2014年12月10日(水)
日本共産党躍進こそ、政治を変える力
外国特派員協会 志位委員長の一問一答
日本外国特派員協会で8日行われた日本共産党の志位和夫委員長と記者との一問一答を紹介します。
「躍進」といわれるのは
国民の立場でブレない党への期待が広がる、チャンスを現実のものに
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問い 今回、日本共産党は躍進すると見込まれているが、その理由はなぜか。
志位 躍進は現実のものとなっておりませんので、答えは難しいんですが。(笑い)
ただ、この2年間の安倍政権の政治が、あまりに国民の民意に背く暴走の2年間だった。これに対して国民のなかに「この政治は怖い」「この政治は危ない」という気持ちが広がっています。
この暴走を止められる政党はどの党かということを、多くの方々が考えておられます。国民の立場に立って決してブレない日本共産党こそ、この政治に立ち向かえるのではないかという期待が広がっているのを感じます。
同時に、私たちは、安倍政権と対決するとともに、対案を提示してまいりました。経済の問題でも、外交の問題でも、国民の立場に立った対案を示してきました。対決とともに、対案を示すという姿勢も、評価が広がっていると思っております。ぜひ、最後まで力をつくし、生まれている躍進のチャンスを現実のものにしたいと決意しています。
他党との協力も必要では
沖縄では知事選の共闘体制を大切に――日本共産党の躍進が政党状況を変える
問い 自民党と対決したいということなら、野党と協力することによって、国民にも一つの別な案、オプションというものが提案できるのではないか。
志位 私たちは条件のあるところでは、柔軟な対応をやっております。それは沖縄です。
沖縄の県知事選挙では、保守と革新の垣根を越えた共闘体制がつくられて、翁長雄志さんが圧勝しました。私たちはこの共闘の体制を大切にし、今度の総選挙で沖縄の1区、2区、3区、4区すべてで共闘体制をつくってたたかっています。
この沖縄でのたたかいでは、知事選で共同したすべての政党と会派が協力したたたかいになっています。保守の方々とも協力するわけですから、日米安保条約の問題は、いわば横に置いての共同になっています。ぜひ沖縄では四つの選挙区すべてで勝ちたいと考えております。
ただ、全国的には野党間の選挙協力の条件があるわけではありません。たとえば、野党第1党の民主党と日本共産党との関係を考えてみましても、民主党は消費税増税の推進派です。私たちは反対です。ですから、最大の争点をめぐっても、立場の違いがあります。
こういう状況をどうやって打開していくかということを考えた場合に、私は日本共産党を躍進させることが、日本の政党状況を前向きに変化させる最大の力になってくると思っております。
日本の政治史に一つの経験があります。1970年代に日本共産党が国政で大きく躍進した時期がありました。この躍進は、他の野党にも大きな影響を与えました。当時、野党だった公明党も、一時は、日米安保条約即時廃棄を唱えました。当時の社会党とのあいだに、統一戦線協定が2度にわたって結ばれました。こうした流れは反動派によって断ち切られましたが、日本共産党の躍進が政界全体に大きな影響を与えたのが70年代でした。
今度の選挙で日本共産党が躍進すれば、日本の政党状況に前向きの変化をもたらす可能性があると思います。そういう躍進をぜひ勝ち取りたいと思っています。
自民が多数を支配したら国会どうなる
どの問題も国民多数は反対、国民との共同で企てを失敗に終わらせたい
問い すべての野党が合意・協力して、すべて躍進したとしても、全議席の20%ぐらいしか取れないとの予測がでている。もし自民党がすべてを支配できるような議会になってしまったら、国会、議会そのものの役割はどういうものになるか。何ができるのか。
志位 今度の選挙の全体の結果がどうなるかを、いまからコメントするのは難しいものがあります。ただ、自民党が多数を占めた場合に、それに対する強力な対決者は日本共産党になると思います。
そして、もう一つ申し上げておきたいのは、国会のなかで彼らがかりに多数を占めたとしても、国民の世論のなかでは、彼らは多くの問題で少数派だということです。集団的自衛権行使容認には国民の5割、6割が、どの世論調査でも反対です。消費税10%への増税も、だいたい世論調査で半分が反対です。原発の再稼働についても5割、6割が反対です。沖縄の辺野古への新基地建設に対しては、県民が厳しいノーの審判を下しています。
いまあげた四つのイシュー(争点)は、これからすべて、安倍政権に問われてくる問題です。私たちは国民との共同で安倍政権を包囲します。そして、彼らの企てを失敗に終わらせる。そういうたたかいをやっていきたいと思っています。
もともと、いまの時期に、なぜ首相が解散したのかという動機を言えば、(解散を)先送りすればするほど、いまのべたような問題に直面して、ますます追い込まれると、こう踏んでのことです。私たちは、もちろん(選挙後の国会で)政党間の可能な協力を追求しますが、なによりも国民との協力を追求します。
他の野党との選挙協力は
日本の根本問題で全く違う立場、論戦で追い詰めることが安倍政権への一番の痛打
問い 選挙の後に協力するという話もあったが、選挙の前にそういう協力体制がなぜつくれないのか。
志位 全国的には選挙協力の条件がないということは、さきほどお話しいたしました。沖縄のように、大義をもった形で選挙の協力をする条件が、いま全国的にはありません。
