は「所得税となると現役世代に痛みが上乗せされますよね。子育て世代、若い世代を直撃することになるのでは」と質問。志位氏は次のように答えました。
志位 消費税は現役世代も直撃します。消費税は所得の少ない人に重くのしかかる悪税だと思っています。税金のあり方は、応能負担―負担能力に応じた負担でやるべきであって、どうしても足りなくなった場合は、所得税、住民税の累進を高めるという考えです。
安保保障は?
「北東アジア平和協力構想」を提唱
「共産党は、集団的自衛権の『閣議決定』の撤回を訴えていますが、では日本の安全を守るためにどういった対策があるのか」(小西氏)―この問いに志位氏は、日本共産党が提唱する「北東アジア平和協力構想」について詳しく説明し、この「構想」が中国、韓国、北朝鮮などとの間で抱える懸案問題を解決する道を示していることを力説。これを受け玉井氏は尖閣問題での対応をたずね、志位氏は答えました。
志位 尖閣問題で日本政府は「領土問題は存在しない」と棒をのんだようなことばかり繰り返しています。そうなると尖閣についての領有の正当性を中国側にしっかり説くことができず、自縄自縛になってしまう。
私は、中国側と交渉をやって、相手の論拠をすべて日本として論破するぐらいのつもりで強い交渉をすべきだと思っています。
「身を切る」論
政党助成金の廃止こそ
「身を切る改革」で持ち出される国会議員定数の削減についても「なぜ反対の立場か」との質問が。志位氏は、議員定数削減で狙われているのは比例定数であり、「これを切るということになったら多様な民意が反映されなくなる」と警鐘を鳴らしました。
志位 「身を切る改革」論をいう党はどういう資金調達をしているか。(2013年分の)政治資金収支報告書を見て驚きました。自民党の本部収入の6割、民主党の本部収入の8割、維新の会(当時)の本部収入の7割が政党助成金ですよ。
自分はぬくぬくと国民の税金に首までどっぷりつかっておきながら、国民に増税を押し付ける。こんなばかな政治はないわけです。政治の不当な特権をただすというんだったら、政党助成金をすっぱり廃止すべきだと主張しています。