率直にいいますが、いまの日本の大きな根本問題である消費税増税の問題、「アベノミクス」の問題、集団的自衛権の問題、原発再稼働の問題、さらに沖縄の新基地建設の問題、この五つの争点で、私たちの立場と、民主党、あるいは維新の党との立場は、全く違った立場です。民主党は、民主党政権時代に、いまいった多くの問題について、みずから手をつけました。ですから、安倍政権に対抗する足場が持てません。維新の党の立場というのは、安倍政権よりもっと右の立場が目立ちます。
そういう状況のもとでは、日本共産党が原則すべての選挙区で擁立し、安倍政権と正面から対決してたたかうことが、その論戦によって追い詰めていくことが、安倍政権に対する一番の痛打になると考えています。
もし、私たちが擁立しなければ、消費税10%中止をいう候補者がいなくなります。集団的自衛権に対しても、正面から反対する候補者がいなくなります。原発再稼働に反対する候補者もいなくなります。そして沖縄の新基地建設に反対する候補者もいなくなります。
今度の選挙では私たちは、全国で立てて、堂々と安倍政権の暴走と正面から対決してたたかう、対案も示す、この立場をとることが、安倍政権を追い詰めていく一番の力になると確信しております。
「共産」の言葉にアレルギーが
自由と民主主義を発展的に継承――人民抑圧・他国侵略は社会主義と無縁
問い 選挙が行われるたびに、私は日本の友人にどの政党を支持するかと聞くと、ほとんどみな日本共産党というんですが、しかし投票はしないという。なぜかというと、共産主義という言葉に非常にひっかかる日本人が多いのではないかと思う。もしかしたら名前を変更する、元共産党にするということは考えないか。(笑い)
志位 名前の問題がでましたが、今度の選挙の特徴は、“こうなったら、もう共産党でもいい”(笑い)というのが多いんですよ。
名前についていいますと、私たちは共産党ですから、人類の社会は資本主義で終わりだとは思っていません。社会主義・共産主義にすすむという展望をもっています。ただ、そのさい、二つの点を強調しておきたいと思います。
一つは、まずは資本主義の枠内での民主主義的改革を目指すというのが日本共産党の立場だということです。すなわち、「異常なアメリカいいなり」と「財界中心」の政治をただして、「国民が主人公」の民主主義の日本をつくる。これをやりとげたうえで、国民多数の合意で次のステップに進むというのが、私たちの立場です。
もう一つのポイントは、私たちが目指す社会というのは、崩壊した旧ソ連のような国内的には人民抑圧、対外的には他国侵略、こういう社会は社会主義とはまったく無縁のものとしてきっぱり退けているということであります。
とりわけ、ソ連の覇権主義に対しては、私たちは激しい論争をしてきました。チェコスロバキア侵略、アフガニスタン侵略、これは社会主義とはまったく無縁だと厳しい批判をし、ソ連共産党とは激しい論争になりました。この論争は1991年にソ連共産党が崩壊したことで、終止符が打たれました。私たちは、ソ連共産党が崩壊したときに、“もろ手をあげて歓迎する”という表明をしたんです。
そういう自主独立の党として、資本主義の社会で達成されたあらゆる自由と民主主義を発展的に継承し、花開かせる社会を目指すということを綱領でうたっております。
党名を変える可能性は
理想社会と不屈の歴史が刻まれた名前、変えるつもりはない
問い 党名を変える可能性はないのか。
志位 変えるつもりはないんです(笑い)。これは私たちの、理想とする社会が刻まれた名前であり、そして92年の歴史が、不屈の歴史が刻まれた名前です。大事に使っていくつもりです。
だいたい、コミュニズムの語源は、ラテン語の「コムニス」です。すなわち「共同」という意味です。人間と人間が角を突き合わせていがみ合って暮らすのではなく、支えあって、共同して、力を合わせて社会をつくろうというのがもともとの語源です。「コムニス」がコミュニズムになり、そしてたとえば日本でもコミュニティーセンターなどいろいろあります。コミュニティーセンターというのは、直訳すれば「共産センター」ということになりますね。(笑い)
天皇制をどうする
――当面の改革では天皇条項含め全ての憲法条項を守る
問い 日本共産党の綱領の中に入っている社会主義革命を変えることはまったくないのか。この概念においては、やはり多くの方はちゅうちょするのではないか。もし日本共産党が多数の議席を確保したら、天皇制そのものを廃止することは考えないか。
志位 まず、綱領のなかには「社会主義革命」という言葉はないんです。私たちは、権力がある勢力からある勢力に移行することを革命と呼んでいます。当面している民主主義的変革は、これは文字通りの民主主義革命です。それに続く社会主義への道は、私たちは「社会主義的変革」という言葉を使っています。これは、民主主義革命を成し遂げた勢力が、さらに国民の合意を得て、次のステップに進んでいくということがありうるからです。
それから天皇制の問題について出されました。私たちは、天皇の制度というものは、国民の総意で民主共和制に発展していくという展望をもっています。
ただ、この問題をどこで解決するかというのは、これは綱領ではあらかじめ決めておりません。これは国民総意の成熟をえて、日本の社会の発展のかなり先の段階で解決される問題だというふうに私たちは展望しています。
具体的にいいますと、私たちは民主連合政府というのを提唱しておりますが、この政府は、天皇制の問題は手をつけません。私たちの当面する変革では、憲法については、天皇条項も含めて、全ての条項を厳格に守る。そして、平和的民主的条項を全面実施する。これが私たちの立場であります。ですから、私たちが参加する政権ができても、天皇制とはかなり一定の長期にわたって共存するという時期があると、私たちは考えています